「所持」と「所有」、一見同じ意味に思えてしまいます。
ですが、日本語はまぎらわしい言葉がたくさんあるとおり、「所持」と「所有」にも大きな違いがあるようです…。
キチンと正しく使い分けするためにも、「所持」と「所有」の意味を徹底的に紐解いてみました!
ということで、本記事では「所持」と「所有」の意味の違いと使い分けについて、徹底調査した結果をお伝えしていきます。
かなり深掘りしましたのでご期待ください!
1.「所持」と「所有」の違い!
最初に、「所持」と「所有」の違いを端的にお伝えしますね。
「所有」とは、自分の物として持っていることです。
では、さらに細かく説明していきます。
①その物の「名義」は誰なのか!
「所持」と「所有」の違いのポイントとなる部分は、その物の「名義」が誰になっているのかということ。
「所持」は持っていることであり、身につけていることです。
つまり、持っていたり身につけてはいますが、その物の「名義」が誰であるかは関係ないのですね。
他人名義の物であっても、身につけていれば「所持」していることになります。
「所有」とは、自分の物として持っていることですので、必ず自分の「名義」であるということが条件。
ですから、「所有」している物は、その人物が自由に使用したり捨て去る権利を持っているのです。
②自分とその物の距離!
「所持」とは、持っていること、また身につけていることです。
ですから、その物と自分との距離は存在しません。
一方の「所有」とは、自分の名義として持っていることです。
たとえば、船を「所有」していたとしましょう。
船は港に停泊させていますが、その人がそこから遠く離れた場所に居たとしても、その船の名義がその人であれば「所有」していることになるのですね。
つまり、必ず自分が身につけていなくても、近くに無くても「所有」ということになるのです。
「所持」はその物との距離は必ずゼロであり、「所有」はその物との距離がさまざまであるということ。
③「所持」と「所有」は共存する場合も!
「所持」と「所有」は共存する場合があります。
つまり、自分名義の物を身につけていれば、「所有」していますし「所持」していることになるのですね。
ですから「所持」と「所有」は、相反するものではないということ。
④「所持」と「所有」の違いを整理!
では、一旦「所持」と「所有」の違いを整理します。
「所持」は名義人にはかかわらず、持っているか身につけていること。
そして「所有」は、自分の名義の物を持っていることです。
ですが、「所有」は必ず身につけていなくてはいけないということではありません。
自分の名義の物が遠く離れた場所にあっても「所有」なのです。
また、「所有」しているとともに「所持」することもあるということ。
2.「所持」と「所有」の辞書での意味!
今度は、辞書で「所持」と「所有」の意味がどうなっているのか、一応みていきましょう。
①「所持」の辞書での意味!
【所持】
・持っていること。身につけていること。「―金」「―品」「大金を―する」引用元:旺文社国語辞典
前の項目で説明したとおりですね。
「持つこと」「身につけること」です。
②「所有」の辞書での意味!
【所有】
・自分のものとして持っていること。また、持っているもの。「―地」「―者」引用元:旺文社国語辞典
「所有」についても、前の項目で説明したとおりですね。
「自分の物として持つこと」、これすなわち自分の名義の物ということです。
3.「所持」と「所有」の使い方!
続いて、「所持」と「所有」の実際の使い方を例文でご紹介します。
①「所持」の使い方!
・所持罪は持っているだけで罪になること。
・3日以上さまよったが所持金はわずかだった。
・身柄を拘束された際に所持品を確認される。
・危険な場所ではなるべく現金は所持しない方が無難。
・使用するのは合法だが所持するのは違法の物がある。
②「所有」の使い方!
・彼はかなり昔から高級外車を所有している。
・転覆した漁船の所有会社に問い合わせした。
・駅に放置された自転車の所有者は不明だった。
・事業のために複数で事務所を建築し共同で所有する。
・読書が趣味の彼女は大量の書籍を所有している。
4.「所持」や「所有」には似た意味の言葉がたくさんある!
「所持」や「所有」には似た意味の言葉がたくさんあります。
たとえば、「占有」。
「占有」とはその物を支配しているという意味です。
「所有」は自分の名義の物を持つことなのですが、「占有」は支配していればその物の名義は自分でなくてもよいのです。
詳細については、下の記事をご覧ください。
「所持」や「所有」には、他にも似た意味の言葉がたくさんありますよ。
もしよかったら、下の記事も覗いてみてください。
参考にしていただければ幸いです。
まとめ
以上が、「所持」と「所有」の意味の違いと使い分けについてでした。
「所持」とは、持っているか身につけていることです。
この場合は、名義が誰であろうと関係ありません。
一方の「所有」とは、物を持つことなのですが、自分の名義に限ります。
さらに、「所有」の場合は手もとになくても、身につけていなくてもよいのです。
そして、「所持」と「所有」は共存しますので、「自分の所有物を所持している」といったような使い方もできるのですね。