鶏肉と根菜類の煮物……といえば「筑前煮」ですよね。
ですが「炒り鶏」といった呼び方もよく耳にします。
「筑前煮」と「炒り鶏」は、もしかして別物なのか…?
煮物料理って見た目が似ているのに、呼び方も色々ですよね…。
ということで、今回は、「炒り鶏」と「筑前煮」の違いなどについて調べてみました。
1.「炒り鶏」と「筑前煮」の違いは?
結論からいえば、「炒り鶏」と「筑前煮」は同じ料理、さらにいえば「がめ煮」も同じ料理です。
一口大に切った鶏肉と、レンコン・にんじん・ごぼうといった根菜類などを煮た料理ですね。
これです。
特徴は、通常の煮物料理にはない具材を油で炒める工程があること、炒めた後に醤油やみりんなどで煮ます。
「炒り鶏」は、炒める工程があることから「炒り鶏」といった呼び方になったのですが、その他にも「煎り鶏」とも書きますし「炒り鳥」や「煎り鳥」と書いているところもあるようです。
ちなみに「炒る」と「煎る」の違いは、「炒」は鍋などで熱し焦がし香ばしくすることが主目的、「煎」は火で熱し焦がしますが水分を飛ばすことが主目的です。
「炒飯(チャーハン)」と「煎茶(せんちゃ)」の違いですが、行っている行為そのものは同じことですね。
また、読み方も「いりどり」のほか「いりとり」と読むところもあるようです。
鶏肉も、ニワトリの肉が一般的ですが、鴨や雁の肉の場合もあったようでその時は「鶏」ではなく「炒り鳥」か「煎り鳥」になるのでしょう。
一方の「筑前煮」は、福岡県の筑前地方が発祥で、炒める工程がある独特の煮物料理であることから筑前地方以外の人々が「筑前煮」と呼んだのが始まりです。
「筑前煮」は、学校給食のおかずとして採用されて全国に一気に広がりました。
そして、家庭科の教科書に「炒り鶏」と記載され、「炒り鶏」も広がったのです。
当然ですが、筑前地方の人々は自分たちの当たり前の日常料理を「筑前煮」と呼ぶはずもなく元々の名称「がめ煮」と呼んでいました。
余談ですが、「がめ煮」の語源は、博多の方言で「寄せ集める」という意味の「がめくりこむ」からといった説や、博多の方言で「がめ」つまりスッポンが食材として使われていたからといった説があります。
ということで、「炒り鶏」「筑前煮」「がめ煮」は全て同じ料理のことです。
ただし、「がめ煮」独特の特徴は「骨付きの鶏肉」を使うこと。
骨付きの鶏肉を使うことで、美味しさも違ってくるようです。
鶏がらスープの原理でしょうかね。
2.「煮しめ」と「筑前煮」の違いは?
「煮しめ」といえばお正月のおせち料理です。
「煮しめ」は煮汁が少なくなるまで煮ること、つまり「煮しめる」からきています。
「筑前煮」と「煮しめ」の違いは、「筑前煮」は炒める工程があるのに対し「煮しめ」は炒めません。
また、「煮しめ」は味付けが濃い目であるほかに、具材は基本的に野菜類だけです。
ですが、地方によってはちくわなどの練り物や、肉が入るところもあります。
元々は、おせち料理ですので、そのために日持ちを考慮し濃い目の味付けになりました。
「現在の日本では日持ちの必要性はない」と思うかもしれませんが、「煮しめ」とはお正月に食べるおせち料理であり、まさに「おふくろの味」です。
濃い味付けにしなければ「煮しめ」ではなくなってしまい、「煮付け」や「含め煮」といったほかの煮物料理と同じになってしまいます。
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まとめ
以上が、「炒り鶏」と「筑前煮」の違いなどについてでした。
「炒り鶏」と「筑前煮」、それに「がめ煮」、この三つは同じ料理です。
「がめ煮」が元々の名前、がめ煮が全国に普及するときに「筑前煮」や「炒り鶏」という名前で広がりました。