外はそれほど風が吹いていないのに、地下鉄に乗るために階段を降りようとすると、強い風が吹きますよね?
これ、不思議じゃないですか?
外も風が強いのであればまだわかるのですが…。
しかも、地下鉄って地下ですよね。
つまり、壁や天井に囲まれた室内のようなもの。
そんな場所で、なぜ強い風が吹くのか?
ということで、今回は地下鉄の風が強い理由について調べてみました。
1.地下鉄の風が強い理由は?なぜ強い?
地下鉄構内の風の要因はたくさんあるのですが、特に大きな要因となっているのが「列車風」と「換気風」の2点です。
では、最初に「列車風」から説明しますね。
①列車風ってなに?
屋外であっても、電車が走ることで風が吹きます。
電車と電車がすれ違う時に、「ビュッ」っと風の音が聞こえますよね。
これは、電車の走るスピードによって空気が動くということなのです。
駅のホームで、「黄色い線まで下って…」といったアナウンスが流れますが、これは電車が起こす風に人間が巻き込まれないようするため。
さてさて、地上の電車でも風が吹きますので、当然ですが地下鉄が走っても風が吹きます。
特に、地下鉄の場合は屋外と違い壁に囲まれた「穴」の中を走っています。
地上だと、空気の逃げ場はかなり広いのですが、地下鉄の場合は壁に囲まれているため空気の逃げ場はありません。
つまり、空気は列車の進行方向へ押し出されるのです。
わかりやすくいうと、地下トンネルという注射器を、列車というピストンが押し出すイメージです。
すると、注射針から空気が勢いよく抜けますよね。
これと同じ。
下の図を見てください。
列車が押し出した空気が、地下鉄駅構外へ押し出されるのです。
さらに、電車が駅を出発すると今度は地下鉄駅構内の空気圧が下がります。
空気圧が下がることで、今度は逆の風が吹きます。
つまり、屋外から地下鉄駅構内へ吹き込む風が起こるのです。
これをたとえるならば、地下トンネルという注射器で、列車というピストンを押すのではなく引くイメージです。
すると、注射針から空気が注射器内へ取り込まれます。
下の図を見ていただければわかりやすいと思います。
これが列車風の仕組みですね。
②換気風ってなに?
高速道路の長いトンネルを走っていると、天井のところどころに巨大な扇風機がついているのをみたことがありませんか。
これは、巨大な扇風機でトンネル内を換気しているのです。
つまり、トンネルの中の空気の質が悪化しないようにしているのですね。
これと同じことが、地下鉄が走る地下で行われているのです。
地下鉄が走る場所も、巨大なトンネルです。
しかも、かなりの広範囲ですよね。
距離にすれば物凄い長さのトンネルになります。
そういった長い長いトンネル内の空気の質を適正に保つために行われているのが換気です。
換気装置によって、地下空間の空気は屋外へ排出されますし、逆に屋外の新鮮な空気は地下空間へ取り込まれます。
そういった換気装置によって、風が吹くのです。
2.地下鉄の風!出入り口周辺が強い理由は?
それから、地下鉄駅の風なのですがなぜか駅構内ではそれほど風は吹きませんよね。
風が強いのは、なぜか地下鉄の出入り口。
階段のあたりで強く風が吹きます。
出入り口よりも駅構内の方が、電車に近い分列車風の影響をもるに受けそうな感じがするのですが、不思議です。
それには理由があります。
実は、駅構内でも空気はキチンと動いています。
つまり、風は吹いているのです。
ただし、空間が広いため風の流れをそれほど感じないのです。
そして、出入り口付近になると、その空間は狭くなり風の流れが限定されてしまいます。
狭い出口をたくさんの空気が逃げようとするので、風が強くなってしまうのです。
たとえるならば、人間の口からはき出される空気です。
大きく口を開けて息をはいても、それほど強い風を起こすことはできません。
ですが、口を狭めて息をはくと、「ヒューッ」っと強い風が起こります。
これは、つまり空気の出口を狭くすることで、強い風が起こせるということなのです。
まとめ
以上が、地下鉄の風が強い理由についてでした。
地下鉄の風は、列車が起こす「列車風」と換気装置が起こす「換気風」が主な要因です。
地下鉄駅構内全体で風が起こっているのですが、その空気の流れが、狭い出入り口付近になると風が強くなるのです。
狭い場所で、空気の交通渋滞が起きるといえばわかりやすいでしょうか。