新しい元号「令和」で、新たな時代の幕開けです。
前回の改元は、昭和天皇の崩御ということもあり悲しみの中でのことでしたが、今回は凄く盛り上がっていますね。
ところで、元号が変わった1年目のことをどのように呼んでいますか?
平成の場合は、普通は「平成元年」といいますが、「平成1年」と書くのは間違いなの?といった声も耳にします。
ということで、今回は「平成1年」と「元年」の使い方などについて調べてみました。
1.「平成1年」と「元年」履歴書や公文書などの書類ではどっち?
まずは正解から。
履歴書などの書類には「平成元年」と書きます。
ですから「平成1年」とは絶対に書かないでください。
「平成元年」
と書きましょう。
これは、履歴書に限ったことではなく、公文書などほかの書類も同じことです。
全てにおいて、必ず「平成元年」と書きましょう。
では、なぜ「平成1年」と書いてはいけないのか?
次項では、その根拠について説明しますね。
2.「平成1年」ではなく「元年」とする根拠は?
実は、昭和から平成になる時に、法律の中に「改元の1年目を元年とする」といったものはありませんでした。
つまり、「元年」と書かなくてはいけないという法律は何もないのです。
では、なぜ「元年」なのか?
法律にはないのですが、「慣習法」のようなものといえばわかりやすいでしょうか。
「慣習法」とは、長い間の慣習に基づいて社会通念として成立する法のことで、文章としては存在していません。
つまり、「昔から、その場合はそうするもの」や「常識的にそれはダメでしょ」というような慣習が基本になる法ということです。
たとえば、アパートに入居する際に「敷金」とか「礼金」などが請求されますよね。
実は、「敷金を請求してもよい」「礼金を請求してもよい」といった法律はないのです。
ですが、「敷金を請求してはいけない」「礼金を請求してはいけない」といった法律もないのです。
「敷金」「礼金」の請求は、長い間行われてきており、もはや当たり前になっています。
これが、「慣習法」です。
ちなみに、昭和から平成になる時に「改元の1年目を元年とする」といった法律はないといいましたよね。
ですが、明治から大正になるときはキチンと法律に「元年とする」と明記されていました。
これが、「改元の1年目を元年とする」とした法律ではありますが、あくまでも「大正元年」だけ。
「平成」のことではありません。
この改元の1年目を元年としていたのは、随分と昔からのようです。
3.「平成1年」ではなく「元年」とする法律はないが通達がある?
ちなみに、元年表記に関する「法律」なないのですが、「通達」はあります。
昭和から平成へ改元される直前に、法務省から地方法務局長あての戸籍に関する通達で「元年」と記載するよう指示が出ています。
「改元に関する戸籍事務の取り扱いについて」といった内容の「昭和64年1月7日付け」の通達です。
その中で、平成初年の記載方法については、「2戸籍の記載について」の「(4)新元号の初年は『平成元年』と記載する」とはっきりと書かれています。
これは、「通達」ですので「法律」とは違います。
「法律」は全国民に対する決まり事で拘束力があります。
しかし「通達」は、行政の上位機関から下位機関に対して法の解釈などを示すもので、国民を拘束するものではありません。
つまりこの通達は、法務大臣が地方法務局長に対して、「平成元年と書きなさい」と指示しているのです。
ということで、現在の法律では「平成元年と書きなさい」という法律はありません。
しかし、慣習法的な扱いにより「平成元年」と書くのが正しいということです。
就活で、誤って「平成1年」と書いた履歴書を提出してしまった場合は、それだけで種類審査で不合格といった企業もあるようですよ。
気をつけましょう。
新元号が「令和」に決まりました!
この記事と似た内容になりますが、「和暦と西暦を簡単に換算する方法」といったお役立ち情報も含めた関連記事をアップしましたよ。
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「年号」と「元号」に関しては、下の記事をご覧ください!
まとめ
以上が、「平成1年」と「元年」の使い方などについてでした。
ということで、「平成1年」は使ってはいけません。
必ず「平成元年」と書きましょう。
ただし、パソコンによるデータ作成の場合は例外的に「1年」を使用する場合があります。
また、「H30年11月」のように「H」の場合は、「H元年」ではなく「H1年」と書くのが通例です。
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