自分は「おとこ」といえば「男」の漢字を使います。
ですが、最近になり「漢」の字に「おとこ」と読む使い方をときどき目にします。
「漢」と書いて「おとこ」、この読み方は正しい読み方なの?
それに「漢」と「男」の意味の違いは?
ということで、今回は「漢」と「男」の違いなどについて調べてみました。
1.「漢」と「男」の意味の違いや使い分けは?
まずは、「男」と「漢」の意味を辞書で調べてみます。
・男性。男子。
まあ、そのとおりですね。
ただし、「漢」が「お」のところに存在していません…。
では「おとこ」ではなく「かん」で調べます。
・おとこ。
(他省略)
「漢」は様々な意味があるのですが、その中に「おとこ」という意味もありました。
ですが、自分の辞書では読み方が「おとこ」ではなく「かん」です。
ちなみに常用漢字表もチェックしてみましたが、「おとこ」という読み方はありませんでした。
調査した結果、本来「漢」は「おとこ」の意味はあるものの、「おとこ」とは読まない字ということでした。
ですが、長年「おとこ」という読み方も浸透していることもあり、ネット上の辞書では読み方も「おとこ」と紹介しているものがありました。
今後は、「漢」を「おとこ」と読む辞書は増えてくるかもしれませね。
そして「男」は「男性」「男子」という意味、「漢」は「おとこ」という意味ですので、基本的には違いはないということです。
ちなみに、「漢」を「おとこ」の意味で使っている言葉は結構あります。
正義を重んじて行動するおとこ。
無類漢(ぶらいかん)
無頼なおとこ。ならずもの。
熱血漢(ねっけつかん)
感動しやすく情熱的なおとこ。
好漢(こうかん)
気性がサッパリした好ましいおとこ。
悪漢(あっかん)
悪事を働くおとこ。
痴漢(ちかん)
いたずらをしかけるバカなおとこ。
ということで、たくさんありますが共通しているのは全て「男性」の意味です。
ですから、たとえ情熱的な女性がいたとしてもその人のことを「熱血漢」とはいいません。
一説では「漢」を「おとこ」と読んだときの意味は、「男の中の男」であるとか「勇敢な男」、「潔い男」といった、素敵な男性の意味といった解説もあります。
だとすると、悪事を働く悪漢や、女性にいたずらする痴漢も「漢」を使っていますが、イメージとしては違いますよね…。
いろいろと調べてみましたが、「漢」が何か特別な「おとこ」の意味を指しているということではないようです。
ということで、「男」は「おとこ」の意味、「漢」も「おとこ」の意味で、どちらも同じ意味です。
「漢」が、何か特別な「おとこ」であるといった意味はありません。
2.「漢」が「おとこ」の意味を持った由来は?
「漢」はもともと現在の中国の長江の支流で、「漢江」または「漢水」という川の名称だったのです。
やがてその川の流域の土地も「漢」と呼ばれるようになりました。
そしてその場所に誕生した王朝が「漢王朝」です。
その勢力が広範囲に広がり、長く支配した歴史があることから、現在の中国人の多くは漢民族です。
漢王朝が戦いを繰り返す中で、別の民族が漢民族のことを「漢」に「子」を付けて「漢子」と呼びました。
これは、「漢民族の奴ら」といった意味で、バカにした表現だったのです。
その後「漢子」から、「漢」の意味が「おとこ」をあらわす意味になったのです。
余談ですが、日本で使われている「漢字」は、この「漢」からきているのです。
ということで、「漢」が「おとこ」をあらわす言葉となったのは中国の漢王朝が由来です。
ちなみに「男」の漢字の成り立ちは、「田んぼに力」です。
耕作地で力を発揮しながら働くのは「おとこ」ということですね。
3.「漢女」とは?意味は?男性じゃないの?
「漢」は「おとこ」をあらわす意味ということで説明してきました。
ですが、「漢女」という言葉があります。
これはいったい???ということで調査してみました。
「漢女」は「あやめ」と読みます。
でもって辞書で調べてみます。
・古代の渡来人のうちで大陸系統の技術による裁縫に従事した女。
つまり「漢女」の「漢」は男性の意味ではなく国の名前、「漢の女性」ということですね。
てっきり「男の中の男」の「女性版」か?と思ってしまいましたが、実際にはごく普通の漢の裁縫する女性という意味でした。
ですが、最近では「漢女」と書いて「おとめ」という読み方が広がっているようです。
ボーイッシュで男勝りの女性という意味のようですね。
ということなのですが、私の辞書に「漢女」と書いて「おとめ」では載っていませんでした…。
最近できた造語のようです…。
日本語は違う漢字でありながら、同じ読み方の言葉がたくさんあります。
「乗せる」と「載せる」もその1つですが、「打球を風にのせる」や「売り上げを1億円の大台にのせる」はどっちの「のせる」だと思いますか?
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まとめ
以上が、「漢」と「男」の違いなどについてでした。
ということで、「漢」と「男」には、男性像などでの意味の違いはなく、どちらもシンプルに「おとこ」「男性」の意味です。
ですから「おとこ」をあらわす場合、「男」でも「漢」でもどちらを使ってもよいです。
「漢」は、世間では「男の中の男」といったイメージが広がっていますし、「正義漢」や「好漢」などポジティブなイメージでもあります。
ですが、「悪漢」や「痴漢」や「無頼漢」など、ネガティブなイメージもありますので、そのへんも考慮しながら使いましょう。
あと、「漢」の「おとこ」読みは常用漢字表にはありませんので、公文書では使えませんよ。
同じ読み方でありながら、漢字が違う言葉はまぎらわしいですよね…。
特に「迎える」と「向かえる」は気を付けないと、意味が違うので大変なことになってしまいますよ!
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