「釜」と「窯」。
どちらも「かま」と読みます。
この二つの違いは…、と言われれば…??
ご飯は「釜」だったような…。
でも、この違いってよくわかりませんよね…。
ということで、今回は「釜」と「窯」の意味の違いや使い分けについて解説していきます。
1.「釜」と「窯」の違いのポイント!
最初に、簡単に「釜」と「窯」の違いのポイントについてお伝えします。
「釜」とは、主にご飯を炊いたり、茶の湯のお湯を沸かしたりする器のこと。
「窯」とは、ガラスや陶磁器、木炭などを高温で焼いたり溶かしたりする装置のことです。
一言であらわすならば、こういった違いになります。
それでは、さらに詳しく「釜」と「窯」の意味の違いについて、わかりやすく説明しますね。
2.「釜」の意味とは!
では、「釜」の意味です。
・火力によって、中の物を加熱する器。
①主として炊飯のための金属製の器。鍋よりも底が深く、かまどにのせるためのつばがある。
②茶の湯で、お湯を沸かす器。茶釜。
③醸造や製塩、製茶などに用いる加熱用の器。
「釜」とは、物を加熱するための器のことです。
中の物の加熱を目的とした器のことなのですが、主に3種類に分割されています。
まずは目的①の「釜」は、ご飯を炊くための器のことです。
鍋と似てはいますが、鍋は「煮る」「茹でる」「揚げる」のが主な目的ですが、釜は「炊く」ことが目的です。
鍋よりも底が深くて、かまどにのせて火にかけるために周囲につばが付いています。
火に強い金属製です。
目的②の「釜」は、茶の湯を沸かすための器のことです。
茶道で使う、お湯を沸かすための器で、茶釜といいます。
茶釜は、独特の形状をしており、鍋とは全く形が違います。
金属製で、鎌倉時代から使われていたと言われています。
目的③の「釜」は、醸造や製塩、製茶のための器のことです。
つまり、酒や醤油、塩やお茶などを加熱して製造するための器です。
酒や醤油は、釜で熱を加える工程があります。
醸造用の釜は金属製です。
また、塩の場合は水分を蒸発させるために釜を用います。
製塩用の釜は、元々は石釜でしたが時代が進み金属製へと変化しました。
お茶の場合は、釜で蒸したり釜で炒ったりする工程がある製造方法があるのですね。
製茶用の釜も金属製です。
主に、人の口に入る物をつくるための、金属製の器ということが3つとも共通しています。
3.「窯」の意味とは!
続いて、「窯」の意味です。
・高温で物を焼いたり溶かしたりする装置。木炭・陶磁器・ガラスなどを製するのに用いる。土・耐火れんがなどで作る。
こちらの「窯」は、物を高温で焼いたり溶かしたりするための装置のことです。
木炭や陶磁器は高温で焼きますが、ガラスの場合は溶かすことを目的としています。
したがって、かなりの高温に耐えられる構造でなくてはいけません。
ですから、この窯は熱に強い土やれんがなどでできています。
製造時に、強烈な高温を必要とする生産物がこの「窯」を使います。
4.「釜」と「窯」の違い!
ということで、「釜」と「窯」の違いを整理しますね。
「釜」とは、炊飯や茶の湯を沸かすことを目的とした金属製の器のことで、醸造や製塩、製茶にも使います。
「窯」とは、ガラスや陶磁器、木炭などの製造を目的とした土や耐火れんがなどでできた装置のことです。
それでは、違いを細かく分析していきますね。
①「器」と「装置」の違い!
「釜」は「うつわ」ですので、火は釜の外側にあります。
つまり、「釜」の外側から加熱しますので、中の物は直接火にあたらず燃えることはありません。
一方の「窯」は「装置」です。
「窯」の場合は、強い火力が必要ですので中の物がより火に近付きます。
ですから、窯の中にその物と火が一緒になっている場合が多くなります。
「釜」は外側から加熱、「窯」は窯内部で加熱といった違いになります。
②「金属製」と「土や耐火れんが製」の違い!
「釜」の場合は、それほど強力な火力は必要としないことから主に金属でできています。
一方の「窯」は、強力な火力を必要としている場合が多く、そのため土や耐火れんがなどでできています。
仮に「窯」が金属製だとしたら、火力によって溶けてしまう危険性があるのですね。
③「食品」と「食品以外」の違い!
「釜」は、主に人の口に入るものをつくることを目的としています。
一方の「窯」は、木炭や陶磁器、ガラスなど食料品ではありません。
ただし、例外もあります。
たとえば、ピザやナンなどは「窯」で焼きます。
これは、ピザやナンは「器」で焼くより「装置」で焼いた方が美味しくなるからです。
ピザ窯やナンを焼くタンドール窯は、窯の内側に火がありその中で焼き上げるのですね。
そして、ピザ窯やタンドール窯は主に土やれんがなどで出来ています。
5.「釜」と「窯」の使い方!
今度は、「釜」と「窯」の使い分けについて例文を使って紹介します。
【「釜」の使い方!】
・鍋と釜は絶対に必要だ。
・電気釜とガス釜、どっちにするか悩む。
・彼の後釜は自分しかいないと思っている。
(後任者の意味)
※かまどの残り火が消える前に次の釜をかけるということが語源。
・同じ釜の飯を食う。
(苦楽を共にした親しい間柄の意味)
・月夜に釜を抜かれる。
(油断するという意味)
※明るい月夜に盗まれるわけがないと思っていたら、大事な釜を盗まれたということが語源。
【「窯」の使い方!】
・中国で、宮廷で用いる陶磁器をつくるためのかまを官窯(かんよう)といいます。
・陶磁器用のかまを陶窯(とうよう)といいます。
・かまや炉などで高熱を利用した製造業を窯業(ようぎょう)といいます。
・自宅の庭に石窯を自作した。
・木炭は炭窯でつくられる。
まとめ
以上が、「釜」と「窯」の意味の違いや使い分けについてでした。
「釜」は主に金属製の器で、「窯」は主に土やれんがなどで出来た装置のことです。
「釜」は外側から加熱、「窯」は内部で加熱します。
また、「釜」は主に人の口に入るものに使い、「窯」は炭や陶磁器など人の口に入らないものをつくります。
ただし、ピザやナンなどを焼く場合は「窯」を使います。
まぎらわしい漢字の違いについて説明しましたが、そういった漢字は結構多いです。
たとえば、「樹」と「木」の違いをご存知ですか?
「樹」と「木」の違いについては、下の記事を覗いてみてください。