工場や作業場で行う製造・加工や組立などで、部品や工具の位置を固定したり誘導したりする「ジグ」。
このジグなのですが、なぜか漢字で「治具」と書いたり「冶具」と書いたりで2種類存在しています。
このジグは、「治具」と「冶具」では意味が違うのでしょうか?
また「ジグ」と「工具」って別物なの?
ということで、今回は「治具」と「冶具」の違いなどについて調べてみました。
1.「治具」と「冶具」の意味の違いや使い分けは?
「ジグ」とは、削ぎ切り作業を行う上で、部品や工具を固定するとともに、誘導してくれる器具のことです。
固定しながら、かつ正確に誘導してくれますので、的確な削ぎ切り作業が可能となり、同じものを容易に複数作ることも可能になります。
さらに正確に誘導することで作業時間も短縮されますし、非常にありがたい器具なのですね。
実はこのジグ、正確には英語の「jig」が言葉のもとになっています。
英語の「jig」を直訳すると「切削工具を導く装置」のことですね。
日本の「ジグ」は切削工具の誘導のほかに、固定したり締め付けする意味も含んでいます。
つまりです、若干の違いはあるものの日本の「ジグ」と英語の「jig」とはほぼ同じもので、語源はこの「jig」なのです。
そして漢字「治具」と「冶具」は「jig」の当て字なのですね。
ともに当て字ですので、「治具」「冶具」どちらも意味は同じです。
では、「治具」と「冶具」、これはどちらが本流なのでしょうか…、それとも一方が間違い?
まずは「冶具」の「冶」の漢字なのですが、実は読み方は音読みで「ヤ」、訓読みで「い(る)」「と(ける)」「なまめ(かしい)」であり、「ジ」とは読まないのです。
「鍛冶屋」の「冶」からきているので「冶具」の方が本流である、との意見もあるようなのですが、実は「鍛冶屋」の「鍛冶」の読み方は現在は「かじ」とも読みますが元々は「たんや」なのです。
「治具」「冶具」両者とも当て字ではあるものの、厳密には「治具」の方が正しい表記なのかもしれません。
2.「治具」「冶具」と「工具」との違いは?
「治具(以下、治具を使用します)」とは、前項で説明したとおり、切削作業を行う上で、部品や工具を固定するとともに、誘導してくれる器具のことです。
つまり、ある特定の形状の工作物を製造・加工するための道具であり、ほかの物を製造・加工する際は全く役に立たないケースが多いのです。
【カーブカット治具】
「工具」とは、工作物の製造・加工や組み立て、測定などをするときの道具の総称です。
ですから「治具」も「工具」の仲間に入ります。
「治具」と「工具」の最大の違いは、「治具」はある特定の物を製造・加工するときに使用する器具で、「工具」は様々な物の製造・加工・測定、また様々な作業に活用できるということです。
同じ読み方でありながら、まぎらわしい言葉は他にもあります…。
特に「迎える」と「向かえる」は気を付けないと、意味が違うので大変なことになってしまいますよ!
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まとめ
以上が「治具」と「冶具」の違いなどについてでした。
「治具」と「冶具」ですが、パソコンで変換するとどちらも出てきます。
インターネット上の辞書でも、両方存在するようですが、自分の辞書には「治具」しか載っていませんでした。
仮に「冶具」が間違いだとしても、現在両方とも不通に使用されていますので、時代が進むにつれて、「冶具」も辞書に載るかもしれませんね。