人事異動の季節になるとよく耳にする「就任」や「着任」!
はてさて、同じような意味に思えるこの二つ…。
実は微妙に意味が違うのですよ!!
きちんと意味を理解して使い分けなくてはいけませんよ!!
ということで、今回は「就任」と「着任」の意味の違いなどについて調べてみました。
1.「就任」と「着任」の意味の違いと使い分けは?
まず「就任」と「着任」を、それぞれ辞書で引いてみます。
・任務や役職に就くこと。「大統領に就任する」↔辞任
【着任】
・任地に到着すること。また、任務につくこと。「四月一日付で着任する」↔離任
それでは、意味の違いを細かく解説します。
①移動が加わるか否か!
「就任」の「就」は「就く(つく)」ということで、「役職に就く」や「地位に就く」といった意味、「任」は「まかす」「まかされる」という意味があります。
つまり「就任」とは、ある役職や地位に就いてその役目を任されるということ。
「着任」の「着」は「着く(つく)」ということで、「移動してその場所に到着する」といった意味、「任」は「まかす」「まかされる」です。
つまり「着任」とは、その場所に移動し到着してその役目を任されるという意味になります。
要するに「就任」も「着任」も、新しい任務や役職に就くという意味があるのですが、「着任」の場合はそれに「移動し到着する」とうい動作が加わるのですね。
ただし、この「移動」の範囲もいろいろで、実質的に交通機関による移動がない事業所内の移動でも「着任」を使用します。
②高い役職に就くか否か!
さらに意味を深堀して調べたところ、相違点がもう一つ存在します。
それは「就任」の場合は、必ず高い役職や高い地位に就く場合にしか使わないということです。
「専務の○○氏が代表取締役社長に就任した」というように、高い役職に就く場合だけに使うのです。
「不動産会社社長のドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任した」という感じですね。
「大阪支店の○○担当が愛知支店の○○の担当に就く」といった場合は、高い役職に就いたわけではありませんので、一般的には「就任」とはいいません。
また、「主任から係長に栄転した」など比較的低い役職の場合も、「就任」はあまり使いません。
つまり、出世は出世でも低い役職ではなく、高い役職の時に「就任」が使われます。
一方の「着任」は、「栄転により高い役職に就く」場合も「左遷で地方へ飛ばされる」場合であっても、移動し到着してその役目を任されたのであれば全て当てはまります。
ということで、「高い役職」の場合は「就任」や「着任」を使い、「出世」ではない場合は「着任」を使います。
ただし、「着任」は移動し到着した場合に限ります。
(事業所内移動も含む)
2.「赴任」とは?「就任」「着任」との意味の違いは?
まずは「赴任」を辞書で調べます。
・任地におもむくこと。「単身で赴任する」
「赴任」の「赴」は「赴く(おもむく)」ということで、「ある場所に向かって行く」という意味、「任」は「まかす」「まかされる」という意味です。
つまり「赴任」とは、「役目をまかされた場所へ行く」ということ、「まかされる」ほかに「行く」という動作が加わります。
①「赴任」と「着任」の違い!
「赴任」と「着任」の違いは、どこに視点を置くかの違いです。
A支店からB支店に転勤するとき、A支店の側から見ると「これから行く側」ですので「赴任」、B支店の側から見ると「これから着く側」ですので「着任」です。
【A支店での発言】
「明日からB支店に単身で赴任することになります」
【B支店での発言】
「本日B支店に着任しました○○と申します」
という使い分けになります。
要するに、「行く」が「赴任」、「着く」が「着任」ですね。
また、「着任」は事業所内のわずかな移動でも使いますが、「赴任」は事業所内移動のような小さい移動の場合は使いません。
②「赴任」と「就任」の違い!
「赴任」と「就任」の違いは、どちらも「まかされる」意味は共通していますが、「就任」は「行く」という動作の概念は含んでいません。
また、「就任」は高い役職や高い地位に就く場合に使いますが、「赴任」は出世ではない場合でも使います。
「指名」と「任命」の違いについては、下の記事をご覧ください!
まとめ
以上が、「就任」と「着任」の意味の違いなどについてでした。
「就任」は高い役職に就くことですが、その役職に「就く」ことに重点が置かれています。
「着任」は新しい勤務地に移動し到着してその役目をまかされることで、「移動して着く」ことと役目を「まかされる」ことの両方を意味しています。
「赴任」は新しい勤務地に行きその役目をまかされることで、「移動して行く」ことと役目を「まかされる」ことを意味しています。
「就任」は高い役職に就く場合しか使いませんが、「着任」や「赴任」は出世かどうかは関係ありません。