「さあ、とっととずらかろうぜ」だとか「5限目世界史かよ、たいぎいなあ。ずらかるか」などの「ずらかる」。
逃げるとか立ち去るとか、さぼるという意味だと思うのですが、なぜ「ずらかる」なのか、語源が分からないなあ。
ずら……ヅラ?
ということで(笑)、今回は「ずらかる」の語源や意味などについて調べてみました。
1.「ずらかる」の語源・意味は?方言なの?
「ずらかる」を広辞苑でひいてみると、
①逃げる。逃亡する。高跳びをする。
②(他動詞として)盗んだ品物を処分する。
とありました。
さらに、「もと盗人などの隠語」とも。
まあ、たしかに、盗人以外にはそうそう使い道のない言葉ですね。
「ずらかる」は逃げるという意味ですが、ただ逃げるだけでなく、「何か悪いことをして」逃げるというのが本来の意味です。
「ずらかる」は明治頃から使われていたそう(ということは、鼠小僧は「ずらかる」とは言っていなかったのか)ですが、なぜ「ずらかる」なのか、正確な語源の根拠についてはいまひとつハッキリしませんでした。
ただ、いろいろと調べた結果、「ずらかる」の「ず」は「頭」で、「かる」は「駆る」ではないかといった意見はありました。
「駆る」は追い立てるといった意味がありますので、ニュアンス的にはなんとなく理解できますが、「頭」って何だろう?
まあでも、盗人発の隠語だもんね、いくら筆まめの国民性とはいえ盗人が「こうこうこういう由来でずらかるというようになりました」なんて書き残してはくれません(笑)
会話をわかりにくくするのが隠語の目的でしょうから…。
また、1980年ごろには学校を無断で早退する、さぼることも「ずらかる」と言うようになりました。
昔の学校は自由ですね。
今だったら、生徒が一人いなくなったとなると、警察が出動する騒ぎです。
2.「とんずら」の語源や意味は?「ばっくれる」は?
「ずらかる」とよく似た言葉が「とんずら」、「とんずらする」だとか「とんずらを決め込む」という使い方をします。
「とんずら」を広辞苑で引くと、
(「とん」は遁走(とんそう)、「ずら」は「ずらかる」の意)犯罪を犯して逃げることをいう俗語。
語源は、遁走+ずらかるで「とんずら」というわけですね。
「とんずら」は「ずらかる」よりも後、昭和頃から使われ始めたといわれています。
また「ばっくれる」も「ずらかる」や「とんずら」と似ていますよね。
(白ばっくれるの変化)
①素知らぬ顔をする。とぼける。
②俗に、逃げる。さぼる。
「ばっくれる」は「白ばっくれる」を省略した言葉で、上記のとおりとぼけるとか白を切るといった意味になります。
知らないふりをするという意味が元々、それに加えて逃げる・ずらかるという意味でも使われるようになりました。
「白ばっくれる」の語源は、白々しいという意味の「白々しく」+「化ける」、白々しくするという意味です。
「ずらかる」「とんずら」「ばっくれる」の使い方は、
・おい、ばっくれるな。お前がやったという証拠はあがっているんだぞ。
・この野郎、ばっくれやがって。
・「つまんねえ授業だなあ」「もういいや、(ずらかろうぜ)(とんずらしようぜ)(ばっくれようぜ)」
・バイトを(ずらかる)(とんずらする)(ばっくれる)
いずれも、盗人や不良、そういった方々が主なユーザーです。
「ばっちり」の語源については、下の関連記事をご覧ください!
まとめ
以上が、「ずらかる」の語源や意味などについてでした。
「ずらかる」「とんずら」「ばっくれる」いずれも、悪さをした後で逃げることです。
「ずらかる」は方言なのかなとも思いましたが、それらしい方言は見つかりませんでした。
うーん、由来が謎だなあ。
「ずら」って一体何なんだ?
「雌雄を決する」の語源については、下の記事をどうぞ!