「上戸」と「下戸」。
読み方は「上戸」が「じょうご」、「下戸」が「げこ」です。
お酒を飲む場面で聞く言葉ですが、「下戸」はテレビなどでも聞いたことがあります。
でも、普段そんなに使う言葉ではありません…。
そういった「上戸」と「下戸」の意味などを徹底的に紐解いていったら!!!
意外なものが語源になっていることがわかりましたよ!!
ということで、本記事では「上戸」と「下戸」の意味の違いや語源などについて徹底調査した結果をお伝えします。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「上戸」と「下戸」の意味の違い!
最初に、「上戸」と「下戸」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「下戸」とは、お酒をあまり飲めない人のことです。
一言であらわすならば、こういった意味になります。
では、さらに詳しく説明していきますね。
①「上戸」と「下戸」の意味をわかりやすく!
「上戸」はわかりやすく言えば、「酒豪」という意味です。
要するに「大酒飲み」の人のことで、いくらでも酒を飲める人のことですね。
一方の「下戸」は、お酒が飲めない人のこと。
お酒は飲めるが、その飲む量が少ない人と、全く飲めない人両方が当てはまります。
気をつけたいのが、お酒が飲めない人でも「下戸」に該当しない場合があります!
たとえば、ドクターストップによりお酒を禁じられている人などは「下戸」とはいいません。
また、イスラム教など宗教上の理由でアルコールが禁じられている人も同様で、「下戸」ではありません。
「下戸」とは、あくまでも本人の体質によりお酒が強くない人のことですね。
②「上戸」と「下戸」の語源!
「上戸」と「下戸」の語源は昔の律令制度が関係しているといわれています。
現在の言葉にするならば、「法律」ですね。
ちなみに、日本で最初に制定された律令は701年で、「大宝律令」です。
「大宝律令」がどういったものなのか、下の関連記事で詳しく解説していますので、もしよかったら覗いてみてください。
そして、「上戸」や「下戸」という言葉が使われ出したのが、701年より後。
時代では、「奈良時代」か「平安時代」といわれています。
当時の税制は、その世帯の成人男性の数が基準になっていました。
成人男性が多ければ、働き手が多いということで税金が多く徴収されます。
逆に成人男性が少なければ、働き手が少ないということで税制の優遇があったのですね。
つまり、成人男性が多く納税額が多い世帯は「上戸」、成人男性が少なく納税額が少ない世帯が「下戸」ということになります。
ちなみに、「上戸」の上の階級には「大戸」があり、「上戸」と「下戸」の間の階級には「中戸」がありました。
「大戸」→「上戸」→「中戸」→「下戸」の順で4つの階級ですね。
成人男性の数は、「大戸」が8人、「上戸」が6人~7人、「中戸」が4人~5人、「下戸」が3人以下です。
それにしても、成人男性が8人もいる「大戸」になると、もの凄い大家族ですね…。
では、この階級がなぜ酒の量になったか?
実は、この階級によって婚礼などで出されるお酒の量が決まっていたというのです。
要するに、納税額が多い「上戸」はたくさんお酒が飲めますし、納税額の少ない「下戸」はお酒の飲める量も少なくなるという具合。
現代にたとえるなら、ふるさと納税の金額が多くなれば、返礼品が豪華になるといった感じでしょうか。
こういった、婚礼で飲めるお酒の量の違いが元になり、お酒が多く飲める人を「上戸」で逆にお酒が苦手な人を「下戸」と呼ぶようになったそうです。
③「上戸」は酒の量以外のものにも使われる!
ところで、「上戸」はお酒が多く飲める人という意味以外にも使われています。
たとえば、酔うとよく笑う人を「笑い上戸」、酔うとよく泣く人を「泣き上戸」といいます。
さらに、相当な量の酒を飲んでも全く酔いがあらわれない人を「盗人上戸」といいます。
全部お酒に関係していますね。
ちなみに「笑い上戸」は、お酒を飲んでいなくてもよく笑う人にも使います。
④「上戸」と「下戸」の意味の違いを整理!
ということで、一旦「上戸」と「下戸」の意味の違いを整理しますね。
「上戸」はお酒をたくさん飲める人のことで、「下戸」はお酒をあまり飲めない、または全く飲めない人のことです。
ただし、「下戸」は体質的に飲めない人のことであり、何らかの理由で飲まない人ではありませんよ。
「上戸」「下戸」ともに、律令制の納税額により婚礼で出される酒の量に制限があったことから生まれた言葉です。
2.「上戸」と「下戸」の辞書での意味!
「上戸」と「下戸」の意味については大体説明しましたが、一応辞書ではどういった内容になっているのかみていきましょう。
①「上戸」の辞書での意味!
【上戸】
①酒のみ。↔下戸
②(「…上戸」の形で)酒に酔うときまってそのくせを出す人。またそのくせ。「笑い―」「泣き―」引用元:旺文社国語辞典
最初の項目で説明した内容と全く同じですね。
②「下戸」の辞書での意味!
【下戸】
・酒の飲めない人。↔上戸引用元:旺文社国語辞典
「下戸」に関しても、説明したとおりの内容になっています。
まとめ
以上が、「上戸」と「下戸」の意味の違いや語源などについてでした。
酒豪は「上戸」、アルコールが苦手な人が「下戸」です。
言葉の意味よりも、大昔の法律が語源になっているというのが面白いですね。
ところで、お酒にまつわる言葉って語源が面白いものが多いですよ。
たとえば、飲食店ではなく、酒屋さんに立ち寄ってお酒を飲むことを「角打ち」といいます。
酒屋さんで立って飲むのですが、「立ち飲み」ではなく「角打ち」です。
「角打ち」の語源については、下の関連記事をご覧ください。
面白いですよ。