「更正」と「更生」、字がすごく似ています。
これじゃあ、書く方も間違えるし、読むほうもうっかり間違えますよね。
「更正」と「更生」、まぎらわしいのですが、意味にはどういった違いがあるのでしょうか?
ということで、今回は「更正」と「更生」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「更正」と「更生」の意味の違いは?
まずは、「更生」と「更正」を広辞苑で引いてみましょう。
①いきかえること。よみがえること。蘇生。
②反省・信仰などによって心持が根本的に変化すること。過去を清算し、生活態度を改めること。
③不用品に手を加えて、再び利用できるようにすること。
【更正】
・あらため正すこと。
それでは、「更生」と「更正」の意味についてくわしく説明しますね。
①「更生」とは!
「更生」の①の意味は「いきかえること」、たとえば「荒れ果てた農地を更生させる」といった使い方をします。
そして、②の意味は、過去の悪事を反省し生活態度を改めるという意味で「更生保護施設」や「更生保護法」といった使い方をします。
ちなみに、「更生保護施設」「更生保護法」ともに、過去に罪を犯した人物を保護する「施設」と「法律」のことです。
最後の③の意味は、①と似ていますが、もう使えなくなった物を再利用できるようにすることで、「更生紙」といった使い方をします。
ということで、「更生」の意味で共通しているのは「生まれ変わること」です。
生まれ変わるのも、物理的であったり精神的であったり様々なのですが、日常で一番使われるのが、悪事を働いた人間が真っ当な人間への生まれ変わりですね。
漢字も「更生」で「更に」「生まれる」なので、「生まれ変わる」ですね。
②「更正」とは!
そして、一方の「更正」です。
「更正」の意味は、簡単に言えば「間違いをなおすこと」です。
「更正」は、公的機関で多く使われます。
たとえば、裁判で判決に書き損じなどの誤りあった場合、裁判所がそれを訂正することを「更正決定」といいます。
また、不動産登記で誤りがあった場合、その登記を訂正することを「更正登記」といいます。
それから確定申告で申告額が多すぎた場合などに、税務署に還付を求めることを「更正の請求」といいます。
③「更生」と「更正」の違い!
ということで、「更生」と「更正」の違いをまとめると、「更生」は生まれ変わることで、「更正」は間違いをなおすという意味です。
ちなみに、「生まれ変わる」とは、優れた方向、良い方向に生まれ変わることをいいます。
ところで余談ですが、「更生」「更正」とよく間違うのが「厚生労働省」の「厚生」です。
「更」と「厚」の違いなのですが、漢字の形もなんとなく似ていますので、間違いが多い言葉です。
「厚生」の意味は「人々の生活を健康で豊かなものにすること」で、「福利厚生」といった使い方をします。
「更生」「更正」とは、全く意味が違いますので気を付けましょう。
2.「更正」と「更生」の具体的な使い分けを例文で紹介!
【更正】
・裁判の判決で明白な誤りがあり、訂正を求めるならば更正決定の申立書で申請します。
・過去に登記した内容に、記入漏れがあったことから更正登記の申請を行います。
・誤った確定申告で税金を多く払い過ぎたことから、更正の請求を行った結果、税金が還付された。
【更生】
・会社更生法を申請した会社の管財人が、更生計画を示す。
・すさんだ生活をしていた彼は、誰の助けも求めず自力で更生した。
・罪を犯した人間が出所後に入る更生保護施設は、入所者の再犯防止が目的です。
まとめ
以上が「更正」と「更生」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「更正」と「更生」の違いは漢字を見ると分かりやすいですね。
「更正」は「正」があり正しくするという意味、「更生」は「生」があり生れ変わるという意味です。
ただし、「更生」は正しい方向に生まれ変わるという使い方をします。
「生まれ変わる」という意味は、「正しい方向」「優れた方向」に生まれ変わるということです。
一般的にあまり使われませんが、「更生」は“命が絶えたものがよみがえる”という意味もあります。
「よみがえる」といえば「蘇る」と「甦る」がありますが、これについては以下の関連記事をご覧ください。