「適確」と「的確」、どちらも「てきかく」と読みます。
日本語って、このような同じ読みの言葉が多いですよね。
ところで、どういった場面で「適確」と「的確」を使い分けるのかご存知ですか?
自分は、全く意識することなくパソコンで最初に変換された方を使っていたような…。
これではいけませんね!
ということで、今回は「適確」と「的確」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「適確」と「的確」の意味の違いや使い分けは?
まずは、「適確」と「的確」の意味を辞書で調べてみます。
・まちがいなく確実なこと。本質をぴたりとついていること。また、そのありさま。てっかく。
なんと!「適確」と「的確」が同じ意味で載っていました。
ですが、その横に「使い分け」が以下のように記載されています。
・「適確」は、法律の文章などで、よくあてはまって確かなことの意で、「適確な措置をとる」のように使われる。
・「的確」は、的(まと)をはずれないで確かなことの意で、「的確な表現」「的確な判断」「的確な答え」「的確に把握する」などと広く一般的に使われる。
ということで、基本的に「適確」と「的確」はどちらも、「まとが外れていないこと」「間違っていないこと」「本質をピッタリついていること」といった意味で同じです。
そして、辞書の「使い分け」にもあるとおり、一般的には「的確」を使いますが、「適確」の方は法律で使われる「法令用語」ということ。
ですから、法に関する場合は「適確」を使い、それ以外は全て「的確」を使うということです。
ただし、法律関係で「的確」を使用してはいけないということではありません。
実際に法律の条文の中に「的確」は使われています。
では、次項でさらに深掘りして調べていきますね。
2.「適確」と「的確」の違いをさらに紐解く!
「適確」と「的確」に使われている共通の「確」という漢字から調べます。
「確」は「たしか」と読みますが、意味もそのとおり「確か」「はっきりとしていて間違いのないこと」ということです。
「確かである」といった意味で、「確実」「確定」「確信」といった使い方をします。
そして「的確」の「的」。
「的」は「まと」と読みますが、「まと」や「目標」といった意味があります。
「まと」や「目標」といった意味で、「的中」「目的」「標的」といった使い方をします。
ということで、「的確」は「うまくまとをとらえていて、まさにそのとおり」といった意味です。
また、「目標、つまり要点を確かにとらえていて間違いない」ともいえます。
そして一方の「適確」。
実は、「てきかく」は元々「的確」一つだけだったのです。
では、なぜ「適確」がうまれたのか?
「適確」は、法律で使われる「適正確実」や「適切確実」という言葉を省略された言葉として誕生しました。
つまり、「適確」という言葉は元々存在していなかったのですね。
ですから、俗語的にうまれた言葉が「適確」です。
とういことは、「適確」の元々の意味は「適正確実」「適切確実」ということになりますね。
「適正」の意味は、「適切で正しいこと。また、そのさま」。
「適切」の意味は、「ちょうどよくあてはまること。その場にふさわしいこと。また、そのさま。」という意味です。
「確実」の意味は、「確かで間違いのないさま」という意味です。
「適正」「適切」「確実」をまとめると、「ちょうどよくあてはまっていて、その場にふさわしく正しい、間違いない」といった意味になります。
「的確」と「適確」の意味をまとめますね。
「的確」は「要点を確かにとらえていて間違いない」。
「適確」は「ちょうどよくあてはまっていて、その場にふさわしく正しい、間違いない」。
ということで、どちらも同じような意味ですね。
どちらも、「本当に間違ってないし!それ!それ!まさにそれ!ぴったり!」といったことですね。
ちなみに「適確」の「適」は、「かなう」「ぴったりあてはまる」といった意味があります。
「ぴったりあてはまる」といった意味で、「適応」「最適」「快適」といった使い方をします。
「適確」は、過去に使い方に関して議論されたことがあります。
それは1961年の国語審議会です。
その時の結論は以下のとおりです。
「適確」は法令用語として無くすことはしない。
ただし、「適確」と書くよりは「適正確実」や「適切確実」と書くべきではないか。
ということで、「適確」を否定はしていないが、「適確」よりは「適正確実」や「適切確実」を使うべきではないか、といった意見のようです。
まあ、「適確」でも「適正確実」「適切確実」でも、あくまでも法に関係する場合に使う言葉です。
自分は法曹界の人間ではないので、どっちにしても関係ありません。
普段は、「的確」を使っていればよいということ。
ちなみに、「適確」という言葉、様々な法律の条文に実際に使われています。
「適正」と「適切」の違いについては、下の関連記事でも詳しく解説していますので、もしよかったら覗いてみてください!
3.「適確」と「的確」の具体的な使い方は?
では、「適確」と「的確」の具体的な使用例をご紹介します。
・この記事は、まさに現在のその国の情勢を的確に把握している。
・この情報は従業員全員に、迅速に的確に伝えなくてはいけない。
・今のあなたの発言は、的確な意見であることから反映させることにした。
・この絵画は、的確で驚くほど緻密な描写だ。
・現在の位置情報を的確に伝えてください。
・登録政治資金監査人に対し、政治資金監査の適確な実施について必要な指導及び助言を行うこと。
(政治資金規正法第十九条の三十)
・エネルギーの使用の合理化の適確な実施、又は電気の需要の平準化に資する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるとき…。
(エネルギーの使用の合理化に関する法律第六条)
・当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
(道路運送法第六条)
「調整」と「調節」、「補正」と「補整」の違いについては下の関連記事をご覧ください!
まとめ
以上が、「適確」と「的確」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「適確」も「的確」も意味は同じ「まちがいなく確実なこと。本質をぴたりとついていること」です。
ですが、一般的には「的確」の方を使います。
「適確」は法令用語であり、「適正確実」「適切確実」という言葉を省略してうまれた言葉です。
ですから、「適確」は法に関係する場面で使用します。