「戸」と「軒」といえば、「訪問戸数」や「訪問軒数」といった使い方をします。
「えっ…?ということは、同じ意味??」と思っています…。
ということで、そういった紛らわしい部分を徹底的に紐解いてみましたよ!
本記事では、「戸」と「軒」の意味の違いと使い分けについて、徹底調査した結果をお伝えしていきます。
結構深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「戸」と「軒」の違い!
最初に、「戸」と「軒」の違いを端的にお伝えします。
「軒」とは、家を数える時の言葉で、家の意味もあります。
簡単に言ってしまえば、「世帯」と「家」といった違いですね。
さらに、意味を深掘りしていきます。
①家の中の世帯が重点の「戸」と建物の「軒」
「戸」と「軒」は、主に家や世帯などを数える時に使う「助数詞」です。
「地震により30戸が分断されている」
「大火により20軒の家が焼失した」
こういった使い方をします。
ですが、「戸」の方は「建物」のことよりも、その中の「世帯」に重点が置かれているのですね。
そして、「軒」の方は「世帯」ではなく、世帯が住む「家」、つまり「建物」のこと。
数える「助数詞」として使う場合、「戸」の方は「世帯数」、「軒」の方は「建物数」ということになります。
②「戸」「軒」はともに家の意味もある!
「戸」は助数詞として使う場合は「世帯」に重点が置かれていると説明しました。
ですが「戸」には、「家」という意味もあります。
「戸」は6世紀以降に日本に伝わった漢字で、当時は「世帯」という意味だったのです。
その後、「世帯」の意味とともに「家」の意味でも使われるようになりました。
そして「一戸建て住宅」といったように、「家」、つまり「建物」の意味としても広く使われています。
一方の「軒」も、「家」そのものの意味があります。
たとえば、「一軒家賃貸住宅」といった使い方をします。
「家」として使う場合は、「戸」も「軒」も同じ意味になります。
③「戸」「軒」はともに家の部分をしめす!
「戸」や「軒」は、「家」の意味がありますが、家の部分を示す言葉でもあります。
「戸」は「こ」と読みますが、そのほかに「と」と読みます。
「戸(と)」は扉の「戸」で、家の出入り口に取り付ける建具ですね。
そして「軒」は「けん」と読みますが、「のき」とも読みます。
「軒(のき)」とは、屋根の一番下の部分のことです。
家から飛び出している部分の屋根ですね。
ところで、「軒」と似ているのが「庇(ひさし)」です。
「軒」と「庇」の違いについては、下の関連記事をご覧ください。
④「戸」と「軒」の違いを整理!
一旦、「戸」と「軒」の違いを整理しますね。
数える時の助数詞として使う場合、「戸」は「世帯」を数える時に使います。
一方の「軒」は、「家」、つまり「建物」を数える時に使います。
そして、助数詞以外では、「戸」は「家」「世帯」の意味、「軒」は「家」の意味もあります。
さらに、「戸」は「扉」、「軒」は「屋根の下端」の意味もあります。
2.「戸」と「軒」の辞書での意味!
「戸」と「軒」の違いを説明しましたが、「戸」と「軒」にはその他にも意味がありますよ。
ということで、「戸」と「軒」の辞書での意味をみていきましょう。
①「戸」の辞書での意味!
【戸(コ・と・へ)】
①と。とびら。家や部屋の出入り口。家の内外をしきる建具。「戸口・戸外・門戸」
②いえ。人家。一家。「戸籍・戸主」
③酒を飲む量。「上戸・下戸」引用元:旺文社国語辞典
意味①は、最初の項目で説明した「とびら」のことですね。
そして意味②も、最初の項目で説明した「いえ」その物のことで数える時の言葉でもあります。
意味③は、酒を飲む量をあらわす言葉。
お酒が飲めない人のことを「下戸(げこ)」といいますが、逆に酒豪の人を「上戸(じょうご)」といいます。
「笑い上戸」の「上戸」と同じ意味なのです。
しょっちゅう聞く言葉ではないのですが、歴史は古く奈良・平安時代からある言葉です。
ちなみに、当時は「大戸」「上戸」「中戸」「下戸」の4種類ありました。
「上戸」や「下戸」の語源については、下の関連記事をご覧ください。
②「軒」の辞書での意味!
【軒(ケン・のき)】
①のき。ひさし。ふきおろした屋根のはし。「軒灯・軒溜」
②てすり。らんかん。「軒檻」
③くるま。むかし中国で、大夫以上が乗った車。「軒冕」
④あがる。あげる。高い。「軒軒・軒昂」
⑤書斎名・雅号などに用いる。
⑥家。「軒数・一軒家」
⑦戸数を数えるのに用いる語。「農家五軒」引用元:旺文社国語辞典
意味①の「のき」は、最初の項目で説明した屋根の一番下の部分のこと。
それから、意味②のように橋の「らんかん」の意味があります。
意味③は、中国で高位の人物だけが乗車できる車という意味。
意味④のように、「あがる」という意味もあります。
「あがる」という意味では、「意気軒昂」という言葉があります。
意味⑤は、雅号や戒名などに「軒」が用いられる字ということ。
意味⑥は、最初の項目で説明した「いえ」。
そして意味⑦も、最初の項目のとおり建物を数える時の言葉ですね。
3.「戸」と「軒」の使い方!
続いて、「戸」と「軒」の実際の使い方をご紹介します。
①「戸」の使い方!
・地震による断水戸数を発表する。
・戸籍抄本が必要だ。
・チラシを各戸に配布する。
・粗末で貧しい家のことを蓬戸といます。
・戸外で昼寝をする。
②「軒」の使い方!
・地震によって分断された地域の軒数を集約する。
・彼は2軒の別荘を持っている。
・現在は6軒目のお客さまの所に滞在中。
・意気軒昂(いきけんこう/意気込みが盛んなこと)
・八軒屋(はちけんや/大阪市中央区の地域)
4.「戸」や「軒」には似た意味の言葉がたくさんある!
「戸」や「軒」には似たような意味の言葉がたくさんあります。
たとえば、建物を数える時に使う「棟」。
「棟」も、「1棟」「2棟」といったように数える時に使います。
そして、「棟」と似ているのが「塔」です。
どちらも大きな建物を連想します。
凄く似ていますが、お互いに比べると違いがわかりやすくなりますよ。
もしよかったら、下の記事を覗いてみてください。
参考にしていただければ幸いです。
まとめ
以上が、「戸」と「軒」の意味の違いと使い分けについてでした。
「戸」も「軒」も、数える助数詞として使う場合は「世帯数」が「戸」、「建物数」は「軒」です。
助数詞以外では、「戸」も「軒」も「家」の意味。
「戸」の場合は、「世帯」の意味もあります。
また、扉の意味があるのが「戸(と)」、屋根の下端の意味があるのが「軒(のき)」です。