「VA(提案)」と「VE(提案)」、何がどう違うのか分かりにくいですよね。
「VA」と「VE」ってなんとなく似ているし、両者を混同している方も多いのでは?
ということで、今回は「VA」と「VE」の意味や違いなどについて調べてみました。
1.「VA提案」と「VE提案」の意味と違いとは?
「VA」とは、Value Analysis(バリューアナリシス)の頭文字で、日本語でいえば「価値分析」です。
VAは、既存の製品に対して、生産にかかるコストを研究し図面や仕様書の変更による製造の効率化や、発注先・部品の調達方法を変更するなどして、コストの低減をはかることです。
単なるコストダウンは製品の品質低下や製品量の削減なども含まれますが、製品に必要な機能や品質を低下させずに、より少ないコストで得ることがVAの目的です。
また、既存の製品の品質や機能を向上させることもVAということがあります。
たとえば、部品を薄くしたり材質を変更するなどして自動車品質を低下させず車体をより軽く、より燃費をよくすることがVAです。
まとめますと「VA提案」とは「品質維持+コストダウンの提案」と「既存製品の品質改善提案」ですね。
「VE」とは、Value Engineering(バリューエンジニアリング)の頭文字で、「価値工学」のことです。
日本VE協会では、VEを「最低の総コストで、必要な機能を確実に達成するために、組織的に、製品またはサービスの機能の研究を行う方法」と定義しています。
VAとVEは、ほとんど同じような意味なのですがあえて違いを区分するならば、VAは既にある製品に対する手法ですが、VEは製品の開発設計段階に行う手法に分けられています。
開発段階・設計段階で、できるだけ低いコストで製品に必要な機能や品質を実現するために、図面や仕様書を変更したり発注先や部品の調達方法を探すのがVEです。
「VE提案」とは「開発設計段階における品質維持+コストダウンの提案」と「開発設計段階における品質改善提案」ですね。
【公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会】
https://www.sjve.org/
【VA/VEによるコストダウン事例集】
2.VAとVEの発祥と歴史とは?
「VA(バリューアナリシス)」は1947年、アメリカで開発されました。
開発者はゼネラル・エレクトリック社のローレンス・D・マイルズ氏です。
当時、ゼネラル・エレクトリック社では、コンベアに流れてくる製品に塗料をふきつける作業工程において、製品以外にも吹きかかる塗料がコンベアから床に落ちるのが問題となっていました。
塗料は可燃性物質で引火の危険があったためです。
それまでゼネラル・エレクトリック社ではコンベアの下にアスベストシートを敷くことで引火を防いでいたのですが、当時は終戦直後でアスベストシートが入手困難になっていました。
マイルズ氏は「アスベストと同じ機能を持ち、アスベストよりも安い材料がないか」とアスベストシートの代替品を探し出します。
さらにゼネラル・エレクトリック社に対し、この代替品がアスベストと同じ機能を持つこと(不燃材で安全であること)を証明、その結果、この代替品が工場に採用されたのです。
その後、1954年にアメリカ国防総省がこういった事例を「VE(バリューエンジニアリング)」と呼んで導入しました。
これをみると、VAとVEは同じもの、ということもできそうですね。
日本ではVAは昭和30年代後半頃に導入されました。
当初は製造メーカーの資材部門において、コスト低減のためにVAが導入されたそうです。
VEは昭和40年代後半頃に導入されたといわれています。
現在では、VAよりもVEの方が重視されています。
「コンプライアンス」と「ガバナンス」については下の記事をご覧ください!
まとめ
以上が、VAとVEの意味や違いなどについてでした。
VAは既存製品の機能を維持しコスト削減や品質向上を目指すこと、VEは製品開発段階で必要な機能を維持し最低限のコストで目的を実現させることです。