「親子」と書く時は「子」ですよね。
でも、「子猫」や「子羊」の場合は、「子」の他に「仔」の漢字が使われる場合があります…。
「仔猫」「仔羊」といった具合に…。
動物の場合は「仔」も有り…
でも「仔」って、人間に関係した言葉に多く使われる「にんべん」が付いていますよね…。
なんか、謎は深まります…。
おまけに、「児」という漢字もあります。
そんな疑問が生まれたので、調べてみましたよ!
実は、「子」も「仔」も「児」も、全て同じような使い方をするのですが、使い分けに決まりがありました!
ということで、本記事では「子」と「仔」と「児」の意味の違いと使い分けについて徹底的に調査した結果を解説していきます。
1.「子」と「仔」と「児」の使い分け!
「子」「仔」「児」はそれだけで複数の意味を持ちます。
たとえば「赤ちゃん」や「幼い子供」の意味もありますし、親子関係で子供に当たる人は大人であっても「子」といいます。
詳しい意味については、後半の項目で分かりやすく説明しますが、この項では「子」「仔」「児」の使い分けの部分について解説していきますね。
一般的に人間の幼い子供の場合は「子」を使います。
そして、人間以外の動物の幼い子供の場合に「仔」を使います。
ですが、動物であっても「子」の方を使っても間違いではありません。
つまり、動物の場合は「仔」でも「子」でも構わないということ。
それから、「子」と「児」の違いはほぼないと言えます。
一説では、親子関係の子供を「子」と呼び、親子関係のない幼い子供を「児」と呼ぶ、というような意見もあるようですが、厳密には「児」にも親子関係の子供の意味があります。
ただし、一般的には親子関係の子供の場合、多くは「子」の方が使われています。
それから、「児」は「子」と違い年齢制限がない、といった意見もあるようですが、これも正確には違っています。
前に説明したとおり、親子関係の子供にあたる人は大人であっても「子」です。
そして、「児」も「九州男児」「日本男児」といった言葉があるとおり年齢の範囲のない使い方もします。
では、「子」「仔」「児」の使い分けについて整理します。
人間の幼い子供
「子」「仔」
動物の幼い子供
「子」「児」
親子関係の子供
※ただし一般的には「子」を使用。
2.「子」ではなく「仔」の字が使われるようになった理由とは!
そもそも、「にんべん」が使われている字でありながら、動物の子供に対して「仔」が使われるのは不思議なこと…。
ということで、「仔」の字の由来を調べてみました。
「孔子」は中国の有名な儒教の始祖、そして「老子」は哲学者です。
名前に「子」が使われていますが、尊敬の意味があります。
そして「子いわく」といった使い方をするとおり、「子」には「先生」の意味もあるのですね。
そういったこともあり、動物に対して「子」を使うのはふさわしくないといったことが要因しているようです。
そこで「子」の代わりに、動物の子供に「仔」を使うようになったといわれています。
それから、「にんべん」は人間が行う行為に対して多く使われます。
「仕事」「使う」「仰ぐ」「借りる」「働く」など。
そして、「仔犬」や「仔羊」など、動物の子供は人間が養うことから「仔」を使うようになったといった説もあるようです。
ですが、この説は少し微妙です。
というのも、「にんべん」があっても「俵」「倍」「伸」「価」「値」「仮」など今一つ人間の行動とは関係なさそうな字も多くあるからです。
また、「けものへん」も「猿」「狸」「狐」「狼」など動物に多く使われます。
ですが、「独身」「犯人」「狂人」「猟師」など人に関する言葉もあります。
要するに、にんべんだから必ず「人間」、けものへんだから必ず「動物」ということではないということ。
どちらかといえば、最初の説の方が信憑性が高いかもしれません。
3.「子」と「仔」と「児」の辞書での意味とは!
それでは、「子」「仔」「児」が辞書ではどういった説明がされているのか詳しくみていきましょう。
【子(こ)】
①一組の男女の間に生まれた人。子供。
②養育して親子関係にある人。養子や継子。
③動物の、生まれて間もないもの。「猫の―」
④幼い人。子供。「よちよち歩きの―」
⑤年若い者。「今どきの―」
⑥魚などの卵。「たら―」
⑦もとから分かれ出たもの。「―会社」
⑧利子。「元も―もなくなる」
⑨かかえの芸者や遊女。また、若い女性。
⑩マージャン・花札など勝負ごとで、親以外の人。引用元:旺文社国語辞典
①の意味はそのとおり親子関係の子供のことですが、②のように血縁関係なくても「子」です。
そして③のように動物の子供の意味もあり、④のように親子関係がない幼い子供の意味もあります。
さらに⑤のように、「今どきの子」というような若い人の意味もありながら、⑥の魚の卵の意味もあります。
あと⑦は「子会社」の「子」で、親子関係の比喩的表現ですね。
⑧は「元も子もなくなる」というように「利子」の意味です。
⑨は若い女性の意味で「娘(むすめ)」を「こ」と読むのと同じような使い方ですね。
⑩は勝負事で使う言葉で、親子関係の比喩的表現です。
ということで、「子」という言葉に辞書では全部で10種類の意味があるということです。
【仔(こ/シ)】
①こまかに。詳しく。「仔細(しさい)」
②こ。動物の子。「仔牛」引用元:旺文社国語辞典
続いて「仔」ですが①の意味は「こ」ではなく「し」と読む場合の意味で、「詳しく」という意味があります。
そして②は、動物の子供の意味で、人間の子供には使いません。
【児(こ/ジ・ニ)】
①こ。ちのみご。わらべ。子供。「児童・幼児・乳児・優良児・天才児」
②むすこ。むすめ。親に対する子供。また、子の親に対する自称。「児孫・愛児」
③年少者。わかもの。「健児・寵児(ちょうじ)」引用元:旺文社国語辞典
「児」の①の意味は「子」と同じで幼い子供の意味です。
そして②の意味は親子関係の子供の意味ですね。
辞書でも親子関係の子供の意味を解説しています。
③は「わかもの」という意味ですね。
「わかもの」ですので年齢の範囲が曖昧です…。
「子」と「仔」と「児」のように同じ読み方でありながら意味が違う言葉はまぎらわしいですよね…。
特に「迎える」と「向かえる」は気を付けないと、意味が違うので大変なことになってしまいますよ!
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まとめ
以上が、「子」と「仔」と「児」の意味の違いと使い分けについてでした。
簡単にまとめると、動物の幼い子供は「子」と「仔」を使います。
人間の幼い子供は「子」と「児」を使いますが、「仔」は使いません。
人間の親子関係の子供の場合は「子」を使います。
ですが、親子関係があるという理由で「児」を使ってはいけないということではありません。
しかし、一般的には「子」の方を使います。
それから、「子」という言葉に10種類も意味が含まれているというのは凄いですね。
親子関係の子供や、若い子供という意味を比喩的に使った言葉が定着して生まれた言葉もあります。
ところで、女性の名前に「子」が多く使われます。
「子」の付く名前が流行った時代があったり、「子」が付かない名前が流行った時代もあったり、さまざまなのですが…。
昔は、「子」という字は位の高女性しか使えない字だったようです。
ありがたい字だったのですね。
同じ読み方でありながら意味が違う言葉はたくさんあります!
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