「適正」と「適切」、漢字も読み方も似ていますね。
自分の解釈では、意味も同じだと思っていました…。
ですが、よくよく調べていくとどうやら意味に違いがあるようです…。
では、どういった使い分けをするべきなのか?
ということで、今回は「適正」と「適切」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「適正」と「適切」の意味の違いや使い分けは?
最初に、「適正」と「適切」の意味を辞書で調べてみます。
・適切で正しいこと。また、そのさま。
【適切】
・ちょうどよく当てはまること。その場にふさわしいこと。また、そのさま。
順序が逆になりますが、最初は「適切」から。
「適切」の意味は「ちょうどよく当てはまること」です。
そして、「適正」の意味は「適切で正しいこと」とありますので、つまり「ちょうどよく当てはまり、正しいこと」という意味になります。
「適正」も「適切」も「ちょうどよく当てはまること」なのですが、「妥当である」「ふさわしい」「ピッタリと当てはまる」ということもできますね。
「適正」と「適切」の違いなのですが、「適正」の意味には「正しい」が入るし、「適切」の意味には「正しい」が入らないというところです。
要するに「適正」は絶対に正しくなくてはいけないのに対し、「適切」は正しくなくてもちょうどよく当てはまってさえいればよいということですね。
ですから、ちょうどよくピッタリと当てはまっており妥当なのであれば「適切」といえるのですが、それが「正しくない」というものなのであれば「適正」とはいえません。
大きな「適切」の意味の中に「適正」が含まれるということ、「適切」の中の正しいものだけが「適正」ですね。
ちなみに「正しい」とは、「法律をおかしていない」という場合や「モラルに反していない」「道徳的なこと」といったものが当てはまります。
また、さまざまな規定や基準に合っている場合も「正しい」といえます。
社内の業務取扱基準にキチンとのっとって仕事をした場合は「適正な業務処理」といいます。
「適確」と「的確」の違いについてはコチラをどうぞ!
2.「適正」と「適切」の具体的な使い方は?
それでは、「適正」と「適切」の使い方を実際の例文で紹介しますね。
この場合は、医師がその怪我にふさわしい妥当な処置を行った結果、大事にはいたらなかったということですので適正な処置といえます。
「適切な医療処置のおかげで、彼の怪我は大事にはいたらなかった」(医師以外の処置)
この場合は、その怪我にふさわしい妥当な処置を行った結果、大事にはいたらなかったのですが、医師の資格がない人間が医療行為を行うのは正しい行為とはいえません。
法律違反になる行為ですので、「適正」な処置であるとはいえないということ。
気温が高く暑い夏場に、太陽光を反射してくれる白いスーツを着るのは季節にちょうどよく当てはまっており適切です。
「暑い夏場に白いスーツを選択し、葬式に参列したことは適正ではない」
しかし、葬式は一般的に黒い色の喪服で参列するべきであり、白い色のスーツはモラル違反で適正ではありません。
過激な映画ですので、過激なセリフはこの映画にはちょうどよく当てはまっており適切であるといえます。
「しかし、この過激なセリフは心に傷を負う人間が少なからず出てくることを考慮すれば適正な表現とはいえない」
過激すぎるセリフによって、心に傷を負う人間が出てくるということは、モラル的に適正であるとはいえません。
「調整」と「調節」の違いについては、下の関連記事を覗いてみてください!
まとめ
以上が、「適正」と「適切」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「適正」も「適切」も、「ちょうどよく当てはまること」「妥当である」「ふさわしい」「ピッタリと当てはまる」といった意味では同じです。
ただし、「適正」とは「正しい」の「正」の文字があるとおり、「正しい」場合に使います。
つまり、「適正」とは、「ちょうどよく当てはまっていて、かつ正しい」という意味です。
「正しい」とは、法律違反をしていないことや、モラル的に正しいことが当てはまります。
また、社内規定や取扱基準などに合致している場合なども「正しい」といった扱いになります。
「補正」と「補整」の違いについては下の記事で解説していますので、もしよかったらご覧ください!