「約款」と「定款」と「規約」、なんだか全部同じ意味に思えてしまいますよね。
特に「約款」、保険を契約する時に嫌がらせのような細かい文字での大量の文章、いったい何なのでしょう?
しかし、だからといってないがしろにしておくと大変な目に合うことも!!
ということで、今回は「約款」と「定款」と「規約」の意味の違いなどについて調べてみました。
1.「約款」と「定款」の意味の違いと使い分けは?
まずは「約款」と「定款」を広辞苑で引いてみましょう。
・法令、条約、契約などに定められた一々の条項。特に契約についていう。
【定款】
・会社、公益法人、協同組合その他一般に社団法人の目的・組織並びにその業務執行に関する基本規則。また、それを記載した文書。
一言でいうと、「約款」は契約の決め事、「定款」は組織の決め事という違いがあります。
それでは、それぞれについて詳しく説明します。
①約款
「約款」とは契約の決め事のこと、つまり会社と個人、または会社と会社とで何らかの契約を結ぶ場合の、「決まり」「規則」「ルール」です。
保険を契約するときに渡されるあの、小さな文字がびっしり印刷された紙、これが「約款」ですね。
契約の際、毎回約款をちゃんと読まなきゃと思うのですが、いざ書面を見ると読む気が失せる……(´・ω・`)
しかし、この「約款」を甘く見て痛い目に合う人はたくさんいます。
特に多いのが「契約成立」した後の「キャンセル」です。
通常、契約している段階で「キャンセル」を想定する人は少ないでしょう。
ですが、「想定外のキャンセルにより多額の違約金を支払う羽目になった」といった事例もあるのです。
約款の内容を全て熟読するなど不可能に近いことですので、契約締結時は「キャンセル」などを含めあらゆる事態を想定し、必ず担当者に口頭で確認しましょう。
②定款
「定款」は組織の決め事のこと、会社や法人など、組織の目的や業務、活動内容、規則、ルールなどがまとめて記載されています。
つまり、その組織に属する全ての人々を拘束する規則のことですね。
新しく会社を設立する際は、この「定款」の作成は必ず必要になります。
また、定款は記載する内容にも決まりがあります。
定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つの項目があり、特に「絶対的記載事項」については、この項目がないことで定款そのものが無効になってしまいます。
会社を立ち上げる際は注意が必要です。
2.「規約」とは?「約款」「定款」との意味の違いと使い分けは?
それでは「規約」を広辞苑で調べます。
・関係者の間で、相談してきめた規則。組織・団体内で、その成員に適用するために定めた規約。
最初の「関係者の間で、相談してきめた規則」というのは、「スポーツジムの利用規約」「○○会の会員規約」など、関係者で決めた規則のことです。
それから後半の「組織・団体内で、その成員…」というのは、前項で解説した「定款」と似た意味に思えてしまいますが違います。
この場合の「規約」とは、「定款」の運用上の細則的な位置づけ、つまり細かい運用上のルールなどが定められます。
一番上に「定款」があり、その「定款」の補足として「規約」が存在します。
①「定款」と「規約」の違い
「定款」と「規約」の違いは、「定款」は必ず無くてはならないもの、「規約」は無ければ無くてもよいものです。
また「規約」は、不都合が発生した段階でお互いの話し合いにより設定することもできます。
②「約款」と「規約」の違い
「約款」は個人と会社の間、または会社と会社の間で結ぶ契約の決め事。
「規約」は個人と会社や会社と会社の決め事のほかに、不特定多数の相手に対する決め事も含みます。
つまり「規約」は、お互いの契約締結があるとは限らないのです。
まとめ
以上が、「約款」と「定款」と「規約」の違いなどについてでした。
「約款」とは契約の決め事のこと、「定款」とは組織の決め事のことです。
そして「規約」とは、「定款」の細かい運用上の決め事。
また「規約」は、「約款」と同じような位置づけで使われる場合があるほか、不特定多数に対する決め事として使われることもあります。
会社で仕事をするうえで、「約款」「定款」「規約」というものはよく出てきますが、その他に「コンプライアンス」や「ガバナンス」といったものも登場します。
「コンプライアンス」と「ガバナンス」の違いについては、下の記事を覗いてみてください。