言葉の使い分けって難しいですよね。
私も「ニュアンスの違いは分かるんだけど、正確にはどう違うのかよく分からない」という言葉、いっぱいあります(^^;)
分からないのなら調べろよという感じですが、日頃は分かっていないことすら意識していないというか、並べて使ってみて初めて「あれ、この二つの言葉、どう違うんだ?」と自分の無知に気づくわけです。
たとえば、「措置」と「処置」。
うーん、確かに使い分けているけれど、どう使い分けているのかと訊かれると「・・・・・」、皆様はどうですか?
ということで、今回は「措置」と「処置」の違いや使い方を調べてみたいと思います。
1.措置と処置の意味の違い
まずは、措置と処置の意味を辞書で調べてみます。
・始末がつくようにとりはからうこと。
【処置】
①その場の状況を判断し扱いを決めること。また、その扱い。
②傷や病気の手当てをすること。
措置と処置の意味について、特に両者の違いに注目してまとめてみます。
・措置
物事に対する一連の対応です。
「始末」という言葉がありますが、「始めから最後まで」という意味です。
つまり「決着をつけるところまで」行うのが措置です。
物事が起こる前に対応する「事前措置」もあります。
・処置
物事に対する対応です。
「その場の状況を判断して」というのがポイントです。
つまり、その場で起きたことについての対応です。
しかも「あくまで対応する」ことであり、決着をつけるとは限りません。
物事が起こる前の対応は無く、あくまでも物事が起こってから行う対応です。
もう一つの意味が、傷や病気の手当てをする行為です。
たとえば、子供が公共施設の階段から落ちて怪我をしたとしましょう。
その日のうちに、子供が落ちて怪我をした階段を、子供が通れないようにとりあえずテープを張って封鎖するのが「処置」、その後手すりをつけたり滑り止めをつけるなど、子供がこれ以上怪我をしないように対策をするのが「措置」ということです。
階段を立入禁止にする行為が「処置」なのですが、これでは事故防止の一時しのぎであり、根本的な事故対策とはなりません。
つまり、「処置」では決着していない、「始末」がついていないのです。
そこで、階段に手すりや滑り止めを設置して根本的な事故対策が完了、要するに決着であり始末がつきましたので「措置」ということになります。
こういった事例のとおり、「処置」には「緊急」という言葉をつけることが多いです。
それから「措置」は事象が発生した後に行うとは限らず、前もって行う場合もあります。
子供が怪我をしないように前もって行う、「事前措置」や「予防措置」です。
逆に処置は「事前処置」という言い方はしません。
処置はあくまで起こったことに対する対応です。
たとえば「是正処置」という言葉がありますが、これは不適合が発見された後に行う処置です。
また、処置は「現場で実際に行う動作」というケースが多いです。
一方の措置は「現場での動作」の他に、「会議室で考えて策や方針を決めること」といった場合もあります。
つまり、放火による火事を消火するときは「放火に対する処置」といい、「県警や消防は最近多発する放火事件に対する措置を云々・・・・・」というときには放火事件に対する捜査方針や防犯対策が決まったということです。
ただ、「一時的な措置を行った」という言い方をする場合もあり、例外的に「措置」を「処置」と同じ意味として使うこともあります。
ということで、もう一度わかりやすくおさらいします。
・初期対応が「処置」、対応を完結させるのが「措置」
・物事が起こってから対応するのが「処置」、物事が起きる前も起こってからも対応するのが「措置」
・怪我や病気に対応するのが「処置」
2.措置と処置の使い分け
上でも色々書きましたが、もう一度、措置と処置の使い分けをわかりやすく簡単にまとめておきます。
・措置
①「事前措置」
(物事が起こる前の対応)
②「予防措置」
(物事が起こる前の対応)
③「是正措置」
(物事が起った後、誤りを正し完結させる対応)
④「あれは適切な措置だった」
(対応が完結しており、良い結果も出ている状態)
⑤「体育祭の熱中症に対する措置」
(体育祭の前に、校長先生や体育教師などが会議室に集まって対策を考えること、会議の結果決まった対策や方針)
・処置
①「是正処置」
(物事が起った後、再発を防ぐ対応)
②「応急処置」
(怪我や病気への対応)
③「とりあえず処置は終えたが」
(やるだけやったが、結果は未定という状態)
④「熱中症の生徒の処置に追われた」
(熱中症で倒れた生徒を保健室に運んだり、早退させたり、救急車を呼んだりすること)
※事前処置は×、誤った使い方
まとめ
以上が、措置と処置の違いや使い方についてでした。
措置と処置、調べてみたものの、やっぱり意味は近いですね。
でもポイントさえ覚えておけば大丈夫!
ポイントは、対応を完結させるのが「措置」で、完結しない場合があるのが「処置」です。
それから、物事が起きる前に対応するのは「措置」、物事が起こった後に対応するのが「措置」と「処置」です。
また、怪我や病気への対応は「処置」です。
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