「弔意」と「弔慰」、どちらも「ちょうい」と読みます。
不幸事があった際に出てくる言葉ですが、この二つの言葉の意味の違いをご存知ですか?
どちらも「ちょうい」ですので、発言に関しては問題ないと思うのですが…。
文章として書く際は、キチンと使い分けなくてはいけません!
ということで、今回は「弔意」と「弔慰」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「弔意」と「弔慰」の意味の違いや使い分けは?
最初に、「弔意」と「弔慰」の意味を辞書で調べてみます。
・し者を悼みなげく気持ち。
【弔慰】
・し者をとむらい、遺族をなぐさめること。
「弔意」の意味に「悼み(いたみ)」とありますが、「悼む」とは「人がなくなったことを、悲しみなげく」という意味です。
ですから、「弔意」の意味は「なくなった人を、悲しみなげく気持ち」という意味になります。
そして、一方の「弔慰」。
「弔慰」の意味に「とむらい」とありますが、「とむらう」とは「人がなくなったことを悲しみなげき、遺族におくやみを言う」という意味です。
ですから、「弔慰」の意味は「人がなくなったことを悲しみなげき、遺族におくやみを言い、なぐさめる」という意味になります。
ということで、「弔意」と「弔慰」の違いを一旦まとめます。
「弔意」とは「悲しみなげく気持ち」のことで、「弔慰」とは「悲しみなげき、遺族をなぐさめる」ことです。
つまり、「弔意」とは気持ちのことで、「弔慰」とは「言う」「なぐさめる」といった行動のことですね。
また、「弔意」は自分の気持ちをあらわしていますが、「弔慰」は遺族の気持ちをなぐさめておだやかにするということになります。
ですから、「弔意」は「自分気持ちが対象」、「弔慰」は「遺族の気持ちが対象」ともいえます。
2.「弔意」と「弔慰」の具体的な使い方は?
それでは、「弔意」と「弔慰」の実際の使い方をご紹介します。
遺族をなぐさめるため、企業などが遺族へ贈るお金のこと。
「弔意金」とはいいません。
遺族をなぐさめるための手紙のこと。
一般的には、通夜や葬儀などに参列できない場合に送る手紙です。
「弔意状」とはいいません。
悲しみなげく気持ちを述べるという意味です。
仮に「弔慰を述べる」となると、「悲しみなげき、遺族におくやみを言い、なぐさめる。それを述べる」という意味になってしまいます。
つまり、「言うことを、述べる」となり、おかしな日本語になってしまいます。
悲しみなげく気持ちをあらわすという意味です。
仮に「弔慰をあらわす」となると、これも「言うことを、あらわす」といった変な意味になってしまいます。
悲しみなげく気持ちの言葉という意味です。
こちらも「弔慰」に置きかえると、おかしな意味になります。
3.「弔意」と「弔慰」、「弔」「意」「慰」の漢字の意味は?
「弔意」と「弔慰」に使われている漢字、「弔」「意」「慰」のそれぞれの漢字の持つ意味を解説しますね。
「弔」は「ちょう」と読みますが、訓読みでは「とむらう」と読みます。
「とむらう」とは、最初に説明しましたが「人がなくなったことを悲しみなげき、遺族におくやみを言う」という意味です。
「弔」は、「遺族におくやみを言う」とありますが、「弔意」や「弔慰」のようにほかの漢字と合わさることで「言う」ことよりも「人がなくなったことを悲しみなげく」とい意味の方が強くなります。
「意」は「い」と読みますが、訓読みでは「こころ」「おもい」「おもう」と読みます。
「意」の意味は、「考え」や「思い」ということです。
「慰」は「い」と読みますが、訓読みでは「なぐさめる」「なぐさむ」と読みます。
「慰」の意味はそのとおり「なぐさめる」ということですね。
つまり、「意」は「考え」「思い」で、「慰」は「なぐさめる」という行動です。
ですから、「弔意」は「悲しみなげく気持ち」という意味で、「弔慰」は「人がなくなったことを悲しみなげき、遺族におくやみを言い、なぐさめる」という意味になります。
最初に説明したとおりですね。
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まとめ
以上が、「弔意」と「弔慰」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「悲しみなげく気持ち」は「弔意」で、「人がなくなったことを悲しみなげき、遺族におくやみを言い、なぐさめる」ことが「弔慰」です。
つまり、「弔意」は気持ち、「弔慰」は「言う」「なぐさめる」といった行動ともいえます。
「弔意の言葉」や「弔意をあらわす」というように、通常は「弔意」の方が多く使われます。
「弔慰」の方は、「弔慰金」や「弔慰状」といった形式的な使われ方をします。
日本語は、漢字は違うのに同じ読み方の言葉がたくさんあります。
「乗せる」と「載せる」もその1つですが、「打球を風にのせる」や「売り上げを1億円の大台にのせる」はどっちの「のせる」だと思いますか?
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