「提示」と「掲示」、「示」という字がありますのでどちらも「しめす」こと。
意味が似ています…。
では、「提示」と「掲示」、どういったように使い分けるのでしょうか…。
ということで、今回は「提示」と「掲示」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「提示」と「掲示」の意味の違いや使い分けは?
まずは、「提示」と「掲示」の意味を辞書で調べてみます。
・差し出して見せること。
【掲示】
・連絡、伝達事項を紙などに書いて、人の目につく所にかかげしめすこと。また、その文書。
「提示」も「掲示」も、誰か別の人間に対して見せる、しめすといった意味では同じです。
では、同じ見せる行為でありながら何が違うのか、分析していきますね。
①差し出す「提示」と掲げる「掲示」
「提示」とは差し出して見せるということです。
たとえば、警察官が運転中の車を止めて、運転免許証の確認を求めたとします。
そこで、運転手が運転免許証を差し出して見せる行為、これが「提示」です。
一方の「掲示」は、掲げて見せるということです。
「掲げる」とは、「多くの人目に付くように高く上げて、見せる」ということです。
ですから、大学の合格発表で受験番号が書かれた紙を、多くの人が見えるように貼り出す行為、これが「掲示」です。
また、「高く上げて、見せる」のが「掲示」ですが、新聞紙面やインターネット上など多くの人が目につく場所であれば、高くない場所であっても「掲示」といいます。
②相手が決まっている「提示」と相手が不特定多数の「掲示」
「提示」の場合は相手が決まっています。
つまり、決まったその人物に対し見せるのです。
たとえば、病院に行くと「月に1回、健康保険証を提示してください」という貼り紙があります。
これは、病院の職員に対し健康保険証を見せてください、という意味ですね。
つまり、病院の職員という決まった相手に健康保険証を見せるということです。
あとは、何かの会員に入会する際は、「身分証の提示をお願いします」という指示があります。
この場合は、その○○会の担当者という決まった相手に身分証を見せるわけですね。
一方の「掲示」は、見せる相手は決まっていません。
「掲示」されたものは、不特定多数の誰でも見ることができます。
つまり「掲示」で見せる場合とは、決まった相手だけに見せるのではなく、なるべく多くの人物に見せて広く知ってほしい時の行為なのです。
2.「提示」と「掲示」の具体的な使い方!
それでは、「提示」と「掲示」の実際の使い方を例文でご紹介します。
・展覧会プロジェクトの予算概要をメンバーに提示する。
(メンバーという決まった相手に、予算概要をしめすこと)
・展覧会プロジェクトの予算概要を掲示する。
(不特定多数が見えるように、予算概要をしめすこと)
・入会金支払証明書は、入り口の前で係員に提示してください。
(係員という決まった相手に、証明書をしめすこと)
・入会金支払証明書は、入り口以降は手で高く掲示してください。
(不特定多数が見えるように、手で高くかかげてしめすこと)
・相手から条件を提示された。
(条件という目に見えないものに感じますが、言葉や文書などで自分に対ししめされます)
・条件が掲示された。
(この場合は、条件を目に見えるように文書にし、不特定多数が目に付くようにしめされるということ)
・問題点をグループメンバーに提示する。
(問題点も形がないように感じますが、言葉や文書などでメンバーに対ししめします)
・問題点を掲示する。
(この場合も、問題点を目に見えるように文書にし、不特定多数が目に付くようにしめします)
・ポスターを掲示する。
(ポスターは不特定多数に見せることを目的に、見やすい場所に貼ります)
・掲示板
(多くの人に見せることを目的としたものを貼り出す板。提示板とはいいません)
「提示」や「掲示」は伝える意味の言葉ですが、似たような言葉に「周知」や「連絡」があります。
「周知」と「連絡」の違いをご存知ですか?
詳しくは、下の記事を覗いてみてください。
まとめ
以上が、「提示」と「掲示」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「提示」とは、決まった相手に対して差し出してしめすという意味です。
ですから、「提示」は決まった相手に見せるなどして認識してもらうという目的があります。
そして「掲示」とは、不特定多数の人物が目に付くように高く掲げてしめすという意味です。
「掲示」の方はなるべく多くの人に知ってもらうといった目的があります。
また、「掲示」は「高く掲げる」ということですが、新聞紙面やインターネット上などは高くない場所ですが、不特定多数が目にする場所ですので「掲示」といいます。
相手に伝える意味の言葉には、「通達」や「通知」といったものもあります。
「通達」と「通知」の違いをご存知ですか?
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