「伝統」と「文化」、この二つの違いって分かりにくいですよね。
英語に訳すと、伝統は「tradition(トラディション)」で、文化は「culture(カルチャー)」……そういえば私、英語は苦手でした。
訳したところで違いは分からないのに、何をやっているんだか(´―`)
ということで、今回は「伝統」と「文化」の違いについて、英和辞典以外で調べてみました。
1.「伝統」と「文化」の違いは?
まずは、広辞苑から。
・ある民族や社会・団体が長い歴史を通じて培い、伝えて来た信仰・風習・制度・思想・学問・芸術など。特にそれらの中心をなす精神的在り方。
【文化】
・人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容とを含む。
(以下省略)
ぱっと読んだだけでは分かりづらいですが、よくよく読んでみると、以下のように要約できます。
・伝統=過去から受け継がれてきたもの
・文化=現在定着しているもの
伝統が昔からの受け継ぎである一方、文化とは今現在の衣食住をはじめとした人々の暮らしや物、考え方のことですね。
また、文化とは作りだされて定着しているもの全てのことですので、伝統も文化の一つです。
つまり「伝統文化」ですね。
古い文化、「伝統文化」があれば、ごく最近になって生み出された新しい「文化」もあるわけです。
①伝統
・伝統芸能(歌舞伎、能、落語、狂言など)
・伝統工芸(輪島塗、有田焼き、萩焼など)
※これらは伝統であり文化でもあります。
②文化
・畳
・成人式
・年賀状
・箸で食べる
・お盆に墓参りをする
伝統は、昔から受け継がれてきた日本の文化、つまり伝統文化です。
・節分に恵方巻を食べる
これは一部の地域の人にとっては伝統文化ですが、それ以外の地域の人にとってはつい最近できた文化です。
・SNSでフォローされたらフォローバックする
これは新しいSNS文化です。
・着物を着る
これは日本人の文化ではありましたが、現在では、普段は洋服を着るのが一般的な日本人の文化です。
2.「伝統」と「伝承」の違いは?
「伝承」とは「伝え受けつぐこと。古くからあった『しきたり』(制度・信仰・習俗・口碑・伝説などの総体)を受け伝えてゆくこと。また、その伝えられた事柄。(広辞苑より。一部省略あり)」のことです。
「伝統」とは、子孫や後世に意図的に伝えてきたものもありますが、伝えようという意図なく自然に残ったものが含まれます。
「伝承」は強い意志をもって子孫や後世に伝えることです。
たとえば、「箸を使う」という伝統は、「箸を使うという文化を次の代に伝えなければいけない」という使命感を持って子供に箸の使い方を教えるわけではありません。
村の言い伝えや祭り、神社の祝詞などの伝承は「後世に伝えなければいけない」という強い使命感のもとで子供や村の若者に伝えていくのです。
「伝統」と「伝承」の違はまだあります。
「伝承」は先代から自分が受け継いだものをそのまま次の代に伝えます。
たとえば、村の言い伝えや神社の祝詞を子供や次の代に伝えるときに、母親や神主さんが自分流にアレンジすることはありません。
自分が受け継いだものをそのまま次の代に伝えるのが「伝承」なのです。
「伝統」には革新があるのです。
先代から受け継いだものをそのまま次の代に伝えるだけでなく、もしよりよいやり方や新しい時代に合ったやり方があれば、そのやり方へと伝統は変化していくのです。
まとめ
以上が、「伝統」と「文化」の違いなどについてでした。
伝統は昔から受け継がれてきたものです。
文化は定着している衣食住をはじめとした人々の暮らし、物、考え方などのことです。
文化の中には、伝統文化もあれば、今生まれたばかりの新しい文化もあります。
また、時代の流れとともに消えてしまう文化もあります。
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