「ガバナンス」と「ガバメント」、なんとなく似ています。
英語では「governance」「government」。
しかも、似ているのは読みだけではなく、意味も似ているそうなのです。
ちなみに、「ガバナンス」は近年よく耳にしますが、「ガバメント」はリンカーンの名言でしか聞くことはないような…。
最近よく耳にする「ガバナンス」の意味をキチンと理解する上でも、「ガバメント」との違いを調べておく必要がありますね。
ということで、今回は「ガバナンス」と「ガバメント」の意味の違いについて調べてみました。
1.「ガバナンス」と「ガバメント」の意味の違いや使い分けは?
まずは、「ガバナンス」と「ガバメント」の意味をカタカナ語辞典で調べてみます。
・統治、統治能力。
【ガバメント(government)】
・政府、行政、統治。
「ガバナンス」と「ガバメント」、両方とも「統治」という意味があります。
ですが、「ガバメント」というとリンカーンの名言「人民の、人民による、人民のための政治」という言葉が有名ですが、この名言の中の「政治」が「ガバメント」のこと。
そういったことで、自分は「ガバメント」というと、アメリカでいえば大統領を中心とした政治や政府といったイメージを持っていました。
しかし、キチンと辞書で調べてみると、「ガバナンス」も「ガバメント」も「統治」といった共通の意味があります。
①「統治」の意味とは!
ちなみに「統治」の意味は以下のとおりです。
・すべ治めること。主権者が国土や国民を支配し治めること。
なんとなく、つたわりますが「すべ治める」の意味をさらに深掘りします。
ちなみに、「すべ」は「統べる(すべる)」のことです。
①一つに集める。とりまとめる。
②治める。支配する。
そして「治める」の方。
①乱れた物事をしずめ、落ち着かせる。
②支配する政治を行う。
③病気をなおす。治療する。
ということで、「統治」をわかりやすくいうと「主権者が国を支配する」という意味の他に「乱れた物事をしずめ、落ち着かせる」「乱れないように一つにまとめる」といった意味があるということですね。
ですから「統治」とは、国の「政治」とは限らないということ。
ですが、同じ「統治」でも、ガバナンスの統治とガバメントの統治では英語でのニュアンスに違いがあるようです。
②ガバナンスの統治と、ガバメントの統治、英語でのニュアンスの違い!
「ガバナンス」の統治は、通常は組織などに関係するメンバーが自ら行う統治のことです。
会社という組織でいえば、その会社の上層部が意思決定し合意形成していくシステムのこと。
たとえば、会社の経営層が「売り上げよりも、社員の安全を最優先する」といった方針を掲げたとします。
しかし、社員は売り上げを何よりも優先するあまり、危険を承知で大幅なスピード違反をしたほかに事故で怪我を負ったとします。
これは、経営層の意思がしっかり社員に反映していませんので、ガバナンスが機能していないということになります。
ガバナンスとは、意思決定だけではなく全社員の合意形成ができていなくてはいけないのです。
一方の「ガバメント」の統治とは、組織よりも政治寄りになります。
一般的に「ガバメント」の統治は、国の政府が上の立場から行う統治のことです。
その統治の際は、その国の法律が基盤になってきます。
ガバメントの使用例ですが、たとえば「be in government」、これは「政権を握っている」といった意味になります。
そして、政府は政府でも必ず中央政府というわけではありません。
「local government」となると「地方政府」という意味になります。
ということで、「ガバナンス」と「ガバメント」の違いをまとめると、「ガバナンス」は会社などの組織を統治すること、「ガバメント」は政府などが国家や国民などを統治することです。
2.「ガバナンス」と「ガバメント」の具体的な使い方は?
①「ガバナンス」の使い方!
・その会社が成長するかどうかは、しっかりとしたガバナンスが機能しているかが重要。
・当社で起きた産地偽装問題をきっかけに、ガバナンスの強化をはかる意味で外部監査が行われる。
・○○社からの個人情報漏洩は既に3回目であり、全くガバナンスが機能していないということ。
・コーポレートガバナンスとは企業統治のこと。
②「ガバメント」の使い方!
・Japanese government(ジャパニーズガバメント):日本政府
・central government(セントラルガバメント):中央政府
・government support(ガバメントサポート):政府支援・政府援助
・form a Government(フォームアガバメント):組閣する
まとめ
以上が、「ガバナンス」と「ガバメント」の意味の違いについてでした。
「ガバナンス」は会社などの組織を統治することです。
そして「ガバメント」は政府などが国家や国民などを統治すること。
統治するといった意味ではどちらも同じですが、その規模がちがうということですね。
最近では、様々な会社で「ガバナンス」という言葉が使われています。
そして、「ガバナンス」にあわせて「コンプライアンス」という言葉もよく耳にします。
ところで、「ガバナンス」と「コンプライアンス」の違いをご存知ですか?
下の記事では「ガバナンス」と「コンプライアンス」の違いについて解説していますので、もしよかったらご覧ください。