「指針」と「方針」、どちらも「これから進むべき方向や道」を示す言葉ですが、意味の違いや使い分けが分かりにくいですよね。
ということで、今回は「指針」と「方針」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「指針」と「方針」の意味の違いと使い分けは?
まずは広辞苑を引いてみましょう。
①指示装置についている針。磁石盤の針、時計の針など。
②物事を進める方針。てびき。
【方針】
①方位を指し示す磁石の針。磁針。
②進んでいく方向。目ざす方向。進むべき路。
ふたつを見比べてみると指針も方針も、これから進むべき方向を指しているのは同じですね。
言葉の成り立ちも、どちらも方位磁石の針が進む方向を教えてくれているという意味です。
ですが、あえて使い分けをするならば、このふたつ、実は方向を設定する人物に違いがあるのです。
「指針」の方は、自分自身が進む方向を決めているわけではありません。
つまり「指針」とは、誰かから与えられるもので、誰かから「こうしたほうがいいですよ」「こっちに進んだ方がいいですよ」「一般的にこうあるべきです」と指示されるものなのです。
しかも進む人物に対し、強い「命令」というよりは優しい「助言」であり、親切に教えてくれるガイドライン的な意味合いがあります。
一方の「方針」は、自分自身、または自分自身が属する組織が方向を決めます。
つまり「方針」とは、自分や自分が属する組織が「みんなでこっちにいくぞ」「みんなでこうするぞ」というように決めるものなのです。
ですから進んでいく人物に対しては、「助言」というよりは「命令」に近く、強い意思表示が示されます。
これは、「自分たちで決めた方向なんだぞ」という気持ちをあらわしています。
進む人物にとって「指針」は受動的で、「方針」は自主的といえます。
「指針」と「方針」を英語に訳すと以下のとおりです。
guideline(ガイドライン)
・方針
course(コース)
policy(ポリシー)
これを見ると、英語であっても「指針」「方針」ともに、方向性を示すという意味合いですね。
2.「ビジョン」とは?「指針」「方針」との意味の違いは?
「ビジョン」とは、「将来、ある時点でどのような発展を遂げていたか、成長していたいかなどの構想や未来像。またそれらの構想を文章などで描いたもの。」です。
つまり、未来の青写真のことですね。
「指針」や「方針」は進む方向であるのに対して、「ビジョン」は目指す未来像です。
「ビジョン」があり、そこに近付くために「指針」や「方針」といった方向が示されます。
「指針」や「方針」などを伝えるものといえば「くんじ」です。
実は、「くんじ」には「訓示」と「訓辞」の2種類の漢字があります。
どっちを使うべきか?詳しくは下の関連記事をご覧ください。
まとめ
以上が、「指針」と「方針」の違いや使い分けなどについてでした。
「指針」も「方針」も、どちらも進む方向という意味で同じです。
あえて使い分けるならば、「指針」は誰かから与えられるもので、「こうしたほうがいいよ、進むべき道はこっちだよ」と助言されるものですが、「方針」は「俺たちはこっちに行くぞ」と自分や自分の組織で決めたものなので意思表示が強めです。
また、「指針」では「標準的なやり方はこれです」ということで「てびき」や「ガイドライン」の意味もあります。
「指針」や「方針」などを実現するやり方には「手段」や「方法」があります。
「手段」と「方法」の違いについては、下の記事を覗いてみてください。