「棟」は「1号棟、2号棟」、「軒」は「3軒先の角を左に曲がった所」といった使い方をします。
どちらも、建物を数える時の言葉。
建物は建物だけど、どんな建物で「棟」と「軒」を使い分けるのか??
また、「建物を数える」以外の意味は??
その部分を、徹底的に深掘りしてみましたよ!!
ということで、本記事では「棟」と「軒」の意味の違いと使い分けについて、徹底調査した結果をお伝えしていきます。
かなり、掘り下げましたのでご期待ください!
1.「棟」と「軒」の違い!
まずは、「棟」と「軒」の違いを簡潔に説明します。
「軒」とは、家のことで、その家を数える時の言葉でもあります。
では、さらに詳しく説明していきますね。
①「棟」は大きい建物で「軒」は家の違い!
「棟」を英語にすると「ビルディング」です。
つまり「ビル」のこと。
ですから、ビルとは呼べない建物には「棟」は使いません。
大きな建物が「棟」なのですね。
たとえば、「病棟」や「研修棟」といった使い方をします。
そして、その大きな建物、つまりビルを数える時に使う言葉でもあります。
たとえば、「1号棟」「2号棟」といった使い方をします。
一方の「軒」は、一般的な住宅、つまり家のことをあらわしています。
ただし、家というよりは、家を数える時に使う方が多い言葉ですね。
「1軒」「2軒」や、「一軒家」といった使い方をします。
家の意味もあるのですが、どちらかというと家を数えるための「助数詞」といった方がよいかもしれません。
②「棟」「軒」はともに屋根の部分をしめす!
「棟」と「軒」には、「屋根」の部分の意味があります。
屋根をあらわす時は「棟」は「とう」ではなく「むね」、そして「軒」は「けん」ではなく「のき」と読みます。
「棟(むね)」は、屋根のてっぺん、一番高い部分のこと。
そして「軒(のき)」は、屋根の一番低い部分、下端のことです。
一つの屋根でも、上の部分と下の部分で呼び方が違うのですね。
ちなみに、「軒(のき)」と混同される言葉で「庇(ひさし)」があります。
「軒(のき)」と「庇(ひさし)」は似ているようで、違いますよ。
「軒」と「庇」の違いについては下の関連記事をご覧ください。
③「棟」と「軒」の違いを整理!
「棟」は、大きい建物のことで、大きい建物を数える時に使う助数詞でもあります。
「軒」は、家のことで、家を数える時に使う助数詞でもあります。
「大きい建物」と「家」の違いですが、両者を区分する境界線の定義はありません。
ですが、「一軒家」というように、一世帯用の住宅はたとえ大きくても普通は「軒」です。
さらに、「棟(むね)」は屋根の一番高い部分のこと、「軒(のき)」は屋根の一番低い部分のことです。
2.「棟」と「軒」の辞書での意味!
「棟」と「軒」の違いを説明しましたが、それぞれには他の意味もありますので、辞書の内容をみていきましょう。
①「棟」の辞書での意味!
【棟(トウ・むね・むな)】
①むね。屋根の一番高いところ。むなぎ。屋根のむねに使う木。「屋棟・高棟」
②長いむねをもった建造物。また、それを数える語。「第二病棟」
③主要な人物。かしら。「棟梁」
④建物を数える語。「東の二棟を建て替える」引用元:旺文社国語辞典
意味①の「むね」は、前の項で説明したとおり屋根の上の部分。
そして意味②が前の項で説明したとおり「ビルディング」、つまり大きい建物のことですね。
実は、大きい建物というのは、屋根のむねが長い建物というのが元になっているのです。
意味③は「主要な人物」のこと。
「棟梁」といった使い方をしますが、たとえば建築現場の方々の中心人物のことをあらわしています。
ちなみに、家の「棟(むね)」と「梁(はり)」というのは特に重要な部分であることから、「棟(むね)」と「梁(はり)」を合わせて「棟梁」という言葉が出来ました。
意味④は、「ビルディング」を数える時にも使う言葉ということですね。
「1棟」「2棟」といった使い方をします。
②「軒」の辞書での意味!
【軒(ケン・のき)】
①のき。ひさし。ふきおろした屋根のはし。「軒灯・軒溜」
②てすり。らんかん。「軒檻」
③くるま。むかし中国で、大夫以上が乗った車。「軒冕」
④あがる。あげる。高い。「軒軒・軒昂」
⑤書斎名・雅号などに用いる。
⑥家。「軒数・一軒家」
⑦戸数を数えるのに用いる語。「農家五軒」引用元:旺文社国語辞典
意味①の「のき」は、前の項で説明したとおり屋根の下端の部分。
意味②にあるように、「てすり」の意味もあります。
意味③は、「軒冕(けんべん)」と読むのですが、中国の高官だけが乗れる車という意味。
意味④は、「あがる」という意味で、「意気軒昂(いきけんこう)」といった使い方をします。
意味⑤は、「軒」は雅号などに使われる字という意味。
書斎名や雅号の他に、戒名などにも使われます。
意味⑤は、前の項で説明したとおり「いえ」のこと。
意味⑥も、前の項のとおり家を数える時の助数詞ということですね。
3.「棟」と「軒」の使い方!
今度は、「棟」と「軒」の実際の使い方をご紹介します。
①「棟」の使い方!
・緩和ケア病棟に入院する。
・彼の不動産はマンションだけで4棟だ。
・研究棟が新たに建設された。
・棟梁之材(とうりょうのざい/国家を支える重任に耐える人材)
・惠棟(けいとう/中国・清代中期の儒学者)
②「軒」の使い方!
・右に曲がって4軒目が私の家です。
・しばらく賃貸住宅で生活したが一軒家を購入した。
・この地域はホテルの軒数が多い。
・軒騎(けんき/馬や車に乗ること)
・大千軒嶽(だいせんげんだけ/北海道の山)
4.「棟」や「軒」には似た意味の言葉がたくさんある!
「棟」や「軒」には、似たような意味の言葉がたくさんあります。
たとえば、「戸」。
「戸」も「1戸」「2戸」といったように数える時に使います。
また、大きい建物という意味で「棟」と似ているのが「塔」です。
凄く似ているのですが、それぞれを比べると違いがよくわかりますよ。
もしよかったら、下の関連記事をご覧ください。
ぜひ、参考にしてください。
まとめ
以上が、「棟」と「軒」の意味の違いと使い分けについてでした。
大きい建物の意味があるとともに、大きい建物を数える時に使う助数詞が「棟」です。
家の意味があるとともに、家を数える時に使う助数詞が「軒」。
「大きい建物」と「家」の違いなのですが、「大きい家」の場合はどっち?と思ってしまいます。
ですが、一世帯用の家は大きくても一般的には「棟」とはいいません。
さらに、屋根のてっぺんが「棟(むね)」、屋根の下端が「軒(のき)」です。