「樹」と「木」、違いや使い分けはあるのかな。
「樹木」と二つをつなげて使うこともあるし……。
そもそも「樹」と「木」って同じ意味じゃないの?
ということで、今回は「樹」と「木」の違いや使い分けについて調べてみました。
1.「樹」と「木」の意味の違いと使い分けは?
「樹」と「木」はどちらも同じ意味、「木」のことです。
では、どういった使い分けをするのか、まずは「樹」から説明します。
①「樹」とは
「樹」は立ち木のことで、生きている木だけにしか使いません。
「樹」の漢字の成り立ちは、木を意味する「木へん」に、太鼓を意味する「鼓(つづみ)」と、人を意味する「寸」で成り立ちます。
総合すると「木の横で人が太鼓を叩く」ことで、樹木の生長を促していることを意味しています。
つまり、豊作を願う「農耕儀礼」のことなのですね。
ということで「樹」は生きている立ち木のことだけを意味し、「樹木」ともいいます。
②「木」とは
「木」も木の象形文字ですので、生きている立ち木を「木」といっても間違いではありません。
ただし、「木」は生きている立ち木のほかに、伐採して倒れた木や、加工した木材製品も全て含みます。
「木の椅子」や「木の机」といいますが、「樹の椅子」や「樹の机」とはいいません。
ということで、「木」は生きている立ち木も、加工した木材も含む木の総称です。
「樹」か「木」かで悩んだときには、「木」を使っておけば間違いないということですね。
「樹」の方は、生きている立ち木に限定して使用します。
2.「草」と「木」の違いと使い分けは?「竹」はどっち?
生物学では、「草(草本)」と「木(木本)」の違いは形成層の有無です。
形成層とは、つまり木材、木質の部分のことです。
「木」は、樹皮の内側に形成層があるのです。
この形成層が木質部をつくりながら成長することで、年輪を重ねながら木の幹は太くなるのですね。
また、木の幹がかたいのも形成層があるからです。
季節によって成長の早さの違いが年輪にあらわれます。
「草」には形成層はありません。
なので、木の幹に相当する茎は太くならないし、柔らかいです。
ちなみに、竹の幹に相当する稈(かん)はかたいですが中身は空洞です。
稈(かん)には形成層はないため、竹は、竹の子から竹に成長し、最初の数ヶ月を過ぎるとそれ以上太くはなりません。
ただ、生物学では竹は形成層がないにもかかわらず例外的に木(木本)の仲間に含まれます。
また、竹のように草と木には分類上、色々な意味であいまいなものが多いようです。
たとえば、サクラやナシ、リンゴは木でバラ科、草のイチゴもバラ科です。
イチゴは草ですがラズベリーやブルーベリーは木です。
綿にいたっては、木とも草ともいわれています。
生物学的には、その植物を語るうえで、木なのか草なのかと区別することはあまり意味がないようです。
まとめ
以上が、「樹」と「木」の違いや使い分けについてでした。
一般的には「木」を使い、「樹」は生きている立ち木と限定的にしか使えません。
加工した木材は「木」を使います。
「草」と「木」の違いは形成層の有無で、木は形成層があるので幹はかたく、どんどん太く成長します。
草には形成層がないので、茎は柔らかく、太くもなりません。
「竹」は、形成層はありませんが、木の仲間です。
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