「諮問」と「答申」、よく耳にするこの二つの言葉。
ですが、日常生活で使われるのではなく、出てくるのは専らニュースなどです。
ということは、何か特別な言葉なのでしょうか…。
ということで、今回は「諮問」と「答申」の意味や使い分けなどについて調べてみました。
1.「諮問」と「答申」の意味の違いと使い分けは?
分からない言葉があったらまずは辞書!
ということで、「諮問」と「答申」を辞書で引いてみます。
・有識者や特定の機関などに意見を尋ね求めること。⇔答申
【答申(とうしん)】
・上司の問に答えて意見を申し述べること。特に、諮問機関からの行政官庁に対する意見を具申すること。
つまり、意見を求めることが「諮問」、意見を求められた者や機関が答えるのが「答申」ということですね。
たとえば「働き方改革実現会議」という総理大臣の諮問機関があります。
総理大臣は、「今後、少子化が進んで労働人口が減少すれば、長時間労働などが問題になるだろう」ということで働き方改革実現会議を設置しました。
働き方改革実現会議のメンバーは、労働に関する学問・見識が高い人たちです。
そこで総理大臣は、「将来、労働条件が悪化しないように法律をつくりたいんだけど、どういった規制が必要だと思いますか?」と働き方改革実現会議のメンバーに対して伺います。
この行為が「諮問」です。
そして働き方改革実現会議では、「時間外労働の上限規制が必要なのではないでしょうか」と答えるわけです。
この行為が「答申」になります。
また、「答申」の場合は、諮問機関だけではなく、上司から部下に対し意見を求められた場合に答えることも含まれます。
諮問機関は、ほかに以下のようなものがあります。
・地方制度審議会
・公務員制度審議会
・財政制度審議会
・社会保障審議会
ちなみに、「諮問」の「諮」は「はかる」と読み「会議などにはかる」という意味です。
ですから「諮問」は、「諮る」「問う」ということですね。
「答申」は、「答える」「申す」です。
2.「付議」とは?「諮問」との意味の違いは?
「諮問」と似た意味の言葉で「付議」があります。
辞書によると、「付議」とは、以下のとおり。
・会議にかけること。
「付議」とは、会議にかけるという意味で、「諮問」と似ています。
ですが、「諮問」は第三者に尋ねるのに対し、「付議」は自分たちか第三者かの定義はありません。
また、「諮問」の場合は「有識者や特定の機関へ」といった条件があり、どのような会議でもよいというわけではありません。
「有識者や特定の機関」、つまり「諮問機関」のことなのですが、こういった組織は国家の政策決定において重要な意味を持ちます。
要するに、「諮問」はそれなりの重い案件になるということです。
「付議」は、全ての会議が対象になりますので、小学校の学級会の案件も含まれます。
「議決」と「決議」の違い、「審議」と「協議」の違いに関してはコチラの記事をどうぞ!
まとめ
以上が、「諮問」と「答申」の意味や使い分けなどについてでした。
「諮問」とは有識者や機関に意見を求めること。
そして、諮問された有識者や機関が答えを返すのが「答申」です。
ですから、「諮問」と「答申」はセットで使われることが多いです。
「付議」は、単に会議にかけるという意味で、第三者に尋ねる「諮問」とは意味が違ってきます。