お世話になった人などに渡すお金や贈り物、「お礼」ということもありますが「寸志」ということもありますよね。
「お礼」と「寸志」の言葉の違いや使い分けは?
ということで、今回は「お礼」と「寸志」の違いなどについて調べてみました。
1.「寸志」と「お礼」の意味の違いと使い分けは?
「寸志」も「お礼」もお世話になった人などに渡すお金や贈り物のことなのですが、若干意味合いが違います。
「お礼」とは、「感謝の気持ちを表すこと。またその言葉。感謝の気持ちを表す贈り物」という意味です。
「寸志」とは、「寸」は「ごく少ないこと」で「志」が「謝意や好意を表すために送る品物やお金」ですので、合わせて「少しばかりの気持ち」「少しばかりの贈り物」「心ばかりの贈り物」という意味で、自分の「志」の謙譲語です。
「寸志」は心づけともいいますね。
「寸志」も「お礼」も感謝の気持ちを表す金品ですので、渡す中身は同じですが、意味の重さや使い方が異なります。
【①寸志】
「寸志」は多くの場合、対等な関係の相手に贈るとき、あるいは目上の者から目下の者に贈るときに使います。
たとえば、歓迎会などに主賓として招待された際、その会費を支払わない代わりに包むのが「寸志」です。
冠婚葬祭などでは、事前準備を手伝ってくれたご近所の方々や、当日の雑務を手伝ってくれた方々に対し「寸志」を包みます。
また、目上の者から目下の者へ渡すシーンとしては、たとえば職場の忘年会や歓送迎会などでその職場のトップが幹事役に対し労をねぎらう意味で「寸志」を渡したりする場合があります。
ボーナスや賞与のことを「寸志」ということもあります。
これは会社の社長(目上)が社員(目下)にご褒美をあげるということから「寸志」というようになったようですね。
【②お礼】
「お礼」は、「寸志」にくらべて感謝の意味が重くなります。
また、多くは目下の者が目上の者に贈るときに使います。
「寸」というのは「ごく少ない」ことを意味しますので、「ごく少ない」では失礼では?といったケースでは「寸志」ではなく「御礼(お礼)」を使います。
つまりお世話になった度合いがより大きい場合には、「寸志」ではなく「御礼(お礼)」となります。
また同じように、職場の上司に対して「ごく少ない」で失礼では?という意味で目上の人に対しては「寸志」ではなく「御礼(お礼)」を使います。
ですから「寸志」なのか「お礼」なのか、どっちか迷った場合は「お礼」にしておけば間違いはないでしょう。
「寸志」と「税金」の関係については、コチラの関連記事を参考にしてください!
2.「寸志」をもらった場合のお礼の言葉は?
寸志は「少しの気持ち」「ほんの気持ち」という意味で、「寸志です」と言うのは、「つまらないものですが」「大したものではありませんが」と言うのと同じです。
自分の気持ちや贈り物の品、あるいは自分自身を謙遜して「寸志」と言ったり、「つまらないものですが」と言っているのですね。
「つまらないものですが」ともらったもののお礼で、「つまらないものをありがとうございました」とは言いません。
同じように、寸志をもらったときも「寸志をありがとうございました」と言ってはいけません。
寸志をもらったときには、「寸志」を「お志(おこころざし)」と言いかえ、「お志をありがとうございました」と言いましょう。
また、歓送迎会や飲み会の幹事をしていて寸志をもらうこともあります。
このときには、寸志をもらったことをその場で参加者全員に対して報告するのがマナーです。
寸志を渡されたら、「○○様よりご厚志を賜りましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます」と言ったり、もう少しくだけた場なら「○○さんよりご厚志をいただきました」というように「寸志」を「ご厚志」か「ご芳志」に置き換えて発表します。
寸志にはお返しは必要ないといわれていますが、もらいっぱなしは気になりますよね。
気になる場合は、寸志の金額に応じて菓子折りなどでお返しするとよいです。
目上の方に対して現金や金券のお返しはマナー違反なので気を付けてくださいね。
まとめ
以上が、「お礼」と「寸志」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「お礼」は目下の者が目上の者に対して、「寸志」は同等の立場か目上の者が目下の者に対しておくることが多いです。
「寸志」は「つまらないものですが」といった意味がありますので、失礼ではないか?と感じた場面では「お礼」を使いましょう。