日本人にとって椿はとても身近な花ですよね……ですが、よく似た花との区別がつかない…
(-_-;)
ところで「椿」と、椿とよく似た「侘助」の違いってご存知ですか?
それから、「山茶花」もよく似ています…。
ということで、今回は「椿」と「侘助」、「椿」と「山茶花」の違いについて調べてみました。
1.「椿」と「侘助(わびすけ)」の違いは?
「椿」はツバキ科ツバキ属の総称で、常緑樹です。
常緑樹とは、1年中緑の葉を付けている樹木のことです。
緑のとても丈夫な厚い葉を付けていることから、「厚葉木(あつばき)」が語源であるといった説もあります。
この椿、日本国内だけでも1000種類以上の品種があるとされています。
古くから愛されてきた花なのですが、花が散るときに首から「ボトッ」と落ちてしまうことから、武士が嫌ったとされています。
また、花が落ちる様子が「落馬」を連想することから、競走馬や馬術競技馬の名前に「ツバキ」は使われません。
そして、椿によく似た侘助……それもそのはず、実は「侘助」は椿の一品種なのです。
写真は侘助の中の「太郎冠者(たろうかじゃ)」という品種で、別名「有楽椿(うらくつばき)」とも呼ばれています。
侘助の中にも、「白侘助」や「胡蝶侘助」など、数多くの品種があるのです。
侘助には定義があります。
【「侘助」の定義】
①上の写真の花「有楽椿」(太郎冠者)の子孫であること。
②「葯」という、おしべの先端の花粉を作る器官が退化して花粉を作らないこと。
この2点を満たすと「侘助」になります。
写真の「太郎冠者」が侘助の原点なのですね。
ちなみに、「有楽椿」の子孫でなくても、「葯」が退化した品種も存在するのですが、こういった品種は「侘芯椿」という品種となり「侘助」とは区別されています。
侘助の名前の由来は、朝鮮から最初に持ち帰った人の名前であるという説や、千利休に仕えていた人の名前であるといった説など、他にも様々な説があります。
そして、侘助の特徴は以下のとおりです。
・侘助の花は、椿に比べて小さい
・一重咲きか、猪口咲きのものが多い
・椿よりも開花が早い
・椿の花は香りがないが、侘助は香りが有るものもある
・花の色がピンク系のものが多い
侘助は千利休などの茶人が好んでいたことから、茶花として茶室に飾られることが多い花です。
2.「山茶花(さざんか)」と「椿」の違いは?
「山茶花」もツバキ科ツバキ属で、常緑樹ですので椿とよく似ています。
同じツバキ属なのですが、「山茶花」と「椿」は区別されています。
山茶花は、「たき火」という歌に「さざんか、さざんか、咲いた道♪」という歌詞があるとおり、寒い季節の花です。
写真を見ていただいても感じると思いますが、椿との違いはわかりませんよね。
山茶花と椿を見分けるときのポイントがこちらです。
【「椿」と「山茶花」の違い】
【開花時期】
・椿:12月~4月
・山茶花:10月~12月
【花の形】
・椿:花びらが若干筒状で立体感有り
・山茶花:花びらが広がり平面的
【花の香り】
・椿:ほとんど香り無し
・山茶花:香り有り
【花の落ち方】
・椿:首からボトッと落ちる
・山茶花:花びらがバラバラに散る
【葉の形】
・椿:葉のふちのギザギザが浅く小さい
・山茶花:葉のふちのギザギザが深く大きい
【葉の裏】
・椿:毛がほとんどない
・山茶花:葉脈に沿って毛が有る
【実】
・椿:表面がツルツルして毛が無い
・山茶花:表面に毛が有る
「山茶花」と「椿」って、一見すごく似ているのですが、こうして違いを分析すると全然違う花であることがよくわかりますね。
それにしても「山茶花」ってそのまま読むと「さんさか」ですよね。
名前の由来も、中国から伝わる時に「山茶花」を「茶山花」と間違って伝わったという説や、「さんさか」が訛って「さざんか」となったといった説があるようです。
「杏」と「梅」の違いについては、下の関連記事をご覧ください。
まとめ
以上が、「椿」と「侘助」、さらに「椿」と「山茶花」の違いについてでした。
侘助は椿の一品種、山茶花は椿と同じツバキ科ツバキ属の植物です。
ですから、どれも見分けるのが難しいのは当然ですね。
侘助と椿を見分けるときは、花が小さくて、ピンク系が多いのが侘助です。
椿と山茶花では、木から落ちた花の姿で見分けることができます。
「タイム」と「ローズマリー」の違いについては、下の記事をどうぞ。