「問題への取り組み」と「相撲の取組」、私は特に何も意識せず送り仮名を使い分けてきたけれど、改めて「取り組み」と「取組」の違いは?と尋ねられると……うーん(^^;)
それにしても、「送り仮名」の使い方の違いなのですがなぜ統一しないのでしょう??
ということで、今回は「取り組み」「取組み」「取組」の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「取り組み」「取組み」「取組」の違いと使い方・使い分けは?
広辞苑を引いてみたところ、広辞苑には送り仮名がない「取組」で載っていました。
①とりくむこと。相手となること。物事にあたること。
②相撲の組合せ。
③縁組。
④売手と買手との組合せ。売買の約定。
「取組」の意味は上記の通り。
では、送り仮名の問題は?……こちらは広辞苑では分からないので、ほかをいろいろと調べてみました。
すると、昭和48年に内閣から発表された「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための送り仮名の付け方とよりどころ」なるものを発見!
これによると「申し込み・申込み・申込」や「取り扱い・取扱い・取扱」などで具体的な送り仮名の使い方が解説されていました。
ということで「取り組み・取組み・取組」の送り仮名の使い方の位置づけは以下のとおりとなります。
※本則とは、送り仮名の付け方に関する基本的な法則のこと。
・許容「取組み」
※許容とは、例外的な事項又は許容的な事項のことで読み間違う恐れがない使い方。
・慣用に従って送り仮名を付けない「取組」
※習慣的に世間に広く知れ渡っているため読み間違う恐れがない使い方。
わかりやすく説明しますね。
基本は「取り組み」ですので、「取り組み」を使いましょう。
そして基本的には「取り組み」なのですが、まあ読み間違える恐れが無いからヨシとしましょう、許容範囲ですよ、というのが「取組み」。
また基本は「取り組み」で許容範囲が「取組み」なのですが、相撲などのある決まったところで習慣的に普通に使われているし、読み間違える恐れが無いからヨシとしましょう、というのが「取組」です。
ですから、「申し込み・申込み・申込」や「取り扱い・取扱い・取扱」でも、「申込」や「取扱」については、「申込書」や「取扱説明書」などある決まった使われ方をします。
基本は「取り組み」や「申し込み」や「取り扱い」ということですね。
ただし、これは「公用文」以外の一般的な使い方。
実は、公務員の方が公的な文書を作成する場合は少し違ってきます。
2.公用文の場合は「取り組み」「取組み」「取組」?
「公用文」については、前項とは違った使い方をしなくてはいけません。
まず、動詞的な使い方の場合。
たとえば、「とりくもう!」とか「とりくめよ!」といった場合ですね。
この時は「取り組み」を使います。
つまり、動詞の時は「取り組もう!」「取り組めよ!」となるわけですね。
それから、名詞的な使い方の時は「取組」を使用することになっています。
要するに、慣用化していない場合であっても「取り組み」や「取組み」ではなく、「取組」を使わなくてはいけないということ。
ですから、公務員の方は気をつけてください。
これは、昭和34年7月11日内閣告示第1号「送りがなのつけ方」に記載されています。
上の古い文書を整理したのが、下の静岡県が作成した「公用文 用字・用語・送り仮名 例集」です。
公用文 用字・用語・送り仮名 例集
ところで、公用文は別にして、実際に⽂章を読んでいると「取り組み」や「取組み」はよく⽬にしますが、「取組」はそんなに使われませんよね。
では、公用文以外で「取組」はどういった場面で使うのだろう?
ということで、相撲以外の「取組」を使う場⾯については次項で説明しますね。
3.あえて送り仮名がない「取組」を使用する場面とは?
公用文以外で、送り仮名がない「取組」を使うのは、相撲以外にもあります。
広辞苑で「取組」の意味を説明しましたが、そのうちの④の意味が下のとおりです。
「取組」→④売手と買手との組合せ。売買の約定。
売手と買手の組み合わせという意味ですが、一般的には株式取引で使われます。
・取組表
・取組結果
・取組速報
株式取引の「取組」
・取組高
日本語は、使い分けがまぎらわしい言葉がたくさんあります。
「乗せる」と「載せる」もその1つですが、「打球を風にのせる」や「売り上げを1億円の大台にのせる」はどっちの「のせる」だと思いますか?
もしよかったら、下の関連記事を覗いてみてください。
まとめ
以上が、「取り組み」「取組み」「取組」の違いや使い分けなどについてでした。
基本は「取り組み」ですが面倒くさいときには「取組み」と書いてもよいということです。
また、送り仮名がなくなっているということは、何か特定の用語になっているということ。
たとえば、相撲などでは「取組」と書きます。
相撲の場合は「取組」を「取り組み」と書いたりはしません。
ただし!「公用文」の場合は少し違いますので、気をつけてくださいね。
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