「とんぼ」を漢字変換すると「蜻蛉」。
「かげろう」を漢字変換すると「蜻蛉」。
なに~!!同じ漢字「蜻蛉」ではないですか!
しかも、なんだか画数が多く難しい漢字です。
もしかして、漢字が一緒ということは、「カゲロウ」と「トンボ」は同じ種類の昆虫なの?
ということで、今回は「カゲロウ」と「トンボ」の違いについて調べてみました。
1.「カゲロウ」と「トンボ」の違いは?
結論ですが、「カゲロウ」と「トンボ」は、全く別の種類の昆虫です。
「カゲロウ」と「トンボ」の、生物学的な説明は次項で詳しく説明しますね。
その前に、前書きにもある漢字の説明から。
「蜻蛉」は、「蜻(せい)」という字と「蛉(れい)」という字を合わせて、現在では「とんぼ」と読み、意味もそのとおり「とんぼ」です。
ですから、「とんぼ」をパソコンで漢字変換すすると、「蜻蛉(とんぼ)」が出てきます。
しかし「かげろう」で、同じく漢字変換すると「蜉蝣(かげろう)」のほかに、とんぼと同じ「蜻蛉(かげろう)」という漢字が出てくるのです。
「とんぼ」は「蜻蛉」でよいのですが、なぜ「かげろう」も「蜻蛉」となるのか?
これは、歴史を紐解かなくてはいけません。
では、時代をさかのぼって順に説明しますね。
「トンボ」は昔、「アキツ」「アキヅ」と呼ばれていました。
時代は奈良時代です。
漢字では「秋津」で、秋の虫という意味です。
時代が進み、「アキツ」という呼び方から、「飛ぶ棒(とぶぼう)」が変化して「トンバウ」「トウバウ」「トバウ」と呼ばれるようになります。
そして「トンボ」は漢字で「蜻蛉」となりますが、平安時代には「カゲロウ」のことも「蜻蛉」と表記しており、同じ漢字だったようです。
ちなみに、当時は「カゲロウ」のことは「カギロヒ」と呼ばれていました。
「トンボ」も「カゲロウ」も同じ漢字で表記した理由は、「カゲロウ」を「トンボ」の別称としていたのではないかといわれています。
つまり、「トンボ」と「カゲロウ」を別の生き物として区別していなかった可能性があるのです。
この辺は、定かではありません。
やがて、「カゲロウ」の漢字「蜉蝣」も使われるようになります。
「蜉(ふ)」と「蝣(ゆう)」で、「かげろう」と読み、意味もそのとおり「かげろう」です。
しかし、江戸時代になっても「蜉蝣」と「蜻蛉」はキチンと区別されるわけでもなく、混同されていたようなのですね。
ちなみに、江戸時代になると「トウバウ」「トバウ」ではなく「トンボ」と呼ばれるようになっていました。
これが「カゲロウ」と「トンボ」の歴史です。
ということで、「トンボ」の漢字は平安時代には「蜻蛉」だったのですが、「カゲロウ」のことも「蜻蛉」と表記していました。
それが、「トンボ」も「カゲロウ」も漢字にすると「蜻蛉」と変換される理由です。
ですが、現在は「トンボ」は「蜻蛉」であり、「カゲロウ」は「蜉蝣」です。
2.「カゲロウ」と「トンボ」の生物学的な違いは?
「カゲロウ」と「トンボ」はどちらも「節足動物門」「昆虫綱」に属する昆虫です。
そして「カゲロウ」とは、「カゲロウ目」に属する昆虫の総称です。
頭部と胸部と腹部の3つの部分で構成された体で、薄い翅(はね)を持っています。
ちなみに、「カゲロウ」の翅は昆虫の中で最初に獲得し、飛ぶ能力をいち早く身につけたといわれています。
「カゲロウ」の幼虫は水中で生活し、成虫になることで全く違う姿になり、水中ではなく陸上で生活します。
「カゲロウ」の仲間には「トビイロカゲロウ」や「キイロカワカゲロウ」「オオカワカゲロウ」などがいます。
よく目にする「ウスバカゲロウ」という昆虫がいますが、「ウスバカゲロウ」は「カゲロウ目」ではなく「アミメカゲロウ目」ですので「カゲロウ」ではありません。
「ウスバカゲロウ」の幼虫は「アリジゴク」であり、水中ではなく陸上で生活します。
一方の「トンボ」とは、「トンボ目」に属する昆虫の総称です。
「トンボ目」ですから、「カゲロウ目」とは全く種類が違うということですね。
「トンボ」も頭部と胸部と腹部の3つの部分で構成された体で、薄い翅(はね)を持っています。
そして、「トンボ」の幼虫も水中で生活し、成虫になることで全く違う姿になり陸上で生活するのです。
ちなみに、「トンボ」の幼虫には「ヤゴ」という名前があります。
「トンボ」の仲間には「アカトンボ」や「オニヤンマ」「シオカラトンボ」などがいます。
ということで、「カゲロウ」も「トンボ」も、姿形が似ていますが全く別の種類の昆虫であるということですね。
まとめ
以上が、「カゲロウ」と「トンボ」の違いなどについてでした。
「カゲロウ」と「トンボ」は別の種類の昆虫なのですが、昔はどちらも漢字で「蜻蛉」と表記されていました。
理由は、「カゲロウ」を「トンボ」の別称としていたのではないかといわれています。
「カゲロウ」も「トンボ」も、透明な翅があり形状がよく似ています。
また、どちらも幼虫時代は水中で生活し、成虫になると全く別の姿に変化します。
似ています。
ちなみに、「カゲロウ」の成虫の寿命はたった1日、はかない命です
「カゲロウ」は、飛ぶ姿がぼんやりと空気が揺らめいているように見えることから「陽炎」が語源になったといわれています。