私は「下剋上」と書くものだと思っていて、「下克上」の方は知らなかったのですが、最近では「下克上」と書くことが多いそうですね。
教科書でも「下克上」と表記されているとか、いないとか。
手元に現在の中学校や高校の教科書がないので確認できませんが、私が高校時代に使用していた山川出版社の日本史Bの教科書では「下剋上」になっていますね。
122ページです。
まあ、十年以上も前の教科書ですが…(笑)
「下剋上」と「下克上」、この二つには違いがあるのでしょうか。
また「下剋上・下克上」の語源は?
ということで、今回は「下剋上」と「下克上」の意味や語源などについて調べてみました。
1.「下克上」と「下剋上」と「下尅上」の意味の違いは?
広辞苑を引いてみたところ、広辞苑には「下剋上・下克上」と二つとも同じ項目で載っていました。
一応意味を書きだします。
(「下、上に剋(か)つ」の意味)下位の者が上位の者の地位や権力をおかすこと。南北朝時代からの下層階級台頭の社会風潮をいい、室町中期から戦国時代にかけて特に激しくなった。
意味の方は、知っていた通り「下位の者が上位の者の地位権力をおかす」という意味でした。
「下、上に剋つ」からきているのですから、元々は「下剋上」でした。
「剋」の部首は「りっとう」で、刀を意味しています。
ですから、本来の「下剋上」の意味にピッタリ当てはまるのですね。
それがなぜ「下克上」と書くようになったのかというと、これは「剋」が常用漢字表に含まれていないためです。
常用漢字表に「剋」が入っていないため、「剋」を「克」に置き換えて、「下克上」と書くようになったのですね。
新聞や様々な文書でも、通常は「下克上」と表記されています。
余談ですが、「下剋上」→「下克上」と同様、「相剋」も「相克」と表記されます。
ちなみに「相克」の意味は、「対立矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。」です。
それからもう一つ、「下尅上」と書くこともありますが、この「尅」も常用漢字ではなく「剋」の異体字です。
「下尅上」の意味は「下剋上・下克上」と同じなのですが、「下剋上」と同様に普通は使われません。
「下尅上」表記は小説などで見られます。
たとえば、神西清の「雪の宿り」や谷崎潤一郎「武州公秘話」には「下尅上」という表記がみられます。
2.「下克上」の語源とは?
「下剋上」の「剋」は「削りそぐ」という意味で、わかりやすくいいますと「下剋上」は「下の者が上の者を打倒、しのぐ」が由来です。
命を懸けて上位者を打倒し、上に這い上がる…、時代を感じますね。
「下剋上」は平安時代末期から使われ始めました。
「源平盛衰記」でも、実際に「下剋上」という言葉で世の中の動きを憂いています。
語源を知ると、元々は「下克上」ではなく「下剋上」だということもわかりますね。
室町時代から戦国時代と時代が進むと、下剋上の風潮がますます盛んに!
日本史の教科書で「下剋上」が出てくるのはこのあたりのページですね。
まとめ
以上が、「下剋上」と「下克上」の意味や語源などについてでした。
元々は「下剋上」ですが、最近では常用漢字の「下克上」と書くことが多いです。
意味はどちらも同じです。
でも私はやっぱり「下剋上」と書くかな、せっかく覚えた漢字だしね。
高校の授業で覚えた数少ない言葉なので大切にしたいです(笑)
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