「主催」と「主宰」、これ実にまぎらわしいですよね。
多くが同じような場面で、しかも同じような使い方をします。
意味や使い分けが分かりづらい言葉です。
しかも、読み方はどっちも同じ「しゅさい」だし……。
ややこしい(´-ω-`)
ということで、今回は「主催」と「主宰」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「主催」と「主宰」の意味の違いや使い分けは?
最初に、「主催」と「主宰」の意味を広辞苑で調べます。
・中心となってある事を催すこと。また、その人や団体。
【主宰】
・人々の上に立ち、または中心となって物事を取りはからうこと。また、その人。
すごく似ています。
「主催」は「中心となってある事を催すこと」、「主宰」は「中心となって物事を取りはからうこと」、なんだか同じような意味ですよね…。
それでは、わかりやすく説明します。
①「主催」と「主宰」、何を行うか!どういう立場か!
違いのポイントは、「主催」の意味にある「催す」です。
「催す」とは、「人々を集めて催し物を行う」という意味です。
そして、この「催し物」とは、期間限定の行事を指しています。
つまり「催し物」とは、「○月○日~○月○日」といった期間限定の「お祭り」「スポーツの大会」「展覧会」「新年会」といった行事が該当します。
簡単にいってしまえば、「イベント」ですね。
そして、必ず期間限定です。
恒久的に行われるイベントってありませんよね。
ですから「主催」は、期間限定のイベントを開催することが対象となります。
そして、一方の「主宰」は、どういった行事なのかは関係ありません。
イベントも恒久的な物事も「主宰」です。
「主宰」のポイントは、その物事において「人の上に立って」運営する人が対象となるということです。
たとえば、恒久的な物事でよく使われるのが「劇団」や「教室」、「雑誌」などですね。
「劇団」「教室」「雑誌」といった物事の、「人の上に立って」運営していく人ということです。
「劇団を主宰する○○さん」といった使い方をします。
それから、「会議」や「プロジェクト」でも、その中で「人の上に立つ人」を「主宰」といいます。
「会議を主宰する」「プロジェクトを主宰する」といった使い方ですね。
ほかには、「祭祀」があります。
葬式などの代表者を「祭祀の主宰者」といいます。
主催→イベントを催す
主宰→人の上に立ち運営
②「主催」と「主宰」、「組織」か「個人」か!
違いのポイントはもう一つあります。
「主催」は、人物というより「組織」や「団体」を指している場合がほとんどです。
「主催」は、イベントを行う組織全体に対して使うのですね。
そして「主宰」は、「人の上に立つ人」のことですので、基本的には「個人」を指します。
劇団などは組織なのですが、その組織のトップにいる個人を「主宰」といいます。
主催→組織団体
主宰→個人
2.「主催」と「主宰」の具体的な使い方は?
「主催」と「主宰」の使い分けの例をご紹介します。
たとえば、Aという人物が水かけ祭り実行委員会をつくって、水かけ祭りを行ったとします。
そして、水かけ祭り実行委員長はBです。
Aは、水かけ祭り実行委員会のメンバーとして水かけ祭りを「主催」していますが、「主宰者」ではありません。
Bは、水かけ祭り実行委員会のメンバーとして水かけ祭を「主催」しているし、実行委員長なので「主宰者」でもあります。
また、劇団水車が秋の地方公演を行ったとします。
秋の地方公演の「主催」は劇団水車になります。
そして、劇団水車の「主宰者」は、劇団の代表者であるCという人物になります。
漢字の違いについて説明しましたが、「風邪をひく」の「ひく」の漢字をご存知ですか?
また、「風邪」は「患う」や「罹る」ではなく「ひく」といいますが、なぜ「ひく」というのか?
「風邪をひく」の語源などについては、下の記事を覗いてみてください。
まとめ
以上が、「主催」と「主宰」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「主催」は、期間限定のイベントを催すことで、「主宰」は人の上に立って運営する人のことです。
そして、「主催」はイベントを行う組織や団体、「主宰」は人の上に立って運営する個人を指しています。
ですから劇団の場合は、公演を行うのは劇団であり「主催」、劇団の代表者は「主宰」となります。
ところで、似た漢字つながりですが、家などを数える時に「~戸(こ)」や「~軒(けん)」といいますよね。
この「戸」と「軒」の違いについて詳しく解説した記事がありますよ。
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