「尋ねる」と「聞く」、どちらの言葉もたくさんの意味を含んでいます。
でも、相手に道を「尋ねる」と、相手に道を「聞く」では意味に違いはあるのでしょうか?
また、「尋ねる」は「訪ねる」という字もあるし…。
「聞く」には「聴く」もあるし…。
まぎらわしいですよね…。
ということで、今回は「尋ねる」と「聞く」の意味などについて解説していきます。
1.「尋ねる」と「聞く」に違いは?意味のポイント!
最初に、「尋ねる」と「聞く」の意味のポイントについて簡単にお伝えします。
「尋ねる」には、質問するという意味があります。
「聞く」にも、質問するという意味があります。
つまり、「尋ねる」と「聞く」はどちらも質問するという意味で同じです。
ただし、「尋ねる」も「聞く」も意味が広く、他にもたくさんの意味を含んでいます。
ということで、さらに詳しく「尋ねる」と「聞く」の意味について解説していきますね。
2.「尋ねる」の意味とは!
では、「尋ねる」の意味から。
①住所のわからないものをさがし求める。「転居先を―」
②跡を追って、行方をさがし求める。「生き別れた兄を―」
③不明な事を人に問う。質問する。「道を―」(訊ねるとも書く)
④昔にさかのぼってさがし求める。先例や道理を考え求める。「芸道の奥義を―」
意味が4種類ありますので、順に説明しますね。
意味①の「尋ねる」は、どこなのか不明な場所をさがし求めるということです。
目的地がわからない状態なのです。
「地図を売っていそうな所を尋ねてはみましたが、結局わからなかった」
といった使い方をします。
その場所に向かうというのではなく、さがし求めるということですね。
意味②の「尋ねる」は、どこにいるのかわからない人の居所をさがし求めるということです。
この「尋ねる」も目的地はわかりません。
「本当の親の居所を尋ねてみたものの、居所は結局わからなかった」
といった使い方をします。
意味③の「尋ねる」は、自分がわからないことを質問するということです。
「お寺の場所を尋ねる」
といった使い方をします。
これは、お寺の位置関係を質問するという意味ですね。
意味④の「尋ねる」は、道理や根源など奥深いものをさがし求めるということです。
簡単な質問ではなく、大がかりな調査が必要です。
「自分の祖先は誰なのか、尋ねてみようと決心した」
といった使い方をします。
a.「尋ねる」と「訪ねる」の違い!
「たずねる」には「訪ねる」という字もあります。
「訪ねる」は「人に会うためにその居所に行く。見るためにある場所におもむく」という意味です。
つまり、「人」や具体的な「場所」という目的地が明確になっていることがポイントです。
「尋ねる」は、わからない場所をさがし求める時に使います。
つまり「訪ねる」は、行き先がはっきりしている、また会う人の居場所がはっきりしている所に行くのに対し、「尋ねる」は、行き先がはっきりしていない、また人の居場所がわからないのでさがし求めて行くという違いになります。
b.「尋ねる」と「訊ねる」の違い!
「たずねる」には「訊ねる」という字もあります。
「訊ねる」は「尋ねる」の③の意味とほぼ同じで、質問するという意味です。
ただし「訊ねる」の方が、少し強めの質問で「問いただす」的な意味合いがあります。
つまり、同じ質問でも「尋ねる」は「お寺の場所を教えてください」に対し、「訊ねる」は「お寺の場所は、本当にこちらの方向で間違っていないですか」と少し強めになります。
3.「聞く」の意味とは!
続いて、「聞く」の意味です。
①音や声を耳に感じる。「物音を―」
②尋ねる。問う。「道を―」
③相手の言うことを聞き入れる。「友人の忠告を―」
意味が3種類ありますので、順に説明します。
意味①の「聞く」は、音などを感じるということです。
はっきりと言葉を理解するというよりは、声や音を感じ取るといった意味になります。
「音を聞くが、何の音なのかはわからない」
といった使い方をします。
意味②の「聞く」は、質問するというということです。
「生徒に名前を聞く」
といった使い方をします。
「名前は何というのですか?」と質問しているのですね。
意味③の「聞く」は、相手の言うことを聞き入れて従うということです。
発言を聞いたほかに、その内容に従った場合に当てはまります。
「県民の声を聞く」
といった使い方をします。
この場合は、たとえば県知事が県民の意見に従った政治を行うという意味になります。
a.「聞く」と「聴く」の違い!
「きく」には「聴く」という字もあります。
「聴く」は、「注意して人の言葉を聞きとる」という意味です。
音を感じ取る「聞く」よりも、積極的に耳をかたむけて念入りに意思を持ってききとるという意味です。
ですから、「友人の忠告を聴く」となると、「友人の忠告に対して、注意深く耳をかたむける」という意味になります。
しかし、「友人の忠告を聞く」となると意味④のとおり「友人の忠告に従う」という意味になります。
全く意味合いが違ってきますね。
b.「聞く」と「訊く」の違い!
「きく」には「訊く」という字もあります。
「訊く」は、「質問する。問う」という意味があります。
ですから、「聞く」の②の意味と同じです。
ですが、「問いただす」といった少し強めの質問の意味も含んでいます。
似ているのですが、「聞く」は「質問する。問う」ですが、「訊く」は「質問する。問う。問いただす」という意味になります。
つまり、同じ質問でも「聞く」は「名前を教えてください」に対し、「訊く」は「あなたの名前を、正直にこたえてください」と少し強めになります。
4.「尋ねる」と「聞く」に違いは?
ということで、ここで「尋ねる」と「聞く」の違いを整理します。
「尋ねる」とは、「不明な場所や、不明な人の居場所をさがし求める」「質問する」「道理などを追及する」といった意味になります。
「聞く」とは、「物音や声を感じる」「質問する」「相手の発言を聞き入れ従う」という意味です。
そして、「尋ねる」と「聞く」を比較した場合は「質問する」といった意味合いに違いがあるのかどうか、ここが最大のポイント。
この「尋ねる」の「質問する」と、「聞く」の「質問する」に違いはありません。
どちらも同じ意味になります。
ですから、この場合の「尋ねる」と「聞く」を英語にすると、どちらも「question(クエッション)」になります。
5.「尋ねる」と「聞く」の使い方!
では、「尋ねる」と「聞く」の実際の使い方を例文で紹介します。
【「尋ねる」の使い方!】
・何科の病院を受診すべきが友人に尋ねてみる。
・年齢を尋ねる。
・得意なスポーツがあるのか彼に尋ねる。
・この商品の最大の注目ポイントをお尋ねしたいのですが。
・他者の発言が多すぎて、尋ねる間もなかった。
【「聞く」の使い方!】
・何科の病院を受診すべきか友人に聞いてみる。
・年齢を聞く。
・得意なスポーツがあるのか彼に聞く。
・この商品の最大の注目ポイントをお聞きしたいのですが。
・他者の発言が多すぎて、聞く間もなかった。
まとめ
以上が、「尋ねる」と「聞く」の意味についてでした。
「尋ねる」には質問するという意味がありますが、「聞く」にも質問するという意味があります。
つまり、「質問する」という意味ではどちらも同じです。
ですが、「尋ねる」も「聞く」もたくさんの意味を含んでいますので、その他の意味も理解した上で使い分けてください。
また「たずねる」は、「尋ねる」の他に「訪ねる」や「訊ねる」がありまあす。
「きく」は、「聞く」の他に「聴く」や「訊く」があります。
それぞれ意味に違いがありますので、気をつけてくださいね。
「尋ねる」などに意味が似ているのが「諮問」です。
「諮問と答申」といったように「答申」とセットで使われますが、「諮問」と「答申」の違いについては下の記事を覗いてみてください。