「鳳凰(ほうおう)」と「フェニックス」どちらも伝説で架空の鳥ですが、この二つは同じ鳥?それとも別の鳥??
なんとなく姿が似ているし、元をたどれば同じ鳥なのでしょうか…。
また似たようなので「朱雀(すざく)」っていう鳥もいるし…。
ということで今回は、「鳳凰」と「フェニックス」と「朱雀」の違いなどについて調べてみました。
1.「鳳凰(ほうおう)」とは?
「鳳凰」とは、このやたら難しい漢字が示すとおり、中国の神話に出てくる伝説の鳥、不思議な力を持つという意味の霊鳥です。
鳳凰は、麒麟(きりん)・霊亀(れいき)・応竜(おうりゅう)と共に四霊として尊ばれた想像上の瑞鳥です。
ちなみに瑞鳥とは、めでたいことの起こる前兆とされる鳥のことで、ほかには鶴が当てはまります。
・麒麟
顔は竜に似ているが、全体的に鹿に似ている。背丈は5m。
・鳳凰
全体的に孔雀に似ており派手な配色。背丈は1.2m以上。
・霊亀
巨大な亀の姿。甲羅に人が住めるほどの巨大な山を背負う。
・応竜
4本足で翼があり、竜の姿。指は3本。天地を行き来でき自由に雨を降らせる。
鳳凰の姿はなかなか複雑で、前は麒麟、後は鹿、頸(くび)は蛇、尾は魚、背は亀、頷(あご)は燕(つばめ)、嘴(くちばし)は鶏に似ていて、さらにその色は黒・白・赤・青・黄の五色!
うーん、この言葉だけでは全然イメージができません(^^;)
また、鳳凰の背丈は1.2m以上だそうで、全体的には孔雀(くじゃく)に近い見た目のようです。
さらに、鳳凰が食べるものは、数十年に1度しか実をつけることがないとされる「竹の実」と、「霊泉」といわれる甘い湧き水です。
紀元前2世紀頃成立したとされる中国最古の類語辞典「爾雅(じが)」の17章に鳳凰に関する記述があります。
「前は麒麟、後は鹿、云々」はこの「爾雅」に記載されているのです。
また、伝説の鳥の鳳凰には「雄雌」があり、卵を産むというのです。
鳳凰の卵は不老長寿が得られる不思議な薬とされていました。
そして下の写真が平等院鳳凰堂の鳳凰ですが、鹿や魚や亀と似てますかね…?
2.「フェニックス」とは?
一方の「フェニックス」、こちらは世界各地に伝説が残っていますが、元々はエジプトの伝説の霊鳥です。
フェニックスの別名は「火の鳥」、「不し鳥」とも呼ばれます。
辞書では、フェニックスはアラビアの砂漠にすみ、500年生きると、その巣に火をつけて焼き、命を絶ったのち生れ変るという永生の象徴といった記述があります。
永生ということで、永遠の命があるということですね。
そしてフェニックスは「雄」しかいません。
ですから、フェニックスは卵から孵化するのではなく、何度も蘇るのです。
一説では、フェニックスの涙は癒しをもたらし、血を飲むと永遠の命を授かることができるのだそうです。
ですがこの永遠の命とは、もしかしたら「永遠に生き続ける」ということではなく、「何度も蘇る」という意味なのかもしれません。
フェニックスの容姿なのですが、これはどちらかというと「猛禽類」に近く「鷲(わし)」に似ていて、大きさも同じくらいのようです。
羽の色は金色や赤ということで、かなりきらびやかですね。
ということで、「鳳凰」と「フェニックス」の違いをまとめます。
鳳凰には永遠の命という概念はなく、フェニックスは何度も蘇るという永遠の命があります。
容姿の違いは、鳳凰は孔雀に似ていて、フェニックスは鷲に似ているのですが、両者とも派手できらびやかなところは共通しています。
また、鳳凰は「雄」「雌」がいて卵を産むのに対し、フェニックスは「雄」だけですので卵は存在しません。
3.「朱雀(すざく)」とは?
「朱雀」は中国の神獣です。
つまり、伝説の鳥であり守護神です。
朱雀は四神(四獣・四象)の一つで、南方を守護する神獣です。
朱雀のほかの四神は、東の青竜(せいりゅう)、西の白虎(びゃっこ)、北の玄武(げんぶ)がいます。
・青竜
東方、青は五行説で東方・木行・緑色の竜で長い舌を出している。
・朱雀
南方、朱は五行説で南方・火行・鳥の姿。
・白虎
西方、白は五行説で西方・金行・高齢で体は細長く白い虎。
・玄武
北方、玄は五行説で北方・水行・水の神で脚が長い亀に蛇の巻きついた姿。
朱雀は鳳凰と同一視されやすいのですが、朱雀は四神(青竜・朱雀・白虎・玄武)で鳳凰は四霊(麒麟・鳳凰・霊亀・応竜)という違いがあります。
フェニックスは「永遠の命」というエピソードがありますが、朱雀にはそういった伝説はありません。
まとめ
以上が、「鳳凰」と「フェニックス」、それに「朱雀」の違いなどについてでした。
一言でいえば、「どれも全部違うもの」です。
鳳凰は中国の霊鳥、朱雀は中国の神獣、フェニックスはエジプトの霊鳥です。