「所」と「処」、どちらも「ところ(どころ)」と読みますが、意味の違いや使い分けの決まりはあるのかな?
ということで、今回は「所」と「処」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「所」と「処」の意味の違いと使い分けは?
広辞苑を引いてみると、「所(ところ)」と「処(ところ)」は「所・処」という形で同じ見出しで載っています。
ということは、「ところ」つまり場所・場面・範囲といった意味で「所」と「処」に意味の違いはないということですね。
ただ、「処」は「処理」や「処置」など訓読みの「ショ」は常用漢字表にありますが、「ところ・どころ」と読む「訓読み」は常用漢字表にはありません。
これは、同じ意味、同じ読みの漢字を一つに統一する意味で「所」を常用漢字にしたということです。
なので、「処(ところ・どころ)」は公文書などでは使いません。
普段「処(ところ・どころ)」を使用してはいけないということではありませんが、普通は「所」を使います。
では、「処」の使い方なのですが、決まった場面で使用されることが多いです。
たとえば名産地などの昔からのものや、和風の店舗などに使用されます。
①農産物などの産地(名産地)をあらわす
米処(こめどころ)
酒処(さけどころ)
②和式の食堂・お店などの店名
お食事処(おしょくじどころ)
そば処(そばどころ)
甘味処(あまみどころ・かんみどころ)
「甘味処」はやっぱり「甘味所」や「カフェ」ではなく「甘味処」ですよね。
風情があります。
甘味大好きです、あんみつ、食べたい( *´艸`)
2.「何所」と「何処」、「此処」と「此所」の違いや使い分けは?
「何所」と「何処」はどちらも「どこ」と読みます。
漢字は違いますが、意味の違いはありません。
どちらも当て字です。
もともとは「いずく」、それが「いずこ」と読むようになり、「いどこ」「どこ」と読むようになったようです。
名曲「荒城の月」で「昔の光今いずこ」とあります。
これは、「過去の栄光は、今はどこへ?」といった意味ですね。
【何所・何処の使用例】
・何所/何処(どこ)の馬の骨
・何所/何処(どこ)吹く風
「此処」と「此所」も同じです。
「ここ」と読みます。
意味に違いはありません。
「此処」と「此所」どちらも当て字です。
「ここ」にはほかに、「茲」「斯」と書くこともあります。
【此所・此処の使用例】
・此所/此処(ここ)一番
・此所/此処(ここ)で遭ったが百年目
・此所/此処(ここ)だけの話
3.「○○所」と「○○署」の意味の違いは?
「○○署」は、法律的に取り締まりの権限を持つ・権限を行使することができる施設です。
逮捕したり捜査・調査する権限を持つ施設が「署」です。
逆に強制的な捜査・逮捕の権限を持たない施設が「○○所」ですね。
【署の例】
・警察署(捜査、逮捕)
・税務署(税務調査、脱税摘発)
・消防署(火災原因の調査)
【所の例】
・保健所
・市役所
・駐在所
・裁判所
ここで、警察署と駐在所はどちらも警察官がいて役目は同じでは?と思いますよね。
駐在所の方は、犯罪者の捜査・逮捕というよりも地域住民の中に入り、住民の安全を守ったり相談に乗ったりといった意味合いの方が強いようです。
「駐在所」が「駐在署」だったらなんとなく強権的なイメージになりますよね。
う~んなるほど、私がなんとなく「行くのがこわいなあ」「怒られそうだな」と思う施設が「署」ですね(^^;)
何も後ろめたいことはないのですが、免許証の更新で警察署に行くときはドキドキします。
日本語は、漢字は違うのに同じ読み方の言葉がたくさんあります。
たとえば「いきいきと仕事をする」の「いきいき」は、漢字で「生き生き」?「活き活き」?どっち?
詳しくは、下の記事を覗いてみてください。
まとめ
以上が、「所」と「処」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「所」と「処」には意味の違いはありません。
好きな方を使ってください。
ただし、公文書では「所」を使います。
「何所」「何処」や「此所」「此処」も、好きな方を使うことができます。
ただ、私のパソコンはさっきから「どこ」で変換すると「何処」、「ここ」で変換すると「此処」しか出てきません。
変換キーを押し続けて候補を全部見ても「何所」や「此所」がないのです。
これは一体……私のパソコンだけ?
それとも、一般的には「何所」や「此所」ではなく「何処」や「此処」を使うのかな??
この記事を書いている間は「なにところ」で変換していました(笑)
「かどう」という言葉も「稼動」と「稼働」の2種類の漢字があります…。
たとえば「工場をかどうさせる」の「かどう」は、漢字で「稼働」?「稼動」?どっちだと思いますか?
詳しくは、下の記事をご覧ください。