「おおざと」と「こざとへん」。
これ、どちらも漢字の構成要素の一つです。
しかも、まぎらわしいことに!!
なんと!この2つは以下のとおり形が同じなのです!!
うん~ん…。
わかりにくい…。
ということで、これらの漢字の構成要素を徹底的に分析してみました!
本記事では、「おおざと」と「こざとへん」の違いと覚え方について、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「おおざと」と「こざとへん」の違い!
最初に、「おおざと」と「こざとへん」の違いを簡潔にお伝えします。
「こざとへん」とは、「隣」「隈」「阪」「陵」など「阝」が漢字の左側にある構成要素のこと。左側は「へん」の位置なので「こざと」ではなく「こざとへん」という呼び方が正しい。
短くまとめると、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく説明していきますね。
①「おおざと」とは!由来は?
「おおざと」とは、「阝」が漢字の右側に位置したもの。
右側に位置していますので、「へん」ではありません。
ですから「おおざとへん」は誤りで、「おおざと」が正しい名称。
「大きい」と「里(さと)」で「大里(おおざと)」が語源といわれています。
そして、この「おおざと」の原形は「邑」。
「邑」という字が省略されて「阝」の形になりました。
「邑」は、「むら」「くに」「みやこ」と読みますが、意味もそのとおりで「国」「都」「村」「里」「村里」です。
要するに「邑」とは、人々の住むところということ。
そして、「おおざと」も「邑」と同じように「人々が集まって暮らす所」という意味があるのです。
そもそも「邑」や「村」の「むら」という読みも、「群れ」「人が群れる」の「むれ」が語源らしいですから…。
「人々が集まって暮らす所」という意味がある「おおざと」ですが…。
そういった意味から、「阝」は以下のような漢字のつくりとして使われます。
「都」「郡」「部」「郷」など。
「都」は「みやこ」で都道府県の「都」、「郡」は「郡部」や日本各地の地名「○○郡」といった使い方をします。
「部」は「部落」や地域の「南部」「北部」、「郷」は「故郷」「郷里」「在郷」といった使い方。
全てではありませんが、「人々が集まって暮らす所」に関係した漢字に多く使われます。
②「こざとへん」とは!由来は?
「こざとへん」とは、「阝」が漢字の左側に位置したもの。
左側に位置していますので、「へん」です。
ですから「こざと」ではなく「こざとへん」が正しい名称。
「小さい」と「里(さと)」で「小里(こざと)」が語源といわれています。
そして、この「こざとへん」の原形は「阜」。
「阜」という字が省略されて「阝」の形になりました。
「阜」は、岐阜県の「阜(ふ)」で「おか」とも読みますが、意味もそのとおりで「おか」「つちやま」「台地」です。
つまり「阜」は、「邑」よりは狭い範囲ではありますが、ある特定の土地を指しているということ。
ですから「こざとへん」自体も、丘という土地の意味があります。
「おおざと」と「こざとへん」の関係についての由来は不明ですが…。
もしかしたら、「おおざと」の方が大きな地域割りで、「こざとへん」の方は小さい地域割りということなのかもしれません。
これで「大」と「小」に分けたのかな…という、私個人の想像です。
ちなみに、「こざとへん」が使われる漢字は以下のとおり。
「隣」「隈」「阪」「陵」など。
「隣」は「となり」で「隣家」「隣町」、「隈」は「界隈」や「山隈」など、どちらも地域を指す言葉。
「阪」は、「さか道」の「さか」という傾斜のある土地を意味しています。
「陵」は「おか」のことで「丘陵」といった使い方をするとおり、盛り上がった土地を指していますよね。
このように、「こざとへん」は狭い範囲の土地を意味する漢字に多く使われます。
2.「おおざと」と「こざとへん」の覚え方!
続いて、「おおざと」と「こざとへん」の覚え方をお伝えします。
①「おおざと」「こざとへん」の覚え方!
紙に書いてある漢字を見て「おおざと」なのか「こざとへん」なのかを判別するには、「へん」であるのかどうかを判断基準にしてください。
たとえば「おおざと」は「へん」ではありませんので、左側に位置するのはおかしいわけです。
ですから、「へん」の位置ではない右側にあったら「おおざと」ということ。
逆に、「へん」の位置である左側にあったら「こざとへん」です。
紙に自分で書く場合も、同じ原理で判断してください。
②「おおざと」の覚え方!
「おおざと」独自の覚え方もあります。
それは、エルヴィス・プレスリーの曲「That's All Right」に当てはめる覚え方。
「That's All Right」は「ザッツオーライト」。
「That's」を「ザット」にして、「All」の「オー」を前に持っていきます。
すると、「オーザット」ですよね。
あと「Right」は右です。
ですから、「オーザト」は「右」ということ。
③「こざとへん」の覚え方!
「こざとへん」の方は、「『That's All Right』ではない方」と覚えてください。
「ザッツオーライト」=「おおざと」。
ですから、「こざとへん」は右側ではない、といった覚え方です。
つまり、「こざとへん」は左側です。
まとめ
以上が、「おおざと」と「こざとへん」の違いと覚え方についてでした。
「おおざと」と「こざとへん」の違いは、「おおざと」が右側で「こざとへん」が左側に位置するということ。
「おおざと」は「へん」がつきませんが、「こざとへん」は「へん」がつくので左側と覚えてください。
それから、「おおざと」はエルヴィス・プレスリーの曲「That's All Right」に当てはめることができます。
「That's All Right」の文字を組み替えると、「オーザト」は「右」になりますよ。
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