人間の味覚は「酸味・甘味・塩味・苦味」に加えて「うま味」の5つです。
実はこの「うま味」、世界の中で日本人がはるか昔に発見したものなのです!
そしてこのうま味は、様々な食材から手間をかけて抽出するのですが、その手間やコストを省いてくれるのが、「味の素」「ハイミー」「いの一番」などのうま味調味料。
ですがこの3種類、どれを使うべきなのか?悩むことはありませんか?
ということで、今回はうま味調味料を代表する「味の素」「ハイミー」「いの一番」の違いについて調べてみました。
それにしても、いつの間に「うま味調味料」というようになったんだろう……昔は「化学調味料」と呼んでいたような気がするのですが(^^;)
1.「味の素」「ハイミー」「いの一番」の価格や成分の違いは?
まずは、味の違いの決め手となる「うまみ成分」の名称から解説します。
最初は「グルタミン酸ナトリウム」、これは昆布のうま味で、サトウキビからつくられるうま味成分の代表的存在です。
そして「イノシン酸二ナトリウム」、これはかつお節のうま味で、サトウキビやタピオカやトウモロコシのデンプンからつくられます。
かつお節のほかに、煮干しや肉にもイノシン酸ナトリウムは多く含まれています。
最後は「グアニル酸ナトリウム」、これはシイタケのうま味で、これもサトウキビやタピオカやトウモロコシのデンプンからつくられます。
この①グルタミン酸ナトリウム、②イノシン酸二ナトリウム、③グアニル酸ナトリウムの三つが「三大うまみ成分」といわれています。
イノシン酸二ナトリウムとグアニル酸ナトリウムは、二つ合わせてリボヌクレオタイドナトリウムともいいます。
昆布だしのグルタミン酸ナトリウムを元に、イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムを数パーセントずつ配合することで、うま味を強く感じさせる相乗効果がうまれるのです。
それでは、それぞれの成分の比率と価格の違いを紹介しますね。
各商品の価格は、3種類全て同じ販売会社の1㎏の販売価格で、2018年5月のものです。
小さいサイズであればあるほど、余計なコストが入り込みますので、1㎏と大きいサイズの価格で比べています。
①味の素
「味の素」は味の素株式会社の商品です。
味の素のうま味成分の構成比率は以下のとおりです。
・グルタミン酸ナトリウム:97.5%
・イノシン酸ナトリウム:1.25%
・グアニル酸ナトリウム:1.25%
三つのうま味調味料のうち、グルタミン酸ナトリウムの比率が一番高いのが味の素です。
そして、味の素の1㎏の販売価格は税込み725円。
②ハイミー
「ハイミー」も味の素株式会社の商品です。
味の素より高級なうま味調味料ですね。
ハイミーのうま味成分の構成比率は以下のとおりです。
・グルタミン酸ナトリウム:92%
・イノシン酸ナトリウム:4%
・グアニル酸ナトリウム:4%
味の素よりもイノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムの比率が高く、味の素より上品な味が演出されています。
そして、ハイミーの1㎏の販売価格は税込み1626円。
味の素の倍以上の価格、つまりそれだけコストがかかっているということ。
③いの一番
最期の「いの一番」は、MCフードスペシャリティーズ株式会社の商品です。
私の中ではこだわり派が使っているイメージのうま味調味料ですね。
いの一番のうま味成分の構成比率は以下のとおりです。
・グルタミン酸ナトリウム:92%
・イノシン酸ナトリウム+グアニル酸ナトリウム:8%
(リボヌクレオタイドナトリウム:8%)
ハイミーと似た配合ですが、イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムの比率は不明で、味にも違いがあります。
そして、いの一番の1㎏の販売価格は税込み1350円。
ハイミーよりは安価です。
「味の素」「ハイミー」「いの一番」をまとめると、結論は以下のとおりです。
「味の素」<「ハイミー」?=?「いの一番」
味の素よりハイミーやいの一番の方が上品な味で高級感がありますが、ハイミーといの一番は微妙な味の違いはあるものの、どちらが上回っているかは好みの問題だと思います。
グルタミン酸ナトリウム→「味の素」>「ハイミー」=「いの一番」
イノシン酸ナトリウム+グアニル酸ナトリウム→「ハイミー」=「いの一番」>「味の素」
「味の素【725円】」<「いの一番【1350円】」<「ハイミー【1626円】」
価格は、この順番でハイミーが一番高価ということです。
2.「味の素」「ハイミー」「いの一番」の使い分けは?
うま味調味料には、前項で解説したとおり「グルタミン酸ナトリウム」と「イノシン酸ナトリウム」と「グアニル酸ナトリウム」が含まれています。
グルタミン酸ナトリウムは昆布のうま味成分、イノシン酸ナトリウムはかつお節のうま味成分、グアニル酸ナトリウムはシイタケのうま味成分です。
そして、味の素はグルタミン酸ナトリウムが多いうま味調味料です。
ですから、昆布だしの料理や、魚介系の風味が邪魔になるときに使うとよいです。
たとえば湯豆腐や、野菜のスープなどにおすすめですね。
ハイミーやいの一番には昆布のうま味成分に加えて、かつお節やシイタケのうま味成分も含まれています。
ですから、植物系の食材と動物系の食材が混ざりあうような鍋料理などがおすすめです。
こういった料理はたくさんありますので、かなり幅広く使えますね。
「昆布」「かつお節」「シイタケ」については、下の関連記事をご覧ください。!
詳しく解説していますよ。
まとめ
以上が、「味の素」と「ハイミー」と「いの一番」の違いや使い分けなどについてでした。
だしをとる時間がないとき、あるいは節約しながらおいしい料理を作りたいとき、うま味調味料を上手に利用するとよいですね。
うま味調味料を選ぶときは、価格や好みも大切ですが、うまみ成分に着目してみるの一つです。