「増加」と「上昇」。
この2つ、まぎらわしいですよね…。
たとえば、お金の場合。
借金や貯金の場合は「増加」で、「上昇」とはいいません…。
ですが、同じお金でも物価や価格の場合は「上昇」で、なぜか「増加」とはいいません…。
これは、使い分けに何かの違いがあるということか…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「増加」と「上昇」には決定的な違いがありました!
本記事では、「増加」と「上昇」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「増加」と「上昇」の意味の違い!
最初に、「増加」と「上昇」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「上昇」とは、上にのぼること、また、高く上がること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「増加」の意味とは!
「増加」は、数や量が増えること。
つまり、増えて多くなるということです。
「上昇」のように、のぼることでも上がることでもありません。
数や量がふくらんで、多くなるのです。
たとえば、風船に空気を入れた時、「風船の中の空気の量が増加する」といいます。
まさに、風船の中の空気が多くなるということですね。
空気の量はのぼるものでも上がるものでもありませんので、「風船の中の空気が上昇する」とはいいません。
数では、「平均貯蓄が30万円から32万円に増加する」といった使い方をします。
お金は増えるものなので「増加」ということですね。
あとは、「パソコンの保有率が25%から30%へ増加した」といった使い方。
ということで、数や量が増えて多くなる場合、また、ふくらむ場合は「増加」を使います。
②「上昇」の意味とは!
「上昇」は、上にのぼること、また、高く上がること。
ですから、風船にヘリウムガスを入れると、空に飛んでいきますよね。
これは、「風船が上昇する」です。
まさに、風船が高く上がるということ。
あとは、気温も夏になると高く上がりますので、「気温が上昇する」といった使い方をします。
ところで、「気温」は「数」であらわしているので「増加」と思われる方もいるかもしれませんが、これは違います。
気温の数値はあくまでも、暑さを表すために「数」に置き換えたもの。
ですから、気温の数値が増えたからといって、何かの「量」が増えるというものではありません。
こういったことは、同じ「数」である「価値」も同じことが言えます。
「価値」はその値打ちを「数」に置き換えたもの。
ですから、「価値」は「増加」ではなく「上昇」、増えるものではなく上がるものです。
したがって、物価の場合は「物価が上昇する」ですよ。
それから、「数」や「量」が大きくなる場合は、上がる「上昇」と増える「増加」、どちらも使えることもありますよ。
たとえば、入場者数。
普通に考えれば「人の数」または「人の量」ですので、増える「増加」です。
しかし、入場者数の推移として見た場合、「上がる」という表現も間違いではありません。
たとえば、「入場者数は毎年上昇傾向です」といった表現でも「入場者数は毎年増加傾向です」でもオッケーとなります。
ちなみに、これは単なる数値以外の「割合」や「倍率」でも同様。
「入場者数が10%上昇しました」でも「入場者数が10%増加しました」でもオッケー。
また、「入場者数が2倍と上昇しました」でも「入場者数が2倍に増加しました」でも大丈夫です。
③「増加」と「上昇」の違いを整理!
それでは、ここで一度「増加」と「上昇」の違いを整理します。
「増加」は、数や量が増えること。
ふくらむ、多くなるのが「増加」です。
「上昇」は、上にのぼること、また、高く上がること。
様々なものの高さが上方向に上がるのが「上昇」です。
「お金」は、量が増えるので「増加」はしますが「上昇」はしません。
ですが、同じお金でも「物価」や「価格」といった価値的な見方になると、「増加」ではなく「上昇」を使います。
2.「増加」と「上昇」の辞書での意味!
続いて、辞書による「増加」と「上昇」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「増加」の辞書での意味!
【増加】
・数量が増えること。また、増やすこと。「人口―」↔減少
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですね。
②「上昇」の辞書での意味!
【上昇】
・のぼること。あがること。「気温が―する」↔下降・低下
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明したとおりの内容です。
3.「増加」と「上昇」の使い方!
次に、「増加」と「上昇」の使い方を例文で紹介します。
①「増加」の使い方!
・害虫駆除依頼が年々増加しています。
・増加傾向が続く高齢運転者による交通事故対策について。
・外国来の郵便物増加に伴うお届けへの影響。
・カラスやイノシシなどによる、鳥獣被害が増加傾向にあります。
②「上昇」の使い方!
・野生動物のコレステロール値が通常よりも上昇している?
・水位が観測史上2番目の高さまで上昇する。
・人口減少が続く中、出生率上昇だけに専念する大臣ポストが設置された国も。
・ネガティブなニュースにさらされていると、ストレスレベルが上昇する。
4.「増加」や「上昇」には似た意味の言葉がたくさんある!
「増加」や「上昇」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「増加」と「上昇」の意味の違いと使い分けについてでした。
数や量が増えるのが「増加」。
上にのぼる、また、高く上がるのが「上昇」。
「数」や「量」が増える場合は、「増加」と「上昇」ともに使える場合もあります。