「意見」と「要望」。
「ご意見、ご要望はメールで…」といったように同時に使われることが多い言葉です。
なんとなく意味を理解しているつもりが、実際に「意見と要望の境目はどこ?」と思うことがあります…。
境界がわかりにくい理由として、「意見」には「言いきかせる」という意味も含まれるから…。
このまぎらわしい「境目」について、詳しく調査してみましたよ!
ということで、本記事では「意見」と「要望」の意味の違いと使い分けについて徹底的に調査した結果をお伝えしていきます。
境目のポイントをわかりやすく説明しますので、ご期待ください!
1.「意見」と「要望」の違い!
最初に、「意見」と「要望」の違いについて端的にお伝えします。
「要望」は、物事の実現を強く望むこと。
ポイントとなるのが「強く望む」があるかないかですね。
では、もっとかみ砕いて説明していきますね。
①「意見」の意味をわかりやすく!
「意見」は、自分の考えそのもののことであり、その考えを相手に望んだりはしません。
ただし、「意見」はその考えを言いきかせるという意味もあります。
この「言いきかせる」とは、「忠告」や「注意喚起」といった位置付けであり、強く望むものではないのですね。
わかりやすく、例文にたとえますね。
「私は、今日は雨が降ると思うよ。だから傘を持って行った方がいいと思う」
「雨が降ると思う」という部分と「傘を持って行った方がいいと思う」という、2つが「意見」です。
傘を持って行くように強要はせずに、あくまでも助言です。
②「要望」の意味をわかりやすく!
一方の「要望」は、物事の実現を強く望むことなので、少し押しが強くなります。
単純に、考えを表明するだけではなく、その考えを相手に強く望むことが加わるということ。
たとえば、下の例文のとおりです。
「今日は雨が降ると思う。あなたは風邪を引いているので、お願いだから傘を持って行ってほしい」
「お願いだから傘を持って行ってほしい」という、強く望む部分があることで「要望」になります。
③「意見」と「要望」の違いを整理!
違いの部分を整理しますね。
「意見」は「持って行った方がいい」と言うことで相手に助言するイメージです。
「要望」は「持って行ってほしい」と言うことで相手の考えを自分の考えに合わせるように望んでいます。
「要望」の方が、自分の考えに近づける力が強いのですね。
ただし、「意見」も「要望」も強制性はありません。
相手は、あくまでも「意見」や「要望」を聞いた上で、自分で判断します。
また「意見」の方は、発言などで必ず表明するとは限りません。
たとえば、「意見がある人は?」と問いかけられて数十人が挙手したとしても全員が発言できるとは限りませんよね。
表明しなくても、「意見」を心の中に持っているだけの場合もあります。
2.「意見」と「要望」の関係性!
「意見」と「要望」には密接なつながりがあります。
①最初が「意見」で次に「要望」へとつながる!
「意見」が最初で、その次に「要望」といった順番で進みます。
たとえば、以下のとおり。
「町内のゴミ置き場に、ゴミが多すぎて置けないことがあって不便だ」
これが「意見」です。
「ゴミが置けなくて不便だ」という「意見」ですね。
その後に以下のように変化します。
「町内のゴミ置き場が狭くなったため、ゴミ置き場を大きく広げてほしい」
これが「要望」になります。
「ゴミ置き場を広げてほしい」と強く望んでいます。
こういったように、最初に「意見」があり「要望」へつながります。
②漠然とした段階は「意見」で方向性が見えてきたら「要望」!
漠然とした違和感などがうまれて、最初の「意見」が出てきます。
たとえば、「ゴミが置けなくて不便だな~」といった違和感が「意見」ですね。
この「意見」の段階では、ハッキリと「こうした方がよいのでは?」といった方向性が見えていない場合もあるということですね。
その後、方向性が見えてきます。
たとえば、「ゴミ置き場を広げれば解決するのでは」という方向性です。
そして、「ゴミ置き場を大きく広げてほしい」といった形で強く望めば「要望」になります。
例では、改善対策に関する事例で説明しましたが、もちろんそういったものだけではありません。
「素晴らしいと思う」「素敵だ」という明るい「意見」もあります。
また、「要望」も「最優秀賞は○○氏以外に適任者がいない、最優秀賞は○○氏にするべき」といった明るい「要望」もあります。
3.「意見」と「要望」の辞書での意味!
違いについて説明してきましたが、今度は辞書で「意見」と「要望」がどのように解説されているのかみていきましょう。
①「意見」の辞書での意味!
【意見】
・心に思うところ。考え。自分の考えを言って、いさめること。「子供に―する」引用元:旺文社国語辞典
最初の項目で説明した内容とほぼ一致しています。
「自分の考え」という意味が1つ。
そしてもう1つの意味が「自分の考えを言って、いさめること」、つまり言いきかせることですね。
②「要望」の辞書での意味!
【要望】
・実現を強く望むこと。「―にこたえる」「待遇改善を―する」引用元:旺文社国語辞典
「要望」も最初の項目のとおり、「物事の実現を強く望むこと」ですね。
4.「意見」と「要望」の実際の使い方!
今度は、「意見」と「要望」の使い方を例文で紹介します。
①「意見」の使い方!
・全従業員に対し更衣室の現状について意見を求める。
・病院の待ち時間に関する意見を集約した。
・絵画コンテストの表彰のため意見交換を実施した。
・反対意見が多すぎて、会議の収拾がつかなくなる。
・あなたの日頃の行動に対して意見を言いたい。
②「要望」の使い方!
・経営者側に対して女子更衣室の設置を要望する。
・病院に対して待ち時間短縮に関する対策を要望した。
・絵画コンテストの表彰式では参加者に対する休憩時間の確保を要望した。
・混乱した会議では、反対派の要望を取り入れることを条件に無事収めた。
・あなたの日頃の行動に対する要望を言いたい。
5.「要望」と「要請」の意味の違い!
「要望」と似た意味の言葉で「要請」があります。
「要望」は「実現を強く望むこと」であるのに対し、「要請」は「必要なこととして、それをしてくれるように願い求めること」です。
「要望」が「望む」で、「要請」が「願い求める」ですので意味が似ています。
ですが、違いのポイントは「必要なこととして」という部分。
「要請」には「必要なこととして」が加わります。
「どうしても必要だ」という大前提がある「要請」は、「要望」よりも相手に対する力が「強力」になるのです。
「要請」については、下の関連記事で詳しく解説していますので、もしよかったら覗いてみてください!
「必要なこと」や「必要でないこと」についてもわかりやすく解説していますよ。
まとめ
以上が、「意見」と「要望」の意味の違いと使い分けについてでした。
「意見」と「要望」の違いのポイントとなるのが「強く望む」が入るか入らないかです。
「要望」には「強く望む」という意味が加わります。
その分、「要望」の方が相手に対する望みが強くなるのですね。
「意見」には「言いきかせる」という意味もありますが、これはあくまでも「助言」や「忠告」的な位置付けに留まるのです。
「請願」「陳情」「要望」の違いについては、以下の関連記事をご覧ください。