「入札」とは、「いれふだ」のことで、発注者側が受注者を選ぶ際に行われるものですよね。
ですがこの「入札」、単純ではありません。
入札方式の中には、「プロポーザル」だとか「コンペ」だとかいろいろです。
なんかわかりにくいですよね…。
ということで、今回は「プロポーザル」と「一般競争入札」と「コンペ」の違いなどについて調べてみました。
1.「プロポーザル」と「入札」の意味の違いは?
まずは辞書から。
・物品の売買や、工事の請負などで、複数の契約希望者が金額などを文書で表示させ、その内容で契約の相手を決めること。競争入札。いれふだ。「建設工事会社を入札で決める」
わかりやすく説明すると、何らかの工事を発注したいと思っているときに、発注者側が「○○の工事を、どのくらいの価格でやってくれますか?」と大勢の工事会社に声をかけたときに、「我がA社では1500万円ですよ!」「いやいや私どもB社では1300万円でやります!」という意思表示が入札です。
このとき、発注者側は一番お得なB社を選択することになります。
つまり入札では、発注者にとって一番有利な条件を出した受注者と契約を結ぶのが原則なのです。
発注者にとっては工事などを最も安く請け負ってくれる会社と契約することができるので費用面においてメリットがありますし、なおかつ公平性が保たれるやり方です。
こういった入札方式を「一般競争入札」といいます。
ただし、一般競争入札は金額の安さが最も重要になってきますが、工事や物品によっては必ずしも金額の安さが最も重要となるとは限りません。
たとえば、○○市にシンボル的な一目で記憶に残るような市民会館を建設しようとした際に、一番低価格で入札した会社が「一目で記憶に残るシンボル的なデザイン」で建設できるとは限りませんよね。
また、○○市の歴史をまとめたパンフレットを作成しようとしたときなど、デザインや構成なども重要となってくるため、必ずしも低価格優先とはならない場合があるのです。
そこで登場するのが、入札は入札なのですが「プロポーザル方式入札」という入札方式です。
「プロポーザル(proposal)」とは、英語で「企画、提案」という意味で、別名「企画競争入札」といいます。
・物品の売買や、工事の請負などで、入札参加者に企画書の提出を求め、事前に定めた採点方式で点数が高い業者に発注する入札方式のこと。
受注者に特殊な施設や技術、企画力などが求められ、価格のみで決まる一般競争入札が適していない場合に採用される。
つまり、受注者側のビジョンやコンセプトに合った企画を複数の契約希望会社に提案してもらい、最も優れた提案を行った会社を選ぶという入札方式です。
この「プロポーザル方式入札」は企画内容を最も重要視し、「一般競争入札」は金額が最も重要視されます。
プロポーザル方式で入札が行われるのは、建築工事や印刷物作成業務のほかに、新しく導入する業務のOAシステムや、研修業務などがあります。
「公平性を保つ」という言葉を使いましたが、「公平」「公正」「中立」「平等」の違いについては下の記事をどうぞ。
2.「プロポーザル」と「コンペ」の意味の違いは?
プロポーザル方式とよく似ているのが「コンペ方式」です。
「コンペ」とは「コンペティション(competition)」の略で、意味は以下のとおりです。
・競争。競技。競技会。
わかりやすく説明すると、複数の受注希望者どうしで設計案を競わせて、受注者側が最も優れている設計案を選ぶというやり方です。
でもこれだと、前項で解説した「プロポーザル方式入札」と同じような感じがしますよね。
しかし、コンペ方式とプロポーザル方式では選定する対象が違います。
コンペ方式では最も優れた「設計案」を選定するのに対し、プロポーザル方式は最も優れた「設計会社」を選定します。
つまり、コンペ方式では優れた設計書そのものを選ぶのに対し、プロポーザル方式は発注者側のコンセプトに対応する能力や技術があるかどうかという基準で選定するのですね。
コンペ方式は時間がかかる詳細な設計業務が必要となり多くの労力を要しますが、プロポーザル方式は企画書の作成はありますが詳細な設計書は必要なく、基本計画程度の準備で提案にのぞめます。
ですからコンペ方式では、仮に落選してしまった場合は設計業務に費やした大きな労力が無駄になってしまうといったデメリットがあります。
まとめ
以上が、「プロポーザル」と「入札」の違いなどについてでした。
プロポーザル方式は、入札方式の一つです。
一般競争入札は最も安い金額を提示した会社が選定されますが、プロポーザル方式は企画内容やその会社の技術力で選定します。
また、コンペ方式では最も優れた「設計案」を選定するのに対し、プロポーザル方式は最も優れた「設計会社」を選定します。