「庇(ひさし)」と「軒(のき)」、どっちも家屋のちょっと出っ張ったところ・突き出たところと認識していたのですが、両者の違いは考えたことがなかったかも。
自宅では、何も考えずに「ここは庇」「ここは軒」と使い分けているけど、うちの使い分けは合っているのかな。
ということで、今回は「庇」と「軒」の違いなどについて調べてみました。
1.「庇(ひさし)」と「軒(のき)」と「屋根」の違いは?
「屋根」はわかりやすいですね。
「屋根」とは、雨や風を防ぐための家屋の最上部にあるおおいのことです。
「庇」とは、窓や扉などの開口部の上にある小さな突き出しのことです。
日よけや雨除けのための出っ張りです。
「軒」とは、屋根の下端で突き出している部分、つまり庇以外の家屋の壁からの出っ張りです。
屋根の出っ張りといいますか、屋根の延長部分といいますか、つまり屋根の端っこが「軒」ですね。
「庇」「軒」「屋根」の違いをまとめると、家を雨から守る一番強大なおおいが「屋根」、その屋根の延長部分で端っこの突き出しが「軒」、屋根とはつながりがなく独立して窓などの上にあるちょっとした突き出しが「庇」です。
【庇(ひさし)】
2.「庇」と「軒」の役割は?
「庇」の役割は、以下のとおり。
【庇の役割】
①窓からの日差しを防ぐ
日光が直接室内に入るのを遮ります。
庇は角度や長さによって、夏の強い日差しは防ぎ、冬の日差しは室内に取りこむように設計されています。
②窓や扉に対する雨を防ぐ
雨降りの日に玄関から出るとき、あるいは雨降りの日に窓を開けるとき、庇があれば頭や体が濡れませんし、室内に雨が降り込んできません。
③窓の防音
窓に風雨が直接当たると大きな音が出てしまいます。
庇があることで、雨音を防ぐことができます。
④窓や玄関、外壁の汚れを防ぐ
窓ガラスやサッシ、玄関の扉に汚れがつくのを防ぎます。
また、窓に雨が直接当たるのを防ぐことで、窓ガラスの埃や汚れが水滴と一緒に家屋の外壁に垂れずに済みます。
ちなみに、「庇」の語源は「日差し(ひざし)」や「陽射し(ひざし)」からきているという説があります。
ということは、庇は元々は日差しを防ぐためにつけられたのでしょう。
今でも「手を庇にして」「(帽子の)庇」というようにして、家屋の庇以外の日除けにも「庇」を使うことがあります。
「軒」の役割は、以下のとおりです。
【軒の役割】
①外壁への日差しを防ぐ
「庇」は窓や玄関などに限定していますが、「軒」は家屋の外周、広範囲の外壁をカバーします。
②外壁の汚れを防ぐ
日差し防止と同様に、家屋の広範囲の外壁に雨が当たるのを防ぎ、汚れを防ぎます。
家屋の外壁に日光や雨があたると、外壁が汚れてしまいますし、劣化も早くなります。
また、夏に外壁に日光が当たると、あたためられた外壁によって室内が暑くなってしまいます。
軒の役割を見ると、軒は長ければ長いほど日光や雨を防げそうなものですが、軒が長すぎると今度は重すぎます。
日光や雨を防ぎ風の影響を受けない軒の長さは90cmくらいが丁度よく、軒は大体この長さで設計されています。
3.「軒先」とは?
「軒先」とは「①軒の先端②軒の近い所。家の前。(広辞苑より)」のことです。
「軒先を借りる」「軒先で雨宿り」というように使いますよね。
つまり「軒先」とは家屋の外側で「軒」の直下の部分のことですね。
また、時代劇では雨宿りをさせてもらうときに「軒先3寸を借り受けまして」ということがあります。
3寸は約10cmです。
4.「軒先」と「縁側」の違いは?ヒラメの「エンガワ」と同じ?
「縁側」とは、「①日本家屋で、座敷の外側に沿う細長い板敷。えん。(広辞苑より)」のことです。
つまり、壁を隔てて外側(屋外)が「軒先」で内側(屋内)が「縁側」ですね。
うちの縁側は埃がたまって、歩くと足跡がつきます(笑)
ヒラメやカレイのエンガワ、こりこりしておいしいですよね。
あの「エンガワ」は縁側に形が似ていることからそう呼ばれるようになったそうです。
エンガワはひれを動かすための筋肉、だからこりこりしているのですね。
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まとめ
以上が、「庇」と「軒」の違いなどについてでした。
庇も軒もどちらも家屋の屋根の下端や外壁についた出っ張りのことですが、玄関や窓などの上にあるのが「庇」、それ以外が「軒」です。
どちらも風雨や日光から家屋を守るためにとりつけます。
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