「促進」と「推進」、どちらも物事を前に進めるという意味ですよね。
「貿易を促進する」ということもあれば「貿易を推進する」と言うこともありますが、「促進する」といったときと「推進する」といったときは、意味はどう違うのでしょう。
また、「促進」と「推進」の使い分けは?
ということで、今回は「促進」と「推進」の意味の違いや使い分けについてご紹介します。
1.「促進」と「推進」の意味の違いと使い分けは?
まずは、広辞苑。
・物事がはかどるように、うながしすすめること。
【推進】
・おし進めること。
広辞苑だけでは、意味の違いがちょっと分かりづらいですね(^^;)
「促進」と「推進」は、いずれも物事を前に進めること、目標や目的達成に向かってスピードを上げることですが、「促進」と「推進」では「発言した人」と「実行する人」との関係性に微妙に違いがあります。
「促進」で物事を前に進めるのは「発言した人」以外の誰か、つまり「促進」とは第三者に「早くしろ」と促す、急かすことです。
「促進」の「促」は「促す」で「うながす」と読みますが、その意味は「物事をはやくするようせきたてる」「催促する」ということなので、あくまで他人に対して「せきたてている」わけです。
一方の「推進」で物事を前に進めるのは「発言した人」自身です。
「推進」の「推」は「推す」で「おす」と読みますが、その意味は「すすめる」「推薦する」ということなので、あくまで「おす」のは自分なのです。
なので、自分自身がやるときには「推進」、誰かにやらせるときには「促進」です。
ひとつ、わかりやすい例を紹介します。
①有給休暇取得を推進する
②有給休暇取得を促進する
どちらも「有給休暇たくさん取得しましょう!」という部分では同じ意味ですが、①は会社の労働組合が自分たち従業員全員で「休暇をたくさん取りましょう」としているのに対し、②は行政などが会社に対し「休暇をもっと取ってください」と促しているということになります。
「推進」と「促進」では、発言する側の人間と実行する側の人間との関係性が微妙に違ってきます。
2.「増進」や「推奨」と「促進」「推進」との意味の違いは?
広辞苑で、「増進」とは以下のとおりです。
・能力などを、ましすすめること。また、ましすすむこと。
「増進」とは前に進んでいる・すでに勢いがあることをさらに勢いよく進めることです。
「促進」や「推進」との違いは、「促進」「推進」はすでに前に進んでいるものをさらにスピードを上げる意味もありますが、まだ進んでいないゼロから進める意味もあるのに対し、「増進」はゼロからではなくすでに前に進んでいるものをさらに増加させる意味です。
「食欲増進」という言葉がありますが、まさに今までも食欲があったのですが、さらにその食欲が増して旺盛になるという意味ですね。
ちなみに、「増進」の対義語は「減退」です。
広辞苑で、「推奨」とは以下のとおりです。
・良いものであるとして、人にすすめること。ほめてひきたてること。
「これいいですよ。あれはおすすめです」というのが「推奨」ですね。
同じ「推す(おす)」という字を使う「推進」と「推奨」ですが、「推進」は前に進めるという意味で、「推奨」は相手にとって良い選択肢を紹介するという意味なのです。
「目的」や「目標」といった言葉を使いましたが、「課題」と「目標」、「意義」と「目的」に関しては下の関連記事をご覧ください。
まとめ
以上が「促進」と「推進」の違いについてでした。
「促進」で実際に物事を前に進めるのは発言した人ではありません。
「推進」で物事を前に進めるのは発言した人自身です。
「手段」と「方法」の違いについては下の記事をどうぞ。