「温室」と「ハウス」の違いってよく分かりませんよね。
「温室栽培」とも言うし、「ハウス栽培」と書いて売られている野菜や果物もあるし、「温室育ち」と言うことも……これはちょっと意味が違うか(^^;)
ということで、今回は「温室」と「ビニールハウス」の違いについて調べてみました。
1.「温室」と「ビニールハウス」の違いは?
「温室栽培」とは、屋外ではなく、部屋の中で農作物を栽培することです。
屋外で栽培する場合は、露天の「露」に地面の「地」で「露地栽培」といいます。
露地栽培のメリット・デメリットについては、下の関連記事をご覧ください。
温室栽培では、一般的にガラスやプラスチック、ビニールなどの空気は通さないけど光を通す素材を外張りに使います。
ですから「温室栽培」の中に「ビニールハウス栽培」が含まれるのです。
ガラスは光を通すけど空気は通しませんよね。
光は通すので、太陽光によって温室内の地面が温められます。
太陽光によって温められた地面の熱が今度は温室内の空気を温めます。
この結果、温室内は温かくなるのです。
とはいえ、ガラス一枚の断熱効果しかありませんから、冬は温室内も冷えます。
温室だけでは温度が低すぎるときには、暖房器具を使って加温します。
「ビニールハウス栽培」とは、温室栽培の一種です。
頑丈なガラスではなく、ビニールを外張りにした簡易な温室で栽培することを「ハウス栽培」と呼びます。
日本で「ビニールハウス」というと、木材や鋼材を骨組みにし、それにビニールをはったカマボコ状のハウスを指すことが多いです。
小型の簡易なビニールハウスであれば、ホームセンターで手軽に購入し、庭や畑に設置することができますよね。
そういえば、うちの畑にも昔ありました。
小型のビニールハウスは、とても軽い作りになっています。
そのため、強風や雪で壊れてしまうことも多いのですね。
台風のときや、雪が降る地域では注意が必要です。
「温室」と「ビニールハウス」の違いをまとめると、「温室栽培」とは室内での栽培のことで「ガラス」「プラスチック」「ビニール」などで空気を遮断し太陽光などで室内温度を高く保ちながら栽培すること、「ビニールハウス栽培」とは温室栽培の内「ビニール」で空気を遮断し太陽光などで室内温度を高く保ちながら栽培することを指します。
要するに、室内での栽培は「温室」、そのうち簡易なものが「ビニールハウス」です。
2.「植物工場」って何?温室やハウスとの違いは?
「植物工場」とは、光、温度、湿度などの内部環境をコントロールした閉鎖空間で農作物などを計画的に生産するシステムを備えた施設のことです。
植物工場で栽培する方法を「工場栽培」といいます。
植物工場では、農作物は土ではなく養液で栽培します。
土で栽培しないので、連作障害はおきません。
連作障害とは、農作物を同じ土壌で何度も連続して栽培することにより細菌・ウイルス・害虫など様々な影響により育成不良になることです。
植物工場では、自然光で栽培することもありますが、主にLEDなどの人工光で栽培します。
工場栽培のメリットとしては、光の照射時間や温度、湿度を完全にコントロールするため、天候に左右されず安定的・計画的に栽培・生産することができます。
さらには、完全な閉鎖空間での栽培なので、病原菌や害虫被害の心配が不要、つまり農薬も使用しなくてよいのです。
植物工場と温室栽培やハウス栽培の違いは、どれだけ人間のコントロール下で農作物を栽培しているかです。
温室栽培やハウス栽培では、農作物を室内で育てることで、ある程度栽培に適した温度下で栽培することができます。
ただ100%、農作物が育つ環境をコントロールできるわけではありません。
温室であっても断熱性能の関係で温度管理に限界がありますし、温室内の農作物が病原菌に感染することもあるのです。
一方の植物工場はほぼ100%、人間の管理下で栽培します。
天候など自然の影響を受けずに農作物の栽培に適した環境を人工的に作るのが植物工場なのです。
ただし、植物工場には初期投資や生産費用が高額であるというデメリットもあります。
光の設備や空調設備の設置費用や、その光熱費などです。
いかに生産のコストを抑えて採算性を高めるかが、植物工場の一番の課題なのです。
まとめ
以上が、「温室」と「ビニールハウス」の違いでした。
温室栽培の一つがハウス栽培です。
温室栽培もハウス栽培も、屋外での栽培にくらべれば農作物の育ちやすい環境を維持することができます。
ただし、ハウス栽培については簡易であることから台風など強風の被害がデメリットとなります。