「鼻をかむ」ってよく考えると、変じゃないですか?
「かむ」…???
「鼻を出す」や「鼻を吹く」の方がピッタリのような…??
もしくは「鼻を拭(ふ)く」や「鼻を拭(ぬぐ)う」とか。
この、「かむ」ってどういった意味なのでしょうか?
語源も気になりますよね…。
ということで、今回は「鼻をかむ」の「かむ」の漢字や語源などについて徹底的に調査してみました。
1.「鼻をかむ」の「かむ」を漢字にすると?
では、早速ですが結論から申し上げますね。
「鼻をかむ」の「かむ」を漢字にするとこうなります。
見たことありますか???
ちなみに、自分はこのブログ記事をつくるまでは見たことがありませんでした。
当然ですが、パソコンで変換しても出てきません。
よ~く見ると、手へんに「鼻」ではありません。
「鼻」に似ていますが、微妙に違いますよね。
「かむ」と「鼻」の漢字を並べますね。
この「かむ」の漢字は、「はな」とも読みます。
「はな」であることは間違いないのですが、実は現在の「鼻」の旧字です。
ちなみに、この字は常用漢字表に載っていませんので公文書では使うことが出来ない漢字です。
さらに、もう1つありますよ!
手へんに「夷」という字です。
ちなみに、パソコンで変換してもIMEパッドを使っても出てきません…。
また、辞書にもありませんので現在は使われていない漢字のようです。
「夷」という字は「えびす」と読みますが、この字にさんずいが付くと「洟」で「はな」と読み「鼻水」の意味があります。
「洟をかむ」でも同じ意味なのですね。
ですから、「洟を[手へんに夷]む」でも、「はなをかむ」です。
それでは、次項からは「鼻をかむ」の「かむ」の意味や語源などについてさらに詳しく解説していきますね。
2.「鼻をかむ」の「かむ」の意味とは?
では、「かむ」の意味です。
・鼻汁を息とともに強く吹き出して取り除く。
まあ、そのとおりですね。
ティッシュペーパーなどに鼻水を出す行為のことです。
気を付けたいのはこの「かむ」、鼻水を出す行為に限定していることですね。
つまり「かむ」という言葉は、「鼻をかむ」以外に使い道がないということ!
ですから、風邪をひいた時に出る「痰」の場合は「口をかむ」とか「痰をかむ」とはいいません。
「痰」は、「痰を出す」です。
ということで、「かむ」という行為は鼻の中の鼻水を出すことだけ、それ限定の言葉です。
3.「鼻をかむ」の「かむ」の語源とは?
前項で、意味を説明しましたが、なぜか「鼻」だけが対象である「かむ」という行為…。
語源が気になるところですよね。
ということで、今度は「かむ」の語源について調査してみました。
その結果、「かむ」の語源はなんと2つの説があるというのです!
①「かむ」の語源は英語の「come(カム)」???
もっとも信じられないのが英語の「come(カム)」である、という説です。
なぜ英語??と思いますよね…。
話は、江戸時代までさかのぼります。
1853年、初めてペリーが黒船で浦賀にやって来ます。
この時はアメリカ大統領の親書を手渡して帰るのですが、しばらくして再びやって来るのですね。
黒船を見た当時の日本人は、見たこともない巨大な船と、しかも動力が蒸気ということで当然ですが驚きます。
さらに、特に当時の日本人女性は、「異国の男性」「巨大な軍事力を持つ権力者」ということでペリーに対して憧れのような気持ちをいだきます。
つまり、ペリーがある意味アイドル的な存在になっていったのですね。
そういった、日本人女性の注目が集まる中で、ペリーは江戸幕府の大老井伊直弼との会談前日、日本側のインタビューを受けることになります。
しかし、当時風邪をひいていたペリーは、何度も「coming coming(カミング カミング)」と付き人にティッシュペーパーを要求します。
「coming(カミング)」は「come(カム)」の進行形、つまり「来る」の進行形で「来ている」といった意味になります。
要するに、「鼻水が出口まで来ている!出そうだ!」と言っていたのですね。
この会話を聞いていた日本人は「coming(カミング)」を「カムン」と聞きとります。
これが、鼻をかむ行為が「カムン」となり、「かむ」となった語源といわれているのです。
信じられないような語源ですよね…。
ちなみに、「鼻をかむ」という言葉は枕草子に使われているそうです。
だとすると、平安時代から既に「鼻をかむ」が存在していたことになりますので、この説はどうなのでしょうか…??
②「かむ」の語源は「上(かみ)」???
「上」は「かみ」と読みますよね。
この「かみ」が「鼻をかむ」の語源であるといった説もあります。
「上」とは、そのとおり「うえ」という意味があります。
ですから、「髪の毛」は人間のもっとも高い位置にあることから「上(かみ)の毛」が語源であるという説があります。
さらに、上の方向から下の方向へ覆いかぶせるものに対して、「かみ」という言葉が使われたというのです。
たとえば「噛む」。
歯を上から下にかぶせて、食べ物などを「噛む」わけですね。
この「噛む」が「上(かみ)」から来ているというのです。
あとは、「帽子をかぶる」の「かぶる」は、元々「かむる」だったとのこと。
この「かむる」も「上(かみ)」が語源といった説があるのですね~。
ということで、鼻の上から紙をかぶせるということで、「鼻をかむ」になったというのです。
だとすると、「噛む」と「鼻をかむ」は両者とも同じ「上(かみ)」が語源になったということになります。
しかし、平安時代の言葉のアクセントを調査した資料によると、「噛む」と「鼻をかむ」の「かむ」の発音に相違があるというのです。
そういった理由から、「噛む」と「鼻をかむ」の「かむ」は語源が違うのではないかといった説もあるようです。
ということで、「鼻をかむ」の語源といわれる2つの説を紹介しました。
結論は、語源が詳しく載っている書籍も含めいろいろと調査しましたが、ハッキリとした語源は不明でした。
つまり、現代においていまだ解明されていないということになります。
ところで、風邪をひくと鼻をかみますが、「風邪」は「患う」や「罹る」ではなく「ひく」といいます。
なぜ「ひく」というのか?「風邪をひく」の語源などについては、下の記事をご覧ください。
まとめ
以上が、「鼻をかむ」の「かむ」の漢字や語源などについてでした。
「かむ」の漢字については以下のとおりです。
もう1つ、手へんに夷で「かむ」という字があります。
また、「かむ」の語源については噂されている説について紹介させていただきましたが、真相については不明です。
それにしても、不思議な言葉ですよね…。
引き続き、「かむ」の語源については調査していきたいと思います。
ちなみに、自分は毎日朝から鼻水が止まりません…。
自律神経の関係らしいのですが…。
そのせいで、ティッシュペーパーの消費量がとんでもないことになっています…。
「ずらかる」の語源については、下の記事を覗いてみてください!