「個人主義」と「利己主義」、混同されたり同じ意味と誤解されることが多いですが、両者は意味が違います。
ということで、今回は「個人主義」と「利己主義」の違いや、個人主義の対義語「全体主義」の意味などについて調べてみました。
1.「個人主義」と「利己主義」の意味の違いとは?
まずは個人主義から。
個人を立脚点とし、社会や集団も個人の集合と考え、それらの利益に優先させて個人の意義を認める態度。以下略(広辞苑より)
個人主義を英語でいうと「Individualism」です。
つまり、国家や社会の権威よりも、その人、個人の権利と自由を尊重するという理論です。
個人主義って「自分勝手」だとか「利己主義」「エゴイズム」と同じ意味として使われることもありますが、元々は「個人>社会、国家、集団」という意味なのですね。
個人主義は、日本国憲法でも大切な原則の一つになっています。
憲法13条で「全て国民は、個人として尊重される」と明記されていますし、幸福追求権(憲法13条)の土台には個人主義の考え方があります。
一方の「利己主義」を広辞苑で引いた結果が以下のとおりです。
自己の利害だけを行為の規準とし、社会一般の利害を念頭に置かない考え方。主我主義。自己主義。↔利他主義。
つまり、「自分さえよければ他人のことなんかどうでもいい」「自分の利益や快楽のみ追求しよう」というのが利己主義です。
利己主義を英語でいうと「egoism」です。
2.「全体主義」の意味は?
「全体主義」を広辞苑で引いた結果が以下のとおりです。
個人に対する全体(国家・民族)の絶対的優位の主義のもとに諸集団を一元的に組み替え、諸個人を全体の目標に総動員する思想および体制。
つまり個人主義とは反対で、個人の権利や自由を認めず、全てを国家の統制下に置こうとする主義、「個人<社会、国家、集団」というのが全体主義です。
全体主義を英語でいうと、「totalitarianism」です。
「全体主義」の語源・由来は、イタリアのファシズムの指導者ムッソリーニが1924年に掲げた「全体主義国家」です。
「全体主義」はイタリアのファシズムやドイツのナチス、ソビエトのスターリン体制を告発・非難する言葉として、使われるようになりました。
こういった主義主張によく出てくる言葉が「公平」「公正」「中立」です。
「公平」「公正」「中立」の違いをご存知ですか?
下の関連記事では「平等」も加えて詳しく解説していますので、もしよかったらご覧ください。
まとめ
以上が、「個人主義」と「利己主義」の違い、個人主義の対義語「全体主義」の意味などについてでした。
個人主義とは「個人>国家」のことで、対義語は全体主義「個人<国家」です。
利己主義は「自分さえよければいい」という考え方のことです。
「君って自分勝手だね」というのは個人主義ではなく「利己主義」です。
利己主義で生きることができたら、楽に生きられるのでしょうが、「他人に嫌われたくない」という気持ちが利己主義に生きることを邪魔してしまいますね。
自由に生きたい自分と他人によく見られたい自分、どっちも叶えたいというのはなかなか難しいです…。
「多文化主義」については、下の記事を覗いてみてください。