「調整」と「調節」、どっちもつまみをいじったり、上ボタンや下ボタンを押してちょうどいい塩梅にするという意味だと思うのですが、この二つがどう違うかといわれると……?
ん?(´・ω・`)さて、どう違うのでしょう(笑)
ということで、今回は「調整」と「調節」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「調整」と「調節」の意味の違いと使い分けは?
まずは広辞苑を引いてみましょう。
調子をととのえ過不足をなくし、程よくすること。
「意見の調整をはかる」
【調節】
程よくととのえること。ととのえて程よくなること。つりあいのとれるようにすること。
「椅子の高さを調節する」「自動温度調節装置」
両者を比べると、意味はほとんど同じ、どちらも「程よくととのえること」です…(-_-;)
ということで、違いが今ひとつ見えてきませんので、まず漢字を分解して意味を紐解きます。
「調」は「ほどよくする。ととのえる。バランスをとる」などの意味があります。
「整」は「乱れたものを正しくととのえる。ととのえる」という意味で、特筆すべきは「乱れたものを正しく」という部分。
「節」は「ほどあい。頃合い。度を超えない。適度」という意味です。
漢字を分割すると、なんとなく意味の違いがわかりやすくなりますが、「調整」の「整」は「乱れたものを正しく」ですので、「【正か誤か】【賛か否か】【善か悪か】などをととのえる」といった意味があり、「調節」の「節」は「度を超えない。頃合い」ですので「正誤」「賛否」などは基準にせず「度を超えないようにする、頃合いをはかる」といった意味があります。
もちろん、広辞苑の説明のとおり、どちらも「程よくととのえる」といった同じ意味でもありますが、あえて区別し違いをあげるならば、「調整」は「正誤をととのえる」、「調節」は「適度にととのえる」といったことになります。
たとえば、ある会議で議論が紛糾し賛成派と反対派の意見が平行線となり、時間だけが経過し収拾がつかなくなった場合、議長がお互いの問題点や不満点を解消しながら、お互いが納得できる案にしますが、これが「意見の調整」で「調整」です。
まさに「賛成か反対か」、つまり上の「賛か否か」で「調整」となるのですね。
それから、会議室がむし暑くなり、エアコンで部屋の温度を変えるきは、「エアコンの設定温度を調節する」で、こっちが「調節」となります。
これは、「度を超えないようにする、適度にする」で「調節」となるわけです。
【「調整」の具体的な使用例】
①スケジュール調整
②日程調整
③年末調整
※「スケジュール調整」や「日程調整」は、参加者の「賛否」を確認してもっとも適したものにします。
※「年末調整」は、支払った税金の「正誤」を計算し、正しい支払額に合せます。
【「調節」の具体的な使用例】
①火力調節
②音量調節
③高さ調節
※全て、「適度にする」「頃合いをはかる」「度を超えないようにする」という意味で使われています。
「適正」と「適切」の違いについては、下の関連記事を覗いてみてください!
2.「調整」と「調節」を英語にすると?
「調整する」や「調節する」の英語は、「adjust(アジャスト)」や「regulate(レギュレイト)」「control(コントロール)」「coordinate(コーディネート)」などがあります。
使い分けは以下のとおりです。
意見の食い違いがあるときの「調整する」。
adjust the difference of opinion
(意見の違いを調整する)
adjust conflicts
(紛争を調整する)
「規制する、統制する」という意味の動詞で、「整える、調整する、律する、規則正しくする」という意味があります。
時計の時間など、くるった時間を正しく調整するときに使います。
regulate a clock
(時計を調整する)
regulate the temperature
(温度を調節する)
「制御する、統御する、規制する」という意味で、「調整・調節する」の意味もあります。
control prices
(物価を統制する)
服装や色合いの「調和」という意味と、「調整」の意味があります。
仕事の予定やスケジュールの調整には、「coordinate」を使います。
coordinate the schedule
(スケジュールを調整する)
日本語でも「調整」と「調節」など、似たような意味の言葉があるとおり、英語でも似た意味の単語がたくさんありますね。
「適確」と「的確」の違いについてはコチラをどうぞ!
まとめ
以上が、「調整」と「調節」の意味の違いや使い分けについてでした。
「調整」も「調節」も「程よくととのえる」という同じ意味もありますが、あえて区別するならば、「調整」は「正なのか誤なのかをととのえる」こと、「調節」は「適度に、度をこえないよう、頃合いをはかる」ことですね。
つまり、家電製品などが故障し調子が悪いものなどを修理する場合は「正なのか誤なのか」で「調整」、家電製品が本来もっている機能を使って設定温度や音量をかえるときには「頃合いをはかる」で「調節」です。
「補正」と「補整」の違いについては下の記事で解説していますので、もしよかったらご覧ください!