日本語は似た意味の言葉がたくさんあります。
「実践」と「実行」もその一つ。
似ていますよね~…、「実践」と「実行」ってどんな違いがあるのだろう?
ということで、今回は「実践」と「実行」の意味の違いや使い分けについて調べてみました。
1.「実践」と「実行」の意味の違いや使い分けは?
最初に、「実践」と「実行」の意味を辞書で調べてみます。
・ある理論や主義にしたがって自分で実際に行動すること。
【実行】
・実際に行うこと。
「実践」と「実行」、どちらも「実際に行動」「実際に行う」という部分では意味が同じです。
では、何が違うのか?
漢字の意味を分析します。
「実践」と「実行」、どちらも「実」という字が入ります。
「実」は「実際」の「実」ですね。
そしてどちらも、「実際に行動」「実際に行う」という部分では意味が同じです。
「実践」の「践」は、「ふむ」「ふみ行う」「歩く」「したがう」「位につく」といった意味があります。
「したがい、ふみ行う」をもっとわかりやすくいうと、「践」は「決めたとおりにおこなう」といった意味。
つまり「実践」は、「実際に現場などで、決められたとおりにおこなう」という意味になります。
たとえば車の部品製造について学び、その学んだ製造方法のとおり部品をつくるということ、これが「実践」です。
辞書での「実践」の意味に、「ある理論にしたがって」「ある主義にしたがって」と記載されています。
この「理論」や「主義」が、「決めたとおりのこと」なのですね。
一方の「実行」の「行」は、「いく」「おこなう」といった意味があります。
ですから、何の条件もなくただ単純に「おこなう」ことが「行」なのです。
何らかの意思があり、それを達成するために動くことが「おこなう」です。
つまり「実行」とは、ただ「実際に何かをおこなうこと」といった意味です。
ですから、実践のように「決めたとおりのこと」をおこなっても「実行」ですし、「決められていないこと」をおこなっても「実行」です。
要するに、大きな「実行」の意味の中に「実践」が含まれるということ。
「実践」は、「実行」の中の一つということです。
ということで、「実践」と「実行」の違いをまとめます。
主義や理論など、何か決めたとおりのことを実際におこなうのが「実践」、ただ単純に実際に何かをおこなうことが「実行」です。
そして、「実行」の意味の中に「実践」が含まれます。
2.「実践」と「実行」の具体的な使い方は?
それでは、「実践」と「実行」の具体的な使い方や使い分けを例文でご紹介します。
・脅迫事件の実行犯は○○だったことが判明した。
(一般的な犯罪行為は決められたことではないので「実行」)
・○○は、犯罪組織○○の主義主張を確実に実践している。
(犯罪組織の中で決めた主義にしたがっているので「実践」。「実行」でもOK)
・様々な教育があるが、実際の現場で実践することは大切だ。
(教育で学んだこと、つまり決まったことをおこなうので「実践」。「実行」でもOK)
・長年学んできたことを、今こそ実行にうつすとき。
(実際におこなうので「実行」。学んだこと、つまり決まったことなので「実践」でもOK)
・正しい投球フォームを実践できるかが勝敗のカギ。
(正しい投球フォーム、つまり決まったことなので「実践」。「実行」でもOK)
・彼は、ボールをつかみ投げるということを実行にうつした。
(実際にボールを投げるという行為なので「実行」)
ということで、「実践」は理論や主義といった決まったことをおこなう際に使います。
ただ単純に物事をおこなう場合は「実行」です。
「実践」や「実行」の説明をしましたが、何かを行う前にするのが「企画」や「計画」です。
「企画」と「計画」の違いをご存知ですか?
詳しくは、下の関連記事をご覧ください。
まとめ
以上が「実践」と「実行」の意味の違いや使い分けについてでした。
理論や主義といった「何かにしたがって」「何かにのっとって」おこなうのが「実践」です。
何か決まったことですので、「マニュアル」と言い換えることができますね。
「マニュアル」なんて、あってもなくてもそんなのどっちでもいい、というのが「実行」です。
最初に行う「企画」や「計画」ですが、これは「策定する」「作成する」どっちだと思いますか?
「策定」と「作成」の違いについては、下の記事を覗いてみてください。