メールや文書などでよく使う「要請」と「依頼」。
どちらも似たような場面で使う言葉です。
「要請」は、「出動要請」や「救援要請」といった使い方をしますので、なんとなく大変な事態を想像してしまいますよね。
だからといって、「要請」だったら手伝うけど「依頼」だから手伝わなくても良い、ということではありません。
では、「要請」と「依頼」の違いのポイントがどこにあるのか?ですよね。
ということで、本記事では「要請」と「依頼」の意味の違いについて徹底的に調査した結果をお伝えしていきます。
わかりやすく、例文をまじえながら詳しく解説していきますのでご期待ください。
1.「要請」と「依頼」の意味の違い!
最初に、「要請」と「依頼」の意味の違いを端的に説明しますね。
「依頼」とは、人に物事を願い頼むことです。
なんだか似ていますが、違いはコレです。
①「必要なこと」がポイント!
「要請」は “必要なこと” であることが前提で、その必要な物事を行ってくれるように願い求めるということ。
“必要なこと” といった、その物事がハッキリとしています。
一方の「依頼」は、物事を願い頼むことです。
そして“必要なこと”でも“必要でない”ことでも物事を願い頼むのが「依頼」です。
②「必要でないこと」ってあるの?
たとえば、海岸清掃のボランティアを企画したとしましょう。
海岸清掃実行委員会は、加盟企業へ1社最低3人の清掃ボランティアへの参加「要請」をします。
海岸清掃実行委員会にとっては、「清掃」は必要なことですね。
そして、要請された加盟企業の内部では、3人の社員に対し清掃ボランティアへの参加「依頼」を行います。
清掃という行動は、加盟企業ではなく実行委員会にとって必要なことになります。
加盟企業は要請を受けていますので、必要なことであるとも言えますが、清掃はどちらかといえば実行委員会にとって必要なのですね。
③必要に迫られている「要請」の方が強力?
人に「要請」する場合、必要なことを願い求めます。
つまり、その物事は必要に迫られていますので、必要性が高いということ。
その分、必要なこととは限らない「依頼」よりも、「要請」の方が強く求めていることになります。
ですから「依頼」の方が、頼み方がやや弱いということになります。
ただし、「依頼」であっても「必要なこと」を頼む場合があること忘れてはいけませんよ。
「依頼」だからといって、ないがしろにしてはいけません。
2.「要請」と「依頼」の辞書での意味!
今度は、「要請」と「依頼」が辞書ではどういった解説がされているのかみていきましょう。
①「要請」の意味!
【要請】
・必要なこととして、それをしてくれるように願い求めること。「援助を―する」引用元:旺文社国語辞典
最初の項で説明したとおりの内容となっていますね。
「必要なこととして」といった言葉が入っています。
②「依頼」の意味!
【依頼】
・人に物事を願い頼むこと。「調査を―する」「講演を―する」引用元:旺文社国語辞典
「必要なこと」、「必要でないこと」といった表現はありません。
人に物事を願い頼むことが「依頼」ですね。
「依頼」と「委託」の違いについては下の関連記事を覗いてみてください!
3.「要請」と「依頼」の使い方を例文で紹介!
では、「要請」と「依頼」の実際の使い方を例文で紹介していきます。
①「要請」の使い方!
・自衛隊に対し救助活動としての出動を要請する。
・水害地域への排水ポンプ車の出動要請を行った。
・厚生労働省は立入検査を実施し資料の即時提出を要請した。
・名古屋支店で社員の集団インフルエンザが発生したため静岡支店へ応援要請した。
・新潟県知事選挙への出馬要請を行った。
やはり、絶対に必要な物事であり、しかもその物事に重みがあります。
願い求めているのですが、強く願っています。
その分、深刻な状況で使われることが多い言葉です。
②「依頼」の使い方!
・同僚のアルバイト従業員へ休日の交代を依頼した。
・選挙の投票立会人の役目を依頼した。
・税務調査が行われることから税理士に立ち合いの依頼をする。
・地震災害のため隣県に人員派遣を依頼した。
・怪我で試合を棄権するために届け出を依頼した。
全体的に「要請」にくらべると逼迫感が少ない印象を受けます。
ただし、「地震災害のため隣県に人員派遣を依頼した」というように緊急事態に使われてもおかしくはありません。
「要請」「依頼」に似た言葉で「要望」があります。
「要請」と「要望」の違いについては以下の関連記事で詳しく解説していますので、もしよかったらご覧ください。
まとめ
以上が、「要請」と「依頼」の意味の違いについてでした。
「要請」は、必要なことをしてくれるように願い求めること。
そして「依頼」は、人に物事を願い頼むことです。
違いは「必要なこと」が入るか入らないかですね。
「要請」は「必要なこと」が入ります。
似たような意味ではありますが、「要請」の方がより逼迫している状況で使われることが多いです。
その分、「要請」の方が求める力が強力ということ。
ただし、「依頼」であっても「必要なこと」も頼みます。
ですから、「依頼」だからといってないがしろにしてはいけませんよ。