「渕」が付く名前って結構いますよね。
「岩渕さん」や「大渕さん」など。
でも同じ「ふち」でも「渕」ではなく「淵」の字の方もいます。
「岩淵さん」や「大淵さん」ですね。
ところで、「ふち」ってなぜ「渕」と「淵」があるのでしょう?
意味に違いはあるのでしょうか?
それに「縁」という字もあるし…。
まぎらわしいですよね…。
ということで、今回は「淵」と「渕」と「縁」の意味の違いや使い分けについて解説します。
1.「淵」と「渕」と「縁」の違いのポイント!
最初に、「淵」と「渕」と「縁」の違いのポイントについて簡単にお伝えします。
・川など水の深くよどんでいるところ。
・容易に抜け出すことができない苦境。
【渕】
・「淵」から派生した異体字。
・意味は「淵」と同じ。
【縁】
・物のへり。はし。
最初に「淵」という字が使われ、その後に「渕」が生まれました。
「淵」が正字で、「渕」が俗字ということもできます。
「淵」と「渕」は同じ意味ですので、どちらを使っても間違いではありません。
ただし、どちらも常用漢字ではありませんので公用文などでは気をつけてください。
「淵」と「渕」は同じ意味ですが、「縁」は全く違う意味になります。
それでは、「淵」と「渕」と「縁」の意味について、例文をまじえながら詳しく説明していきますね。
2.「淵」と「渕」の意味とは!
では、「淵」と「渕」の意味からです。
①川などで、水が深くよどんでいるところ。
②容易に抜け出すことのできない苦境。「絶望の―に沈む」
意味が2種類あります。
順に解説します。
意味①の「淵/渕」は、川や湖などで、水がよどんでいる深い部分のことです。
そこに落ちてしまったら簡単には抜け出せない危険な場所のことですね。
「大きな淵/渕が…」「いきなり淵/渕が…」
といった使い方をします。
ちなみに、「淵/渕」を英語にすると「deep pool(ディーププール)」、つまり深い水たまり(プール)ということになります。
「淵/渕」の対義語は「瀬」で、川などの浅いところ、浅瀬のことですね。
意味②の「淵/渕」は、なかなか抜け出すことができない苦しい立場、苦しい境遇ということです。
水が深くよどんでいる部分という意味を、簡単に抜け出すことが出来ない、人の苦しい状況に置きかえたということです。
「忘却の淵/渕へ落とし込む」
といった使い方をします。
これは、「探し出すことが不可能である深い淵/渕に落とし込むことで、嫌な記憶を消し去ってしまう」という意味です。
つまり、記憶を抹消するという意味ですね。
3.「縁」の意味とは!
続いて、「縁」の意味です。
・物のへり。はじ。「―が欠ける」「銀―のめがね」
「縁」の意味は、物の「はじ」「へり」のことです。
「湯飲み茶わんの縁が欠ける」
といった使い方をします。
「縁なしメガネ」や「黒縁メガネ」といった使い方もしますね。
ちなみに、「縁」を英語にすると「edge(エッジ)」です。
卓球で、ボールが卓球台の縁に当たって予測不可能な動きをすることを「エッジボール」といいます。
4.「淵」と「渕」と「縁」の違い!
ということで、「淵」と「渕」と「縁」の違いを整理しますね。
「淵」と「渕」は同じ意味、川などの水がよどんでいる深い部分のことです。
また、なかなか抜け出すことができない苦しい立場、苦しい境遇の意味もあります。
最初に「淵」という字が使われ、後から「渕」が異体字として生まれました。
「淵」が正字で「渕」が俗字ということもできます。
ですから、「淵」と「渕」はどちらを使っても何も問題はありません。
ただし、どちらも常用漢字ではありませんので公用文などでは気をつけてください。
「縁」は、物の「はじ」「へり」という意味があります。
「黒縁メガネ」の「縁」ですね。
ですから、「淵/渕」と「縁」は全く違った意味になります。
5.「淵」と「渕」と「縁」の使い方!
では、「淵」と「渕」と「縁」の実際の使い分けを例文で紹介します。
【「淵/渕」の使い方】
・底知れぬ淵/渕がある。
・暗い淵/渕に、あっという間に引きずり込まれる。
・絶望の淵/渕に突き落とされる。
・顔が淵/渕のように青ざめ沈んでいく。
・海淵/海渕(かいえん/海底の特に深い場所)
【「縁」の使い方】
・崖っ縁に追い込まれる。
・賞状を額縁に入れて飾る。
・机の縁に足をぶつけて怪我をする。
・帽子の縁の汚れを落とす。
・縁取り(ふちどり/物の縁を目立たせること)
まとめ
以上が、「淵」と「渕」と「縁」の意味の違いや使い分けについてでした。
「淵」と「渕」は同じ意味、川などの水がよどんでいる深い部分という意味と、なかなか抜け出すことができない苦境の意味があります。
そして、「渕」は「淵」の異体字です。
「淵」が正字で「渕」が俗字ということ。
「縁」は、物の「はじ」「へり」という意味があります。
ですから、「淵/渕」と「縁」では、同じ「ふち」という読みですが意味は全く違います。
まぎらわしい漢字の違いについて説明しましたが、そういった漢字は結構多いです。
たとえば、「樹」と「木」の違いをご存知ですか?
「樹」と「木」の違いについては、下の記事を覗いてみてください。