通常パソコン作業で使う書体は「明朝」や「ゴシック」が一般的、時々「楷書」も使います。
ですが、年賀状などでは「行書」や「草書」といった書体も使われます。
特に、筆を使って本格的に手書きをした年賀状の書体は素敵ですよね。
さらに、パっと見で読むのが困難になればなるほど、格好良く見えます。
ところで、この「行書」と「草書」、また「楷書」も含めそれぞれの違いをきちんと説明できますか?
読めない書体はどっちだっけ?ってなりますよね。
ということで、今回は「行書」と「草書」と「楷書」の違いについて調べてみました。
1.「行書」と「草書」の違いは?
行書も草書の漢字の書体の一つなのですが、まずその歴史を振り返ります。
漢字の書体は、歴史とともに変遷しているのです。
漢字は中国生まれの文字、その中国の歴史の中で書体も発展してきました。
その歴史上、最も古い書体が「篆書(てんしょ)」という書体です。
そして時代が進み、「篆書」を簡略化して生まれたのが「隷書(れいしょ)」です。
「奴隷」の「隷」の文字が関係しているかどうかはわかりませんが、程邈(ていばく)という罪人が獄中でつくった書体であるといった説があります。
ですが、真偽は定かではありません。
この「隷書」をさらに簡略すると……やっと、本日の本題の「行書」と「草書」になります。
行書と草書は、ともに中国で生まれ、隷書を簡略化した書体なのです。
それでは両方の書体を実際に見てみましょう。
行書体は読めますが、草書体になるとかなり読みにくくなりますね。
動画もご覧ください。
【楷書→行書→草書】
行書と草書のそれぞれの特徴は以下のとおりです。
【「行書体」の特徴】
・隷書を簡略化した書体
・続け書きをすることもある
・崩しや省略は少ない
・見た目は楷書体とそれほど変わらず読みやすい
(楷書体は次項で説明します)
【「草書体」の特徴】
・行書より早く書くことを目的にした書体
・崩しや省略が多い
・容易に読むのは困難
・草書体を書いたり読んだりするためには専門的な勉強が必要
・感情など芸術的な表現が可能
一言でまとめるなら、崩れすぎて読めない方が草書体、日頃目にする書体ではありませんが容易に読めるものが行書体ですね。
2.「楷書」と「行書」「草書」との違いは?
現在の日本で、明朝体やゴシック体などと一緒に多く使われている書体が「楷書体」です。
楷書も中国生まれなのですが、書体の歴史は行書や草書よりも後からできたといわれています。
では実際の書体を見てみましょう。
楷書は行書や草書と違い、続け書きをせず、1画ずつ書きます。
また、楷書は字を崩したり省略しないのが特徴です。
そして、この楷書体を元に、印刷用の書体として明朝体が開発されました。
「書体」は文字を書く時に使い分けますが、「かく」という字にもいろいろな漢字があります。
「書く」「描く」「画く」、3種類の違いをご存知ですか?
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まとめ
以上が「行書」や「草書」、それに「楷書」の違いなどについてでした。
篆書から隷書が生まれ、そしてその隷書を簡略化した書体である行書や草書が誕生しました。
さらに、行書や草書の後に生まれたのが楷書です。
中でも草書は、崩しや省略が大きく、パッと見ただけでは読むことができません。
格好いい草書体が書けると、素敵ですよね~。
「文字などを書きあらわす」という意味で「表記」という言葉があります。
「表記」に似た言葉で「標記」もあるのですが、「表記」と「標記」の違いをご存知ですか?
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